ニキビは洗顔で良くなるの?

ニキビと洗顔

洗顔料は「(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ」という効能効果を広告して良いことになっています。

これは大昔にできた薬事法で、どの化粧品会社も「ニキビを防ぐ」と広告をしているため、「ニキビは洗顔すれば良くなる。」というイメージを抱いている人も少なくないのではないでしょうか?

今回は、洗顔とニキビの関連について、レビューと当院での知見をまとめて解説します。

洗顔料とクレンジングの効果

ニキビと洗顔

ニキビと洗顔料やクレンジングの試験は、オックスフォード大学がまとめたシステマティックレビューに記載があります。

11の論文が解析されていますが、洗顔の有効性を示す論文はあるものの、サンプルサイズが小さかったり、コントロール群がなかったり(洗顔グループの対象となる非洗顔グループがない)、有効性が主観的な評価で統計分析がなかったり、ランダム化が不十分などの理由で、信頼性が乏しいとされています(1)。

ニューヨーク大学医学部の著者らが14の前向き研究をまとめたシステマティックレビューでも、洗顔・クレンジングとニキビとの臨床的なエビデンスは不足しているという結果でした(2)。

洗顔やクレンジングでニキビが治る、ニキビの原因は顔の衛生面(不潔)による、という論文のほとんどが質が悪く十分なエビデンスがありません(1, 2, 3)。

洗顔でニキビが悪化する可能性

逆に洗顔料でニキビが悪化することはあるのでしょうか?

洗顔をすることは肌にダメージを与え、それがニキビを悪化させる可能性は、いくつかの論文で指摘されています(1, 6)。

「ニキビと美肌のための正しい洗顔」でも記載しているように、洗顔料を使用しての「洗顔のやり過ぎ」は肌にとって良くありません。

洗顔料やクレンジングには、皮脂などの汚れを落とすために、 「界面活性剤」が含まれています。界面活性剤は肌の最も外側の角層の細胞間に入り込み、脂質成分や皮膚保湿成分を溶かして流出させます。また、ケラチンタンパク質に結合して角層のバリア機能を破壊します(4, 5)。

界面活性剤の種類や濃度、使用する回数によっても皮膚へのダメージは大きく異なるものの、洗顔料やクレンジングでの洗顔が、多かれ少なかれ肌にダメージを与えることに異論がある研究者はいません。

過度で不適切な洗顔は、皮膚のバリアを破壊し、表皮の水分損失を増加させ、細菌の定着を促進し、コメドを促進し、痒みや赤みなどの皮膚刺激症状を引き起こす可能性がありますが、適切な洗顔を行えばそれらは起こりません(8)。

そのため、皮膚科医は、洗顔でニキビが治らないことを認識しているものの、正しい洗顔が治療を行う上で大切であることを知っています。

実際に当院でも、洗顔料やクレンジングの回数を減らしてから、肌の調子が良くなった、ニキビが出来にくくなったという患者さんは多くいます。

また、ニキビの塗り薬として使われるトレチノインやイソトレチノインを使用している場合は、洗顔によって痒みや赤み等の皮膚刺激が増してしまうことが報告されています(9, 10)。

当院でイソトレチノイン治療を行っている患者さんに、乾燥や痒み、湿疹が出てきた場合、「洗顔、入浴、手洗いの際には、洗顔料やボディーソープなどの石鹸類の使用は控えてください。」と説明しているのはこのためです。

ニキビ=不衛生という観念

数十年もの間、「ニキビには洗顔」という広告、コマーシャルを見続けてきた私たちにとって、ニキビは不潔の象徴と感じてしまうのも無理はありません。

私自身もニキビは清潔にすれば治るのではないかと、洗顔を1日5回も6回も行ったり、枕カバーを毎日取り換えたり、寝具に消毒スプレーを吹きかけたりなど、過去に全く無意味な努力をしていた時期がありました。

ニキビが与える心理的影響

「ニキビは汚いもの、不衛生である」という全く医学的に証拠がない誤解によって、ニキビに悩む方の自尊心は大きく傷つけられ、羞恥心(恥ずかしさ)や精神的な苦痛を感じてしまう方が多くいます。

1976年のBritish Medical Journalの寄稿では、「ニキビは汚いもの」という認識と強迫観念的洗浄とが関連している可能性があることや(6)、2001年メルボルン大学医学部で行われた学生の筆記試験では、25%の医学生が「肌が不衛生」なことがニキビを悪化させる要因であるという「誤った認識」がされていると述べられています(11)。

ニキビは不潔という誤解により、極端な清潔志向になって頻回に洗顔をしてしまったり、恥ずかしいからと出来たニキビを潰してしまったりと、治療する上で悪い方向へ行ってしまうことも多くあります。

当院の患者さんでも、ダメだとわかっていても、洗顔のやり過ぎやニキビを潰すことを抑えることがなかなかできないケースもあります。

英国の10代の若者を調査した研究では、ニキビのある若者はない若者より2倍の確立で感情的な問題を抱えており(12)、ニュージーランドで思春期の学生を調査した研究では、ニキビの重症度が高い人ほど、恥ずかしく思い、社会活動に楽しく参加ができないという結果で、ニキビの原因を誤解していることと関連していると報告されています(13)。

まとめ

  • ニキビと不衛生・不潔とは関係がない
  • 洗顔でニキビを改善させるという科学的根拠は乏しいが、有効性を示す報告はある
  • 過度な洗顔でニキビが悪化する可能性が報告されており、やり過ぎに注意
  • ニキビは不衛生という誤解は、若者に大きな心理的影響を与える

参考文献

  1. Parker Magin, (2005) “A systematic review of the evidence for ‘myths and misconceptions’ in acne management: diet, face-washing and sunlight” Family Practice, Volume 22, Issue 1, February 2005, Pages 62–70, https://doi.org/10.1093/fampra/cmh715
  2. Stringer T, (2018) “Clinical evidence for washing and cleansers in acne vulgaris: a systematic review.” J Dermatolog Treat. 2018 Nov;29(7):688-693. doi: 10.1080/09546634.2018.1442552. Epub 2018 Feb 25. PMID: 29460655
  3. Lawrence F. Eichenfield, (2013) “Evidence-Based Recommendations for the Diagnosis and Treatment of Pediatric Acne” Pediatrics May 2013, 131 (Supplement 3) S163-S186; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2013-0490B
  4. Imokawa, (1981) “Cumulative effect of surfactants on cutaneous horny layers: Lysosomal activity of human keratin layers in vivo” Contact Dermatitis. 1981 Mar;7(2):65-71. DOI: 10.1111/j.1600-0536.1981.tb03980.x PMID: 6263545
  5. KA Walters, (1988) “Non‐ionic surfactant effects on hairless mouse skin permeability characteristics” J Pharm Pharmacol. 1988 Aug;40(8):525-9. DOI: 10.1111/j.2042-7158.1988.tb05295.x PMID: 2907003
  6. Washing away at acne.” Br Med J. 1976 Oct 9; 2(6040): 834–835. PMID: 136284
  7. Mills OH, (1975) “Acne detergicans.” Arch Dermatol. 1975 Jan;111(1):65-8. Arch Dermatol. 1975;111(1):65-68. doi:10.1001/archderm.1975.01630130067007
  8. Draelos ZD. (2006) “The effect of a daily facial cleanser for normal to oily skin on the skin barrier of subjects with acne.” Cutis. 2006 Jul;78(1 Suppl):34-40. PMID: 16910029
  9. Dunlap FE, (1998) “Adapalene 0.1% gel has low skin irritation potential even when applied immediately after washing.” Br J Dermatol. 1998 Oct;139 Suppl 52:23-5. DOI: 10.1046/j.1365-2133.1998.1390s2023.x PMID: 9990417
  10. Swinyer LJ, (1980) “Topical agents alone in acne. A blind assessment study.” JAMA. 1980 Apr 25;243(16):1640-3. PMID: 6444678
  11. Green J, (2001) “Perceptions of acne vulgaris in final year medical student written examination answers.” Australas J Dermatol. 2001 May;42(2):98-101. DOI: 10.1046/j.1440-0960.2001.00489.x PMID: 11309030
  12. Smithard A, (2001) “Acne prevalence, knowledge about acne and psychological morbidity in mid-adolescence: a community-based study.” Br J Dermatol. 2001 Aug;145(2):274-9. DOI: 10.1046/j.1365-2133.2001.04346.x PMID: 11531791
  13. Pearl A, (1998) “The impact of acne: a study of adolescents’ attitudes, perception and knowledge.” N Z Med J. 1998 Jul 24;111(1070):269-71. PMID: 9734528

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