肌のクリニックのニキビ治療– Details –
肌クリのニキビ治療は、一般皮膚科で治らなかったニキビを対象に「イソトレチノイン」と「ホルモン治療」で改善させます。
各治療の詳細は下記をご覧ください。
ニキビ(尋常性ざ瘡)– Acne –
ニキビとは、医学用語で「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」というお肌の病気です。毛穴がつまることで、そこにアクネ菌が繁殖し、炎症を起こすことで生じます。多くは10代の思春期から出来始めますが、大人ニキビの場合には20代や30代からできることもあり、50代以降の方でもできることがあります。
ニキビの原因
ニキビ患者さんは、ニキビの原因を生活習慣の中に見つけ出そうとします。
- 「食べ物が悪いの?」
- 「顔を洗っていないから?メイクを落とさなかったから?」
- 「ストレスが原因?」
- 「何かのアレルギーかな?」
- 「化粧品が合っていないのかしら?」
何かニキビの原因があるはずだといろいろと悩んでいますが、実は、ニキビは遺伝的・体質的な要因がほとんどです。
同じ生活習慣をしても肌がきれいな人も、ニキビができる人もいます。そして、慢性的にニキビや肌荒れに悩んでいる患者さんは、すでに正しい生活習慣やスキンケアをしている方も多く、それでも改善しません。
ニキビの原因について、詳しくは下記をご覧ください。
日本のニキビ治療の問題
日本のニキビ治療は40年以上遅れていることから、医学的根拠(エビデンス)の乏しい美容治療や、化粧品や医薬部外品の宣伝にあふれています。
- 美容治療
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日本では、毛穴に電気針(高周波)を入れて焼く治療、光やLEDを照射する治療、PDT、ピーリング、イオン導入、レーザー治療、ニキビ注射、ニキビワクチンなど様々な美容治療があります。
しかし、アメリカ皮膚科学会のガイドライン上ではこれらの治療は推奨されておらず、医学的なエビデンスもはっきりしません。
- 化粧品
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インターネットでは、ニキビを治すという化粧品を沢山目にします。
「この化粧品を使ったらニキビが良くなった」という感想も沢山目にします。しかし、そういった口コミは広告会社による宣伝であったり、アフィリエイト(商品を紹介して売れれば利益になる)だったりすることが多々あります。
ニキビは生理周期や一定の時期に自然に良くなったり、悪くなったりすることが多く、ちょうど化粧品を変えたタイミングで良くなると、「化粧品で治った」と誤解するのもよくあるパターンです。
化粧品には、ニキビを治す効能効果が認められているものは一つもありません。とくに再発を繰り返すニキビや重症のニキビの方は、いろいろな化粧品の情報に惑わされるべきではありません。
- 医薬部外品
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「化粧品ではなく医薬品成分が配合。だからニキビに効果がある」と宣伝されている医薬部外品広告もよく目にします。
医薬部外品は「グリチルリチン酸ジカリウム」を一定濃度配合すれば、「ニキビを防ぐ」という効能効果が謳えますが、実際の臨床ではグリチルリチン酸2Kのニキビを防ぐ効果は乏しく、治療には使えないレベルです。
芸能人や皮膚科医、美容インフルエンサーを登場させたり、医学雑誌に掲載、臨床実験済みと広告して、驚くような改善効果のあるビフォーアフター写真を掲載し、効能効果を宣伝している化粧品・医薬部外品もあります。
医学論文に掲載して「劇的な改善効果」を確認しているのなら、正式な認可をとって医薬品として販売したほうが、企業にとっては何百倍も利益になりますが、効果が嘘なので認可を取得する企業はありません。
また、広告に登場する医師のほとんどが「名義貸し」で、掲載されている医学雑誌は古くから刊行されているだけで、エビデンスが乏しい論文しか掲載されていないものばかりです。しかし、あたかも権威がある雑誌のように紹介されていたりもします。
商品をネットで検索すると、消費者を装った広告ブログやアフィリエイトサイトが沢山出てくるのもよくある手口です。
今の日本では、効果のない化粧品や医薬部外品の誇大広告が野放しにされている現状があり、ネットリテラシーを高めて、広告に騙されないようにしてください。
- 保険治療
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保険診療では、通常、ニキビに対して以下の薬が処方されます(当院では保険診療は行っておりません)。
種類 薬剤商品名 抗生物質
(内服)ミノマイシン、ミノサイクリン、ビブラマイシン、ルリッド、ロキシスロマイシン 抗生物質
(外用)ダラシン、アクアチム、ゼビアックス、デュアック 漢方薬 清上防風湯、十味敗毒湯、桂枝茯苓丸ヨクイニン、芍薬甘草湯、当帰芍薬散、加味逍遙散、荊芥連翹湯、温経湯 ビタミン シナール、ハイチオール、フラビタン、ピドキサール アダパレン ディフェリンゲル、エピデュオゲル ベンゾイル ベピオゲル、エピデュオゲル、デュアック - エピデュオゲルはアダパレンとベンゾイルの合剤
- デュアックはダラシンとベンゾイルの合剤
国内の皮膚科学会のガイドラインでは、急性の炎症性ニキビに対して、抗生物質や過酸化ベンゾイルなどの塗り薬が推奨度Aとされていますが 1、実際の臨床では何年も皮膚科に通院してもニキビが治らない患者さんが沢山います。
欧米のニキビ治療
欧米では、中等症以上のニキビに対してイソトレチノインやホルモン治療が用いられています。
アメリカ皮膚科学会のニキビ治療ガイドラインでは、重症の場合は第一選択薬として抗生物質の飲み薬とベンゾイルなどの塗り薬の組み合わせ、もしくは、最初からイソトレチノインによる治療が推奨されています 2。
中等症の場合では、抗生剤などの治療が効果ない場合、アキュテイン、もしくは、ホルモン治療(低用量ピル・スピロノラクトン)が選択されます。抗生物質の長期投与の有用性は明確に否定されており、長くても8週間程度です。
ニキビ治療のポイント
ニキビ治療において、当院が重視しているのは以下の3つです。
- 医学的根拠に基づいた治療
当院では、医学的なエビデンスに基づいた治療を採用しています。実際には欧米のニキビ治療ガイドラインをもとに、ニキビの重症度や患者さんの希望に合わせて治療を行います。 - 体の中からの治療
レーザーやピーリング、光治療などの外側からの治療ではなく、飲み薬による「内側からの治療」を行い、長期的に肌を安定させるとともに、再発リスクをできる限り抑えます。 - 早期治療の重要性
正しい治療を行えば、ニキビを治すことは難しくありません。しかし、ニキビが治らないまま何ヶ月も薬を処方され続けられるケースや、光やレーザーなどの美容治療を勧められるケースが後を絶ちません。
ニキビ跡の瘢痕によって、毛穴が開いてしまったり、肌が凹んでしまうと、一生残るニキビ跡になってしまいます。そのため、「ニキビの早期治療」に主眼を置いて治療を行っています。
ニキビ治療の一般的な質問
- 保険は効きますか?
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いいえ。当院のニキビ治療は、すべて自費診療です。
- 肌のクリニックのニキビ治療にはどんなものがありますか?
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欧米のニキビ治療ガイドラインに準拠し、男性の場合は「イソトレチノイン治療」、女性の場合は「 イソトレチノイン」もしくは「ホルモン療法」を行います。
- 治療成績を教えてください
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治療中にほぼ新生ニキビがなくなる改善率は、ホルモン治療で95%以上、イソトレチノイン治療で98%以上です。ホルモン治療の再発率は60%以上と高めで、イソトレチノイン治療の再発率は30%です。
- なぜ内側からの治療が重要なのですか?
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「ニキビは内服薬によって体の中から治す」ことが大切です。実際にアメリカ皮膚科学会のニキビ治療ガイドラインでも、中等症~重症の難治性ニキビに対しては、内服治療が推奨されています。
ニキビは単に皮膚の問題だけではありません。ホルモンバランスや免疫など体の内側の問題のほうが大きな原因となります。レーザーや光治療、ピーリング、塗り薬などの外面からのアプローチでは、新しく出てくるニキビを防ぐ効果は乏しいと言えます。
軽症のニキビは、まず保険内の外用薬で治療し、改善がない場合に内服薬による治療を行います。中等症以上のニキビには、内服薬を第一選択とします。
新生ニキビができなくなった後に、並行して、レーザーやピーリングでニキビ跡治療を行います。
この順番を間違えてしまうと、ピーリングやレーザーを受けて一時的に良くなったとしても、また新しくニキビができ、それがニキビ跡になってしまい、永遠に肌が綺麗にならないという悪循環に陥るため、注意が必要です。
参考文献・サイト一覧
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