「ニキビ」は「尋常性ざ瘡」という病名がついており、皮膚科で治療が行われます。しかし、当院に来院される患者さんは、長期に渡って皮膚科で治療を受けても改善しなかった方ばかりです。

日本で行われている「保険のニキビ治療」と、欧米で行われているスタンダードな「欧米のニキビ治療」には、大きな乖離があります。

間違いだらけの「ニキビ治療」

ニキビ治療の問題当院に受診する患者さんは、以下のような方が多いです。

  1. 皮膚科で、保険診療内で外用薬や抗生物質、ビタミン剤、漢方薬などの治療が行われる
  2. 何ヶ月~何年も治らないまま、長期間治療が継続されている
  3. ネットでニキビに効くと宣伝されている石けんや化粧品を購入してしまう
  4. 美容外科で、ピーリング、レーザー、光治療などの自費治療を受けるが改善しない

当院に来院されるまでに何年も色々な治療を受け続けており、繰り返しニキビができ続けていたせいで、ニキビ跡のクレーターやシミ、赤みが多数残ってしまっている状態になっています。

日本で使われているニキビ治療薬

以下は保険適用外のものもありますが、主に日本で処方されている治療薬の一覧です。

種類薬剤名
抗生物質内服ミノマイシン、ミノサイクリン、ビブラマイシン、ルリッド、ファロム、オラセフ、フラジール
抗生物質外用ダラシン、アクアチム、ゼビアックス、デュアック
漢方薬清上防風湯、十味敗毒湯、桂枝茯苓丸ヨクイニン、芍薬甘草湯、当帰芍薬散、加味逍遙散、荊芥連翹湯、温経湯
ビタミン類シナール、ハイチオール、フラビタン、ピドキサール、パントテン酸、ビオチン
アダパレン外用ディフェリンゲル、エピデュオゲル
ベンゾイル外用ベピオゲル、エピデュオゲル、デュアック

*エピデュオゲルはアダパレンとベンゾイルの合剤、デュアックはダラシンとベンゾイルの合剤です。

これらの治療薬は、最初に行うべき治療ではありますが、効果が出ない場合、または再発を繰り返す場合には、日本ではこれ以上の治療がありません。

アメリカでは50年以上前から使われ、ドラッグストアで購入可能な過酸化ベンゾイル外用薬は、日本では2014年に認可がおり、2015年から処方薬として使用できるようになりました。日本のニキビ治療は40年以上遅れており、重症なニキビや、何度も繰り返すニキビに対して、保険範囲内の治療では明らかに力不足です。

当院の治療方針として、保険治療を否定しているわけではなく、保険適用内の治療で改善がないか、もしくは再発してしまう患者さんは、何年も同じ治療を継続せずに正しい治療に移るべきであると考えています。

美容外科の治療

保険治療で改善が認められない患者さんは、美容外科や美容皮膚科で治療を受ければ良くなるのではないかと考えます。しかし、美容系クリニックで勧められる治療は、主に体の外側からの治療です。つまり、レーザーや光(クリアタッチやPDT)を照射したり、ケミカルピーリングを行ったり、ニキビを潰して押し出したりといった治療です。

また、皮脂腺に通電して、皮脂腺を破壊する治療は、従来は小林メソッドと呼ばれ、現在では名前を変えて皮脂腺凝固法やメディカルアクネケアなどと呼ばれていますが、医学的に考えて、無数にある皮脂腺をすべて壊すことは不可能です。また、皮脂腺を壊した場合、不可逆的になることや、毛穴が瘢痕化するリスク(毛穴が大きくなってしまうリスク)もあり、当院ではおすすめしていません。

クリニックによって治療方針はバラバラであり、しっかりとした医学的根拠(エビデンス)がある治療はほとんどありません。

化粧品やエステ

皮膚科に行っても治らないので、医学的な根拠の乏しいエステに頼ってしまう患者さんもいます。しかし、化粧品や医薬部外品には、ニキビを治療・治す効果が認められているものは一つもありません。

それにもかかわらず、インターネットでは「ニキビが治る」と宣伝しているエステや化粧品が沢山あります。効果があったというやらせの口コミや記事に溢れており、誰しも一度や二度は騙されてしまうでしょう。しかし、それらはステルスマーケティングといって広告会社が書いている記事です。本来このような広告手法は薬機法違反に該当するものの、あまりに多すぎて野放しにされている現状があります。

欧米のニキビ治療

欧米では、以下の流れでニキビ治療が行われています。

  1. アダパレンやベンゾイルなどの外用薬や、抗生物質の内服薬の治療が行われる。
  2. 4週間~8週間で改善が見られない場合、ホルモン療法やイソトレチノインによる治療へ移行する。

日本では、何ヶ月~何年も抗生物質を処方され続けることも多いのですが、欧米のガイドラインでは、抗生物質の内服治療は平均して4週間~8週間とし、耐性菌などの観点から、最大でも3ヶ月を超えて投与しないようにガイドラインで推奨されています。

ニキビ治療ガイドラインにより治療方針が定められているため、各施設によって治療方針のバラつきがなく、最も効果的な治療を行うことができます。結果として、治らないまま治療を長期間続けることがないため、ニキビ跡の凹凸、クレーター、色素沈着、赤みを最小限に抑えることができます。

アメリカのニキビ治療ガイドライン

米皮膚科学会のニキビ治療ガイドラインから抜粋したものです。

アメリカ皮膚科学会ニキビ治療ガイドライン

重症の場合は第一選択薬として抗生物質の内服と外用剤の組み合わせ、もしくは、アキュテイン(イソトレチノイン)による治療が推奨されています。中等症の場合では、抗生剤や外用剤に効果を認めない場合に、アキュテイン、もしくは、ホルモン治療(低用量ピル・スピロノラクトン)が選択されます。 

いずれにしても、効果が認められないからといって、次々に広域スペクトラムの作用の強い抗生物質に変更したり、何ヶ月も抗生剤の治療を続けるいったことはありません。ニキビ跡のクレーターは、一度出来てしまうと一生残ります。ニキビ跡を残さないようにできるだけ早期にニキビを治すことが重要です。

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