ニキビ(尋常性ざ瘡)

ニキビとは、医学用語で「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」というお肌の病気です。毛穴がつまることで、そこにアクネ菌が繁殖し、炎症を起こすことで生じます。多くは10代の思春期から出来始めますが、大人ニキビの場合には20代や30代からできることもあり、50代以降の方でもできることがあります。

非常にありふれた皮膚疾患のため、ニキビを治す化粧品やエステの広告をよく目にしますが、ニキビは皮膚の病気ですので、医療機関で治療することが必要です。

ニキビの原因

ニキビに悩む人は、「食べ物が悪いの?」「顔を洗っていないから?」「ストレスが原因?」「何かのアレルギーかな?」「化粧品が合っていないのかしら?」と、何かニキビの原因があるはずだといろいろと悩みます。

洗顔をしないことや化粧品でニキビが悪化する医学的根拠はなく、アレルギー(接触性皮膚炎や湿疹)とニキビ(尋常性ざ瘡)は全くの別疾患です。ストレスとニキビの因果関係はある程度は立証されていますが、個人差があります。

実際には、ニキビの原因は以下の3つです。

  1. 毛穴のつまり
  2. 細菌
  3. アンドロゲン(男性ホルモン)過活動

そして、最も大きなニキビの原因は体質です。

毛穴がつまりやすいのはその人の肌質(体質)であり、細菌感染が起こりやすいのも、その人の持っている免疫力(体質)であり、男性ホルモンの感受性が高いのも、その人の持っている遺伝子(体質)のためです。

同じ食生活をしていても、同じ環境でストレスを受けていても、同じ化粧品を使っていても、ニキビができる人はでき、できない人はできません。結局、ニキビができる人はできやすい体質であり、遺伝的な要因が最も大きな比重を占めます。

食生活

脂っこい食事を食べるとニキビができやすくなるというのは迷信で、から揚げなどの「油もの」とニキビとの因果関係はありません。

医学的に食生活と関係があるとされているものは、「牛乳などの乳製品」、「炭水化物(糖質)」の2つです。そのため、この2つの食べ物は控えて頂く方が良いでしょう。

ただし、食生活で改善できる度合は大きくありません。 炭水化物が大好きでもお肌が綺麗な方もいます。結局は体質的な要因のほうが大きいため、極端に食事を制限せず、バランスよく食べましょう。

ニキビ治療の問題

日本のニキビ治療は40年以上遅れていることから、医学的根拠(エビデンス)の乏しい美容治療や、化粧品や医薬部外品の宣伝にあふれています。

美容治療

日本では、毛穴に電気針(高周波)を入れて焼く治療、光やLEDを照射する治療、PDT、ピーリング、イオン導入、レーザー治療、ニキビ注射、ニキビワクチンなど様々な美容治療があります。

しかし、アメリカ皮膚科学会のガイドライン上ではこれらの治療は推奨されておらず、医学的なエビデンスも乏しいものです。

化粧品

インターネットでは、ニキビを治す化粧品がたくさん宣伝されています。

しかし、化粧品には、ニキビを治す効能効果が認められているものは一つもありません。

また、医薬部外品は「グリチルリチン酸ジカリウム」を一定濃度配合すれば、ニキビを防ぐ効能効果を謳えます。それを拡大解釈して誇大に広告されているケースがありますが、実際には大昔に出来た規定であり、グリチルリチン酸ジカリウムという成分の有効性は限定されています。

芸能人や皮膚科医を登場させたり、医学論文に掲載されたと宣伝して、あたかも効能効果が認められているかのような広告もあります。

そのような広告に登場する皮膚科医は企業にお金をもらって名義を貸しているのであり、化粧品が掲載されたという医学論文のほとんどは、3流以下の医学雑誌です。そのような医学雑誌は、古くから刊行されていても、エビデンスレベルが非常に低い論文しか掲載されていません。

そのような化粧品では、評判をネットで検索すると、大量の良い情報しか出てこないことがあります。誰が書いているかわからない記事は、企業がお金を払ってライターに書かせているステマサイトやアフィリエイトサイトであることがほとんどです。

今の日本では、なんの効果も持たない化粧品や医薬部外品の誇大広告が野放しにされている現状があり、ネットリテラシー(インターネットを利用する上での読解力)を高めて、化粧品の広告に騙されないことが大切です。

正しいニキビ治療

日本では遅れているニキビ治療ですが、欧米ではニキビ治療の方針が確立しています。

保険治療

当院では、まずはお近くの皮膚科で保険治療を受けて頂くことをおすすめしています。(混合診療となってしまうため、当院での保険治療は行っておりません。)

保険診療でニキビに処方されるお薬は、主に以下のものです。

種類薬剤名
抗生物質内服ミノマイシン、ミノサイクリン、ビブラマイシン、ルリッド、ロキシスロマイシン
抗生物質外用ダラシン、アクアチム、ゼビアックス、デュアック
漢方薬清上防風湯、十味敗毒湯、桂枝茯苓丸ヨクイニン、芍薬甘草湯、当帰芍薬散、加味逍遙散、荊芥連翹湯、温経湯
ビタミン類シナール、ハイチオール、フラビタン、ピドキサール
アダパレン外用ディフェリンゲル、エピデュオゲル
ベンゾイル外用ベピオゲル、エピデュオゲル、デュアック

*エピデュオゲルはアダパレンとベンゾイルの合剤、デュアックはダラシンとベンゾイルの合剤です。

2016年の日本皮膚科学会のガイドラインでは、急性の炎症性ニキビに対して、内服抗菌薬(抗生物質の飲み薬)、外用抗菌薬(抗生物質の塗り薬)、アダパレンや過酸化ベンゾイルといった塗り薬が推奨度Aとされています (1)

保険適用外治療

肌のクリニックでは、米皮膚科学会のガイドラインに従って、アキュテイン治療とホルモン治療の2つを行っています。

アメリカのニキビ治療

アメリカ皮膚科学会ニキビ治療ガイドライン

アメリカ皮膚科学会のニキビ治療ガイドラインでは、重症の場合は第一選択薬として抗生物質(抗生剤)の飲み薬とベンゾイルなどの塗り薬の組み合わせ、もしくは、アキュテイン(イソトレチノイン)による治療が推奨されています (2)

中等症の場合では、抗生剤などの効果がない場合、アキュテイン、もしくは、ホルモン治療(低用量ピル・スピロノラクトン)が選択されます。

欧米では、抗生物質の長期投与の有用性は明確に否定されており、長くても8週間程度とされています。

医学的根拠に基づいた治療

当院では、医学的なエビデンスに基づいた治療を採用しています。実際には欧米のニキビ治療ガイドラインをもとに、ニキビの重症度や患者さんの希望に合わせて治療を行います。

体の中から根本治療

レーザーやピーリング、光治療などの外側からの治療ではなく、飲み薬による「内側からの治療」を行い、再発リスクをできる限り抑えます。

また、当院では医師からメリット・デメリットを詳細に説明し、定期的な副作用検査を行い、安全性を重視した治療を行っています。

早期治療の重要性

正しい治療を行えば、ニキビを治すことは難しくありません。

しかし、ニキビが治らないまま、何か月~何年もお薬を処方され続けられるケースや、エビデンスがない治療を勧められるケースが後を絶ちません。

中等症以上のニキビでは、毛穴が開いたり、クレーターと呼ばれる肌の凹凸ができてしまうことがあり、一生残ってしまうニキビ跡になってしまうことも少なくありません。

そのため、当院はできる限りの早期治療を勧め、ニキビ跡を残さないように努めています。

よくある質問

ニキビ治療についての質問

肌のクリニックでは、前提として保険治療を行って改善しない、もしくは再発を繰り返すニキビに対してのみ治療を行っています。

男性の場合は「アキュテイン治療」、女性の場合は「 アキュテイン治療」もしくは「ホルモン治療」を行います。

実際に使用する薬剤によって異なりますが、ニキビに対する有効率は95~98%以上、しっかりした治療では6ヶ月間の治療で再発率を30%まで抑えることも可能です。

前院から合わせて14年以上に渡って重症ニキビ、難治性ニキビの治療実績がありますので、安心してご相談ください。

当院では、「ニキビは内服薬によって体の中から治す」ことが大切であると考えています。実際にアメリカ皮膚科学会のニキビ治療ガイドラインでも、中等症~重症の難治性ニキビに対しては、内服治療が推奨されています。

ニキビは単に皮膚上の問題ではなく、ホルモンバランスや免疫力など体の内面の問題が原因となります。レーザーや光治療、ピーリング、外用剤を使用した外側からのアプローチでは、現在あるニキビやニキビ跡は多少良くなってとしても、新しく出てくるニキビを防ぐことはできません。

順番としては、第一に内側から治療を行い、次に外側からアプローチすることが大切です。つまり、内服薬を使用した「内科的治療」でニキビができない肌になった後で、外側からのアプローチとして、レーザーやピーリングなどのニキビ跡治療を行います。

この順番を間違えてしまうと、ピーリングやレーザーを受けて一時的に良くなったとしても、また新しくニキビができ、それがニキビ跡になってしまうという悪循環に陥るため、注意が必要です。

当院のニキビ治療は、自費診療となります。

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参考文献

1.林 伸和ら, (2017) “尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017” 日皮会誌:127(6), 1261-1302, 2017

2.Andrea L. Zaenglein, (2016) “Guidelines of care for the management of acne vulgaris” J Am Acad Dermatol. 2016;74:945–73.

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