ニキビの原因と悪化要因

「私のニキビの原因はなんですか?」とよく患者さんから質問を受けます。ニキビができる原因と悪化要因を、最新の知見や論文を交えながら記載します。

ニキビの原因

原因といっても、発症機序的なものから生活習慣までありますが、主な原因は以下の3つに大別されます [1]。

  1. 毛穴のつまり
  2. 細菌
  3. アンドロゲンの過活動

毛穴のつまり

毛穴のつまりは、過剰な皮脂によって引き起こされます。 ニキビは、主に顔、頭皮、胸、背中、肩にできやすいのですが、 これらの部位は、皮脂腺(ひしせん)という皮脂を出すための分泌腺が多い場所だからです。

毛穴のつまりは、皮脂だけではなく、角層細胞(かくそうさいぼう=肌表面の角質を構成している死んだ細胞)によっても引き起こされます。

角層細胞は一定の周期で剥がれ落ち、新しい角層細胞に置き換わります。これを「ターンオーバー」と呼びますが、ターンオーバーが正常に働かない場合、角層細胞が剥がれ落ちなくなり、角層が厚くなって毛穴を塞ぎます(異常角化)。

乾燥肌の表皮は、ターンオーバーが正常に働いていないことがあり、乾燥肌の方でもニキビに悩まされてしまうのはこのためです。

細菌

ニキビは細菌感染症の一つです。C.acnes(P.acnes)というアクネ菌が主な原因に同定されています [2, 3]。

アクネ菌は 、酸素を嫌う「嫌気性菌(けんきせいきん)」に分類されます。つまり、酸素のある状況では繁殖できません。そのため、普段は酸素が少ない毛穴の奥に潜んでいます。

毛穴がつまると、毛穴の中には空気が入ってこない状況になるため、嫌気性菌であるアクネ菌は増殖して、炎症を引き起こします。

アンドロゲンの過活動

アンドロゲンとは男性ホルモンのことです。男性ホルモンは皮脂腺を増大させ、皮脂の分泌を促します。男女とも思春期から男性ホルモンが増加し始め、その頃からニキビに悩まされるようになります。

しかし、ニキビ患者さんの男性ホルモン値を測定しても、正常値であることが多いと報告されています [4]。当院も以前に積極的に測定していましたが、PCOs(多嚢胞性卵巣症候群)などの患者さんを除いては、ほとんどの方が正常値であったため、現在は希望者を除いて測定していません。

男性ホルモン値が正常な女性でもホルモン治療は有効ですが、その理由として、皮脂腺の男性ホルモンの受容体がより敏感であるためと考えられています [5]。

結局は体質

毛穴がつまりやすいのはその人の肌質(体質)であり、細菌感染が起こりやすいのも、その人の持っている免疫力(体質)であり、ホルモンの感受性が高いのも、その人の持っている遺伝子(体質)のため、結局は、ニキビができやすい人はできやすい体質であり、遺伝的な要因が最も大きな比重を占めます。

食生活とニキビ

みなさんがニキビの悪化要因・リスクとして考えるのは、まず食生活ではないでしょうか?それらについて今回記載していきます。

脂っこい食事

脂っこい食べ物を食べるとニキビができるというのは迷信です。ピザ、唐揚げ、フライドチキンなどの脂っこい食べ物を食べると、皮脂が増えてニキビが悪化すると信じている方もいるようですが、医学的に根拠はありません [1, 6]。

炭水化物

白米やパン、ポテトチップスなどの炭水化物はどうでしょうか?これは、いくつかの研究でニキビの悪化要因になり得るという報告があります。炭水化物は、急激に血糖の上昇を引き起こし、血中のインスリンレベルを上げます。インスリンは男性ホルモンを高くするため、皮脂分泌や毛穴をつまらせる要因になるのではないかと考えられています [7, 8, 9]。

逆に低炭水化物食(ローカーボダイエット)が、ニキビの改善に有益であったという報告もあります [10, 11]。

牛乳・乳製品

約4万7千人を対象として、ニキビと乳製品の種類、摂取量を調査した研究では、牛乳を含む乳製品の摂取とニキビとの間に関連性があると報告されています [16]

また、ホエイプロテインの摂取によってニキビが悪化した症例もいくつか報告されています [17, 18]

チョコレート

チョコレートは、古くからニキビを悪化させる要因として考えられてきました。その後は迷信であると考えられていましたが、2014年に、男性14人を対象とした小規模な二重盲検試験が行われ、チョコレート(砂糖ゼロの100%ココアでできたカプセル)はニキビの増悪に関連していたという報告があります [12]。

しかし、小規模な試験であり、医学的な根拠としては乏しいため、今後のさらなる調査が必要です。

バランスの良い食事を

ニキビと食事の関係は、まだまだエビデンスが足りていない分野で、コンセンサスが得られていません。

白米やパンなどの炭水化物が大好きでも、ニキビに悩まされない人も沢山いますし、チョコレートを食べると悪化するという人もいれば、ポテトチップスで悪化するという方もいますので、やはりここでもその人のもっている体質とも言えます。

大切なのは、ご自分が悪化しやすい食事内容を把握して、それを避け、バランスよく食べていただければ、過度に気にする必要はありません。

薬剤とニキビ

ある種のお薬がニキビを悪化させてしまうことがあります。それは、男性ホルモン剤、副腎皮質ステロイド剤、リチウムなどです。

時々、ニキビでステロイドの塗り薬を処方されるケースがありますが、一時的に炎症は引いても、すぐに効果がなくなり、逆にステロイドの副作用でニキビが悪化しやすくなりますので、使用しないでください。ニキビの炎症を鎮めるステロイド注射も同様です。

今の季節は花粉症で、「セレスタミン」という飲み薬を飲んでいる患者さんがいますが、セレスタミンにもステロイドが入っていますので、必要がなければ他の抗アレルギー剤に変更してもらってください。

ストレスとニキビ

当院の患者さんの中にも、ストレスでニキビが悪化するという方が多数いらっしゃいます。当院の治療できれいにニキビが治った後、数年経ってから就職活動のストレスで悪化したという方や、仕事の転職で悪化したという方もいらっしゃいます。

スタンフォード大学の学生ボランティア22人の協力を得て行われた研究では、試験期間中とそうでない期間の間では、試験期間中のニキビの悪化度合いが高かったという報告があります [13]。

ストレスで、血中のコルチゾールレベルが上がることも報告されています [14, 15]。

コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、前述したステロイド薬は、このコルチゾールを人工的に合成したものですので、ストレスがニキビの悪化要因になり得ることは納得できます。

ただ、同じストレスにさらされていても、ニキビができやすい人もいれば、全くできない人もいます。やはりここでも体質的な要因が大きいと言わざるを得ません。

衛生環境とニキビ

肌を衛生的に清潔にしないとニキビができるというのは、まったくの迷信です。肌の汚れは、毛穴をつまらせるほどの極端なものでなければ、ニキビの原因になりません。

メイクも同様で、メイクでニキビが悪化するというのは迷信と考えられてます。ただし、メイクを落としきれていなくて毛穴をつまらせたり、洗顔のしすぎも良くありません。

正しいスキンケアを行い、ご自分が悪化しやすい環境を見極めるようにしてください。

執筆 医師:岩橋 陽介

参考文献・サイト

  1. Mayo Clinic “Acne.” https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/acne/symptoms-causes/syc-20368047 2019.03.04 アクセス
  2. Zeller VA, (2018) “Cutibacterium (Formerly Propionibacterium) avidum: A Rare but Avid Agent of Prosthetic Hip Infection.” J Arthroplasty. 2018 Jul;33(7):2246-2250. doi: 10.1016/j.arth.2018.02.008. Epub 2018 Feb 12. DOI: 10.1016/j.arth.2018.02.008 PMID: 29544969
  3. Emil A. Tanghetti, (2013) “The Role of Inflammation in the Pathology of Acne.” J Clin Aesthet Dermatol. 2013 Sep; 6(9): 27–35. PMID: 24062871
  4. Shaw JC, (2002) “Acne: effect of hormones on pathogenesis and management.” Am J Clin Dermatol. 2002;3(8):571-8. DOI: 10.2165/00128071-200203080-00007 PMID: 12358558
  5. Thiboutot D, (2003) “Update and future of hormonal therapy in acne.” Dermatology. 2003;206(1):57-67. DOI: 10.1159/000067823 PMID: 12566806
  6. Quynh-Giao Nguyen, (2016) “Diet and acne: an exploratory survey study of patient beliefs” Dermatol Pract Concept. 2016 Apr; 6(2): 21–27. doi: 10.5826/dpc.0602a05 PMID: 27222768
  7. “A pilot study to determine the short-term effects of a low glycemic load diet on hormonal markers of acne: a nonrandomized, parallel, controlled feeding trial.” Mol Nutr Food Res. 2008 Jun;52(6):718-26. doi: 10.1002/mnfr.200700307. PMID: 18496812
  8. Cordain L, (2005) “Implications for the role of diet in acne.” Semin Cutan Med Surg. 2005 Jun;24(2):84-91. DOI: 10.1016/j.sder.2005.04.002 PMID: 16092796
  9. Cordain L, (2003) “Hyperinsulinemic diseases of civilization: more than just Syndrome X.” Comp Biochem Physiol A Mol Integr Physiol. 2003 Sep;136(1):95-112. PMID: 14527633
  10. Kwon HH, (2012) “Clinical and histological effect of a low glycaemic load diet in treatment of acne vulgaris in Korean patients: a randomized, controlled trial.” Acta Derm Venereol. 2012 May;92(3):241-6. doi: 10.2340/00015555-1346. PMID: 22678562
  11. Smith RN, (2007) “A low-glycemic-load diet improves symptoms in acne vulgaris patients: a randomized controlled trial.” Am J Clin Nutr. 2007 Jul;86(1):107-15. DOI: 10.1093/ajcn/86.1.107 PMID: 17616769
  12. Caperton C, (2014) “Double-blind, Placebo-controlled Study Assessing the Effect of Chocolate Consumption in Subjects with a History of Acne Vulgaris.” J Clin Aesthet Dermatol. 2014 May;7(5):19-23. PMID: 24847404
  13. Chiu A, (2003) “The response of skin disease to stress: changes in the severity of acne vulgaris as affected by examination stress.” Arch Dermatol. 2003 Jul;139(7):897-900. DOI: 10.1001/archderm.139.7.897 PMID: 12873885
  14. Harris MA, (2017) “Stress in childhood, adolescence and early adulthood, and cortisol levels in older age.” Stress. 2017 Mar;20(2):140-148. doi: 10.1080/10253890.2017.1289168. Epub 2017 Feb 21. DOI: 10.1080/10253890.2017.1289168 PMID: 28140738
  15. Lee DY, (2015) “Technical and clinical aspects of cortisol as a biochemical marker of chronic stress.” BMB Rep. 2015 Apr;48(4):209-16. PMID: 25560699
  16. Adebamowo CA, (2005) “High school dietary dairy intake and teenage acne.” J Am Acad Dermatol. 2005 Feb;52(2):207-14. DOI: 10.1016/j.jaad.2004.08.007 PMID: 15692464
  17. Simonart T. (2012) “Acne and whey protein supplementation among bodybuilders.” Dermatology. 2012;225(3):256-8. doi: 10.1159/000345102. Epub 2012 Dec 13. PMID: 23257731
  18. Cengiz FP, (2017) “Acne located on the trunk, whey protein supplementation: Is there any association?” Health Promot Perspect. 2017 Mar 5;7(2):106-108. doi: 10.15171/hpp.2017.19. PMID: 28326292

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