もくじ
ホルモン治療

ホルモン治療は、女性の中等症以上のニキビに使用する飲み薬です。当院のホルモン治療は「ピル」と「スピロノラクトン」という薬の組み合わせで行います。
低用量ピルは1973年にアメリカで開発され、現在は世界で1億人以上の女性が毎日服用している薬です。日本はピルの後進国ですが、フランス・オランダ・ドイツなどのヨーロッパでは、妊娠可能な15歳~49歳の女性の約50%が避妊目的でピルを服用しており、ニキビなどの皮膚疾患の治療薬としても用いられています。
スピロノラクトンはもともと利尿剤や心不全の治療薬として古くから使われてきたお薬ですが、男性ホルモンを抑制する働きがあり、15年ほど前からニキビの治療に応用されるようになりました。製剤にはスピロノラクトンのほか、アルダクトン・ノイダブルなどがあります。
ホルモン治療の効果と特徴
ニキビに対するホルモン治療の有効率は95%以上であり、アキュテイン治療に次いで非常に効果が高い治療です。また、安全性は非常に高く、抗生物質や解熱鎮痛剤といった汎用薬よりも、重篤な副作用を起こす確率が低いことが知られています。
デメリットとしては、効果が現れるまで多少の時間がかかり、治療開始後、3ヶ月間は30%の患者さんで一過性にニキビの増悪がみられます。平均して4ヶ月目から、徐々にニキビが改善していきます。また、再発率が約60%と高いことも欠点です。再発した場合は、治療前のレベルに戻ってしまう患者さんも20%の割合でいらっしゃいます。
対症療法となったとしても、一度ニキビを全て無くし、その後のメンテナンスをしていくことは、ニキビ跡をできるだけ残さないという点で非常に大切な治療となります。また、症状を抑える治療を続けていくことで、自然にニキビができない年齢に達する方もいらっしゃいます。
肌が綺麗になってからも継続していただくことが多く、平均して1年~2年程度の治療期間になります。安全性が非常に高いことが最大のメリットであり、きちんと副作用チェックを行えば、長期間服用することも可能です。
ホルモン治療は、できるだけ副作用が少ない薬で治療したいという方におすすめします。特に生理不順、月経困難症、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜症、生理痛といった婦人科系の病気や症状を改善する働きがあるため、それらの症状で悩んでいる方へもおすすめです。
*再発率に関しては、治療終了後、新生ニキビの数が治療前の状態の1/3以上に戻った場合を再発と呼んでいます。
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ニキビに効くメカニズム
女性でも体内で「男性ホルモン」が作られています。男性ホルモンを分泌する臓器は「卵巣」と「副腎(皮質)」の2つです。男性ホルモンは、毛を太くしたり、皮脂腺を大きくしたり、ニキビを悪化させたリといった、女性にとってあまり好ましくない作用があります。
男性ホルモンの量が過剰であったり、量自体は正常でも、男性ホルモンの感受性が高い女性の場合、ニキビに悩まさせる可能性があります。
当院のホルモン治療にはピルを用いますが、ピルには微量の女性ホルモンと黄体ホルモンが配合されています。女性ホルモンは肌のキメを細かくし、毛穴を小さくし、肌の水分量を上げるなどの作用を持ちます。黄体ホルモンは、種類によって男性ホルモンの作用を強くするものと、弱くするものがあり、ニキビの治療には、男性ホルモン活性を抑える力を持つものを使用します。
当院ではスピロノラクトンも用いますが、スピロノラクトンには抗アンドロゲン作用があり、男性ホルモンを抑制する働きがあります。安全性は非常に高く、スピロノラクトンとピルと併用して治療することで、ニキビの治癒率を上げることができます。
一方で、スピロノラクトンは飲んでいる間しか効果がないことやリバウンドがあることが分かっており、当院ではピルの効果が出てきた段階で、リバウンドしないように少しずつ減量していくという方法を取っています。
ホルモン検査の必要性
男性ホルモンや女性ホルモンの値を検査することで、その人の持っているホルモンバランスを見ることができます。しかし、当院ではホルモン検査を積極的には行ってはいません。
その主な理由として、 検査を行わなくてもほとんどの女性に治療が有効なこと、 男性ホルモンに対する感受性が高い場合はホルモンの数値が正常であること、高額な検査(女性ホルモン4種類+男性ホルモン検査で8,860円)であることなどによります。
一方で、ニキビに長年悩まされている女性で生理不順などの症状がある方は、ホルモン検査を受けるべきです。これは「多嚢胞性卵巣症候群(PCOs)」という婦人科系の病気が隠れていることがあるためです。PCOsの患者さんは、女性ホルモンの一つであるLHがFSHよりも高くなっており、男性ホルモン値も上昇していることが多いのが特徴です。
ホルモンバランスには変動がありますので「生理の3日~5日目の午前中」に採血する必要があります。検査をご希望の方は、タイミングを合わせてご予約をお取りください(ホルモン剤内服中の方は検査はできません)。
症例写真
ホルモン治療によるニキビ治療の症例写真をご覧になりたい方は、下記をクリックしてください。
治療症例1(赤ら顔と丘疹)
来院の経緯
20代女性。中学生よりニキビが出来始め、20代から広範に顔全体に赤ニキビができるようになりました。皮膚科で保険治療を何年か受けていましたが改善を認めなかったため、整体医院で「アーク光線」という治療を週に2回、7ヶ月で50回ほど受けました。しかし、まったく改善しなかったため、当院へ来院されました。
治療前の写真
無数の細かい丘疹が顔全体にあり、ニキビの炎症と色素沈着のため、顔全体が赤ら顔になっています。


ピルとスピロノラクトンを併用したホルモン治療を開始しました。
8ヶ月後写真
新生ニキビは激減しました。また、炎症が引いたため、顔全体の赤みも改善しています。治療を始めて3ヶ月ほどでニキビが良くなったため、サリチル酸マクロゴールピーリングを月に1回の頻度で行っており、ニキビ跡の色素沈着も目立たなくなりました。


解説
この患者さんは、ピルとスピロノラクトンによる治療を約3年行って一旦終了しました。その後3年間、肌の状態は落ち着いていましたが、初診時ほど悪化はしていないものの、再発を認めたため、再度ホルモン治療を行いました。
当院のデータでは、ホルモン療法の再発率は60%以上で、イソトレチノイン(アキュテイン)と比較すると再発しやすい点がデメリットです。
そのため、ある程度病勢(病気の勢い)が落ちるまで飲むように説明しています。安全性は比較的高く、長期に内服することができる点はメリットであり、にきび跡を増やさないためにメンテナンス的に服用することが可能です。
治療症例2(丘疹の多発)
来院の経緯
20代女性。中学生ごろからニキビに悩まされており、近くの皮膚科で漢方薬とベピオゲルによる治療を行い、一旦は改善したものの、社会人になってから再発、増悪しました。その後、外用薬、漢方、抗生物質等の保険治療を再度行いましたが改善せず、婦人科で低用量ピル(ファボワール)を処方されるも改善しなかったため、当院へ来院されました。
治療前の写真


重症ではありませんが、頬~顎を中心に細かい白ニキビと赤ニキビが混在しており、ニキビのせいで肌の凹凸が目立ちます。前医で飲んでいたファボワールから、男性ホルモン活性を抑えるタイプのピルへ変更し、スピロノラクトンを加えて治療を開始しました。
1年後写真
下記の写真は治療開始から1年経過した後の写真です。ニキビの新生はなくなり、元のきれいな素肌に戻っています。


解説
ホルモン剤によるニキビ治療では、改善するまでおおよそ3~4ヶ月の期間が必要です。また、初期悪化は最初の1ヶ月が最も多く、3ヶ月ほど続く場合があります。
早く治したいという方には向きませんが、副作用が少ない治療選択したい方に適しています。
ホルモン治療のメリットとしては、副作用が比較的少ないことに加え、生理痛が軽くなり、規則正しく生理(出血)が来るため、PMSや生理不順がある方、PCOs(多嚢胞性卵巣症候群)の患者さんも使いやすいことです。
デメリットは、再発率が高いことと、稀ですが、血栓症のリスクや乳癌、子宮頸がんのリスクなども注意しなければなりません。
例え根治に繋がらず、対症療法となったとしても、ニキビを抑えることは、ニキビ跡の形成を防ぐため、肌にとって非常に大切です。
写真を掲載している患者さんは、掲載についての同意書を頂いております。診察時に撮影する写真は診療録のためであり、個人情報保護法によって守られています。ご本人の同意なしに掲載することはありませんので、ご安心ください。
ホルモン治療の副作用
ピルの副作用
ピルは全世界で毎日1億人以上の女性が使用しており、安全性の高い薬剤の一つです。欧米では20代、30代の女性の約半数が使用している国もあります(ドイツ52.6%、フランス43.8%)。
50年以上前から処方されており、安全な薬として認知されていますが、飲み始めの頃はホルモンのバランスに変化が起きるため、吐き気や頭痛、乳房痛、むくみなどの症状が出ることがあります。それらの副作用は、服用を続けると次第に軽快していくことがほとんどです。
「服用すると妊娠に影響はありませんか?」と心配される方がいますが、ピルを服用中は避妊効果がありますので、妊娠する可能性はほぼありません。また、ピル服用中止後も妊娠しにくくなるといったエビデンスはありません。
「癌にかかるのが怖いのですが」という患者さんもいますが、服用5年以内であれば乳癌、子宮頸がんのリスクの増加は少なく、また逆に子宮体癌、卵巣癌、大腸癌のリスクは減少します。
乳がんは日本人の12人に1人がかかるとされていますが、最大で1.2倍程度のリスクと考えられています。また、服用を中止すれば徐々にそのリスクはなくなります。
子宮頸がんのリスクは5年以内の服用では増加はほとんどありませんが、10年以上の服用で2倍に増加するというデータがあります。当院ではピルを飲んでいる、飲んでいないに関わらず、子宮頸がんは20代から2年に1回、乳がんは30代から1年に1回の検診をお勧めしています。
その他非常に稀ですが、海外で酢酸シプロテロン(ダイアン・スーシー)を長期服用している方に、肝障害や肝臓がんが報告されています。当院では、必要がなければピルの種類を変更していますので、過去に肝臓がんの報告は1例もありません。
ピルによる血栓症(血が固まり、静脈や動脈に詰まる病気)のリスクについては、薬の種類によって3倍から最大7倍程度まで高まることがありますので、注意が必要です。
例えば、ヤーズは低用量ピルの中では最も血栓症のリスクが高いピルの一つとして知られていますが、過去に国内で14万人処方された患者さんのうち、3名の死亡事故が報告されています。死亡事故までいかなくても、血栓症を発症した人数は87人と報告されており、他のピルに比べて多い数値となっています。
ただ、14万人中3人というのは、10万人あたり2.1人の死亡数ということになります。統計上は、交通事故での死亡する確率よりも4分の1、喫煙によって死亡する確率より80分の1とされています。
当院では、年齢・血圧・体重・喫煙歴や、高脂血症、前兆がある片頭痛などの持病を確認し、血栓症のリスクがある方へは原則処方しておりません。また、当院では20代で若い方で1日1本しかタバコを吸わない方でも、必ず禁煙していただいています。
血栓を100%完全に予防することはできませんが、生活指導や詳しい副作用シートで血栓症のリスクが高まる状態や症状などを読んでもらい、できるだけ予防できるように心掛けています。
スピロノラクトンの副作用
スピロノラクトンも安全性の高いお薬ですが、稀に血液中のカリウムを上昇させる副作用や腎機能障害等が報告されているため、定期的に採血検査を行います。
よく起こる副作用は、不正出血(月経不順)や肌の乾燥ですが危険な副作用ではありません。その他、利尿作用や血圧低下が見られることがあります。
飲み始めた直後から4週間くらいまでの間に蕁麻疹、発疹、皮膚のかゆみなどのアレルギー反応が起こる方がいます。また、非常に稀ですが、重度のアレルギーによるアナフィラキシーショック(急激な血圧低下や呼吸困難、顔面浮腫)、中毒性表皮壊死融解症やスティーブンス・ジョンソン症候群(高熱、重い皮膚粘膜障害)が報告されていますが、他の薬剤と比較して頻度が高いわけではありません。
ホルモン治療の料金
項目 | 料金(税別) |
スーシー | 1シート 2,260円 |
ヤスミン | 1シート 2,680円 |
マーベロン | 1シート 1,760円 |
マーシロン(超低用量) | 1シート 2,260円 |
ラベルフィーユ | 1シート 1,980円 |
スピロノラクトン | 1錠 30円 |
- 薬の処方には必ず診察が必要となります。
- 副作用チェックのための検査は、初回時、その後は3ヶ月に1回、安定期に入った後は6ヶ月に1回のペースで必要です。
- 日本ではニキビに対して未承認薬のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
下記の料金は、ホルモン療法によるニキビ治療費の一例です。使用する薬剤の種類や量によって価格は変動します。初診時は、初診料や検査費用がかかるためやや高いのですが、4ヶ月目からニキビが改善していき、薬の量も減るため、価格も安くなっていきます。
減薬期になると、1ヶ月あたりの費用は約6,000円です。1年ほど経過してニキビが完全に落ち着き安定期に入った後は、低用量ピルだけの治療に切り替わり、1ヶ月あたり治療費は2,500~4,000円となります。
初診時の治療例
初診時(税別) | |
初診料 | 3,500円 |
薬代 | ヤスミン1シート (28日分)2,680円 スピロノラクトン112錠 (28日分)3,360円 |
検査料 | 血液検査 2,680円 尿検査 960円 |
合計(28日) | 13,180円 |
減薬期の治療例
薬剤減量期(税別) | |
再診料 | 1,500円 |
薬代 | ヤスミン3シート (3ヶ月) 8,040円 スピロノラクトン168錠 (3ヶ月) 5,040円 |
検査料 | 血液検査 2,680円 |
合計(3ヶ月) | 17,260円 *1ヶ月あたり5,750円 |
安定期の治療例
安定期(税別) | |
再診料 | 1,500円 |
薬代 | マーベロン6シート (6ヶ月) 10,560円 |
検査料 | 血液検査 2,680円 |
合計(6ヶ月) | 14,740円 *1ヶ月あたり2,450円 |
ホルモン療法を受けられない方
以下の方は、ホルモン療法を受けられないことがあります。
- 医薬品を個人輸入している方
当院では医師の責任の下で医薬品の処方と治療を受けることができる患者さんのみに診療を行っておりますので、ご了承ください。 - 男性の方
- 初経前の方
骨端線が閉鎖して、身長が止まる可能性があります。 - 18歳未満の方
18歳未満の方は初診時には保護者の方と同伴でなければ、薬の処方はできません。再診時はご本人だけでも診察可能です。 - タバコを吸われる方
相互作用があるため、当院では必ず禁煙していただいております。 - 40歳以上の方
- 妊娠中、授乳中、または1年以内に妊娠の予定がある方
- BMI(体重÷身長m2乗)が30を超えている方
- 乳癌、子宮頸がん、子宮頸部上皮内腫瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎、高血圧、高脂血症、糖尿病、重篤な肝障害、腎障害、肝腫瘍、耳硬化症、抗リン脂質抗体症候群、血栓性素因、肺高血圧症、心房細動、心臓弁膜症、心内膜炎、ポルフィリン症、てんかんの既往がある方
- 前兆(目の前が暗くなる、キラキラする、視野が狭くなる等)のある偏頭痛がある方、35歳以上で偏頭痛がある方
- 診断の確定していない異常性器出血がある方
- 妊娠中に高血圧、黄疸、持続的なかゆみ、ヘルペスがあった方
よくある質問
ホルモン治療の成績・効果を教えてください
ピルとスピロノラクトンによるホルモン治療開始から約3ヶ月間は、30%の患者さんでニキビが悪化する可能性がありますが、4ヶ月目から徐々に効果が現れ、6ヶ月で90%、12ヶ月で95%の患者さんが治癒、改善していきます。
肌がきれいになった後も、ニキビの病勢(びょうせい=病気の勢い)が衰えるまで、平均して1年から2年ほどお薬を継続してもらっています。
副作用を教えてください
「ホルモン治療の副作用」をご覧ください。 診察時には副作用シートに沿ってより詳しく説明させていただきます。
通院頻度と期間を教えてください
最初の4ヶ月間は約4週間に1度、その後は2ヶ月に1度、症状が落ち着けば3ヶ月~6ヶ月に1度の通院で治療が可能です。遠方の方や通院が難しい方は、多めにお薬を処方することも可能です。
治療期間は1年間~2年間を目安に通院していただいています。副作用が少ない薬剤ですので、長期に服用可能です。実際に5年以上服用されている患者さんも多くいます。
忙しくて来院がなかなか難しい患者さんは、遠隔診療もご利用になれます。詳しくは、「遠隔診療」のページをご参照ください。
血液検査はどれくらいの頻度で必要ですか?
初診時に服用前の検査として、採血検査、血圧測定、尿検査(妊娠反応検査)を必ず全患者さんに行います(尿検査は、生理中の場合は必要ありません)。
お薬を飲み始めてから約2~3ヶ月後に、血圧測定と血液検査を行います。その後は3ヶ月に1回、副作用チェックのために採血・血圧測定を行います。
スピロノラクトンが減量となり、ピルだけの治療に移行した場合は、約6ヶ月に1回の検査で問題ありません。
血液検査等を拒否される患者さんが稀におられますが、必要な検査を行わない場合、当院での薬の処方はできませんのでご了承ください。ただし、検診や他の病院で血液検査を行っている場合は、その旨をお申し出ください。
ピルの飲み方を教えてください
初めてピルを飲む場合
Sunday(サンデー・日曜日)スタートをおすすめしています。サンデースタートは、日曜日にピルを飲み始める方法で、週末に出血を避けることができます。妊娠していないことが確実であれば、次の日曜日からスタートします。避妊目的の場合、飲み始めの最初の1週間は他の避妊方法を併用してください。
- 最初のシートは、日曜日から服用を開始します。
- 1日1回1錠です。食前、食後は関係なく、毎日ほぼ一定の時間に飲んでください。
- 毎日1錠ずつ21日間継続し、その後7日間休薬します。
- 休薬期間の2~5日目(多くは3日目か4日目)に出血が始まります。
- 8日目(日曜日)から、新しいシートを飲み始めます。
- その後は「21日間服用、7日間休薬」の繰り返しになります。
服用時刻
ピルの服用時刻は何時に設定してもかまいません。食前、食後も関係ありませんが、毎日ほぼ一定の時間に飲んでください。ピルを決まった時間に飲むことによって、体内のホルモン濃度を一定に保ち、肌の調子を整えてくれます。
飲み忘れが多くなると、不正出血が起こりやすくなり、避妊効果も薄れてしまいます。できるだけずれないように服用してください。吐き気などの副作用が気になる場合には、就寝前か夕食後に服用すると良いでしょう。
水で服用
通常はお水で飲むことをおすすめしますが、ジュースやお茶、お酒で飲んでも効果にかわりはありません。
ピルと一緒に飲んではいけないお薬はありますか?
ピルと相互作用がある薬剤
- トラネキサム酸
抗炎症作用がある薬剤です。肝斑治療目的でも使用されています。市販の風邪薬等に配合されていることがあります。
トラネキサム酸は、血栓を溶けにくくする作用があり、血栓症が起こった際のリスクを高める可能性が否定できませんが、非常に稀です。短期間の併用で問題になることは非常に稀です。外用剤は問題ありません。
代表的な商品名:トランサミン、トランシーノ、ペラックT錠、ハレナース、ベンザブロック咳止め、ベンザ鼻炎薬α、ベンザエースA、ルルアタックEX、コルゲンコーワIB錠 - セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)
ピルの吸収を阻害することがあります。 - 抗HIV薬、抗結核薬
ピルの作用を減弱させることがあります。 - 抗てんかん薬
ピルの作用を減弱させることがあります。
代表的な商品名:テグレトール、ラミクタール、アレビアチン、ヒダントール、フェノバール、プリミドン、トピナ、デパケン、バレリン、エピレオプチマル、ザロンチン
*抗生物質に関しては、ピルの作用を減弱させることがあると考えられていましたが、現在は欧米の試験で否定されています。
スピロノラクトンと一緒に飲んではいけないお薬はありますか?
スピロノラクトンと相互作用がある薬剤
- カリウム製剤
食品から摂取する程度では、まったく問題になりません。 - タクロリムス
免疫抑制剤です。代表的な商品名 プログラフ、グラセプター、タクロリムス - エプレレノン
利尿剤です。代表的な商品名 セララ - ミトタン
抗がん剤です。代表的な商品名 オペプリム
その他、降圧薬等で相互作用が出る場合がありますので、診察の際に医師にご相談ください。
お酒と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
ホルモン剤(ピルやスピロノラクトン)とアルコールとの相互作用はありませんが、お薬を飲む際は水で飲んでください。
過度な飲酒は血圧低下や肝臓に負担をかけるためお控えください。
ピルを飲み忘れたときはどうしたら良いですか?
ピルの飲み忘れ

- 1錠の服用忘れに気がついた場合には、飲み忘れた錠剤をなるべく早く服用し、残りの錠剤は予定通りに服用してください。通常は避妊効果が保たれますが、シートの最初もしくは最後の錠剤を飲み忘れた場合、念のため、7錠以上連続して服用するまでコンドームなどの他の避妊方法を併用してください。
- 2錠以上の服用忘れに気がついた場合には、飲み忘れた錠剤のうち直近のものをなるべく早く服用し、残りの錠剤を予定通り服用すると共に、7 錠以上連続して服用するまでコンドームなどの他の避妊方法併用するか、性交渉を避けてください。
※飲み忘れが頻回に続くと、不正性器出血などの副作用のリスクが高まります。肌の状態も安定しなくなるため、飲み忘れのないようにしてください。
※シートの終了予定日にもかかわらず、飲み忘れでピルが余ってしまっている場合は、1日1錠ずつすべて服用し、通常は7日間ある休薬期間を短縮して、次のシートの開始日に合わせてください。
スピロノラクトンを飲み忘れたときはどうしたら良いですか?
飲み忘れた分は、無視して飲まなくて大丈夫です。ニキビを早く治すために、できるだけ飲み忘れのないようにしてください。
休薬期間中に生理が来ません
稀に休薬期間中に生理が来ないことがあります。妊娠している可能性が全くなければ、生理が来なくても通常通り8日目から次のシートを服用してください。妊娠の可能性が少しでもある場合、妊娠検査薬で妊娠していないことを確認してから、次のシートを開始してください。
ピルを飲んでいる途中で生理が来てしまいました
生理は休薬期間中に来るはずですが、飲み始めに不正出血が起こることがあります。また、スピロノラクトンを併用している場合、少量の出血が1ヶ月程度続くことがあります。正しく服用していれば、ほとんどの方はおさまりますので心配いりません。おさまらない場合、婦人科で診察を受けてください。
生理の出血量が変わりました
生理の出血量はピルによって減少することがほとんどです。それに伴って生理痛も軽くなります。また、逆に出血量がやや多くなる場合もありますが、心配いりません。生理痛の強弱は、ピルとの相性によっても変わります。
生理のずらし方を教えてください
生理を1週間遅らせたい場合は、21日間飲んだ後に休薬せずに、予備のシートから7日間分を追加して飲みます。その後7日間休薬して、あとはいつもどおりに新しいシートを飲んでください。ラベルフィーユを飲んでいる方は、黄色い薬を7日間分飲んでください。
数日生理を早めたい場合は、休薬期間を7日間から短かくすることで、生理を早めることが可能です。早く生理を起こさせたいからといって、21錠飲み終わる前に途中でやめてしまうと、ホルモン作用が弱くなり、ニキビの原因となったり、避妊効果がなくなったりしますのでおすすめしません。
海外旅行に持っていけますか?
機内持ち込み手荷物(Carry on baggage)でも、預け入れ荷物(Check in baggage)でも持っていくことができます。
英文の診断書や証明書が必要な場合は、1通あたり5000円(税別)かかりますのでご了承ください。
海外旅行時の薬の飲み方を教えてください
ピル
低用量ピルはできるだけ24時間周期で飲むことが理想ですが、6時間~12時間以内のずれであれば気にしなくても大丈夫です。時差がある場合、日本の時刻がわかる時計やスマートフォンを持参して、日本で飲んでいた時刻と同じ時刻に飲むようにしてください。日本で飲んでいた時刻が現地の真夜中にあたる場合、数時間ずらして起きている時間に飲むようにしてください。
スピロノラクトン
スピロノラクトンは、半日ほど飲むのが早まったり遅くなったりしても問題ありません。日本で飲んでいるのと同じように飲むようにしてください。例えば、日本で朝食後と夕食後に飲んでいるとすれば、機内や現地でも朝食後と夕食後に飲むようにしてください。
ご予約・お問い合わせ
●高円寺院 TEL 03-5913-7435
月~土 10:30-13:30/15:30-18:30 休診:日 / 祝
年末年始休暇:12月27日~1月3日
●麹町院 TEL 03-6261-7433
平日 11:00-14:00/16:00-19:00 土日 10:00-13:00/15:00-18:00 休診:祝日
年末年始休暇:12月28日~1月4日
※完全予約制となっております。
※医学的なご質問等は別途「電話再診料」を頂きますのでご了承ください。