赤いニキビ跡の原因と治療

目次

赤いニキビ跡の原因

炎症後紅斑(えんしょうごこうはん)と炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)

赤いニキビ跡

ニキビ跡の赤みは、炎症後紅斑(PIE: Post Inflammatory Erythema)と呼ばれます。この赤みの主な原因は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンです。

ニキビによる炎症が起こると、皮膚の細胞がダメージを受け、修復過程で血管が拡張し、新たな毛細血管が形成されます。これにより肌が赤く見えるのです。

また、炎症によって毛細血管が破壊され、赤血球が皮膚内に漏れ出すことで、赤みが長く残ることもあります。

一方、茶色く色素沈着してしまったニキビ跡は、炎症後色素沈着(PIH: Post-inflammatory Hyperpigmentation)と呼ばれます。これは、ニキビの炎症が原因でメラニン産生細胞が刺激され、メラニンが過剰に生成されることで、茶色から黒いシミやくすみが発生する状態です。

通常、炎症後色素沈着は半年以内に自然に薄くなりますが、場合によっては長期間残ることもあります。

長期間残る赤いニキビ跡の原因

通常、炎症が治ると毛細血管は収縮し、皮膚のターンオーバーによって赤みは自然に薄くなります。しかし、強い炎症や深いニキビの場合、毛細血管が退縮せずに残ることがあります。

特に真皮層に赤血球が漏れた場合、ターンオーバーの遅さ(5~6年以上)によって赤みが長期間残ることがあります。このメカニズムはタトゥー(刺青)と同じで、深い層に色素が沈着すると消えにくくなります。

赤いニキビ跡の種類と色の違い

ニキビ跡の赤み

赤いニキビ跡にはさまざまな色味があります。

  • 紅斑(こうはん):毛細血管が拡張して充血した状態(赤みが強い)
  • 紫斑(しはん):毛細血管から赤血球が漏れ、酸化して紫色に変色した状態

ヘモグロビンが肌の浅い層(乳頭層)にある場合は赤く見え、深い層(乳頭下層以下)にあると赤紫色~赤黒い色になります。

ヘモグロビンは酸素が結び付いている状態(オキシヘモグロビン)では赤色ですが、酸化されるとデオキシヘモグロビンとなり、赤紫や青黒く見えるようになります。

赤いニキビ跡の治療法

赤いニキビ跡の治療は、残存期間・色の深さ・肌質に合わせて、複数の方法を組み合わせて行います。

1. ピーリングとトレチノイン療法

トラネックスレチピール(強力ピーリング)

  • 効果:レチノール(4%配合)による肌質改善、コメド(毛穴詰まり)除去
  • ダウンタイム:赤みや皮むけが10日ほど
  • おすすめ:より強い効果を求める方

サリチル酸マクロゴールピーリング(マイルドピーリング)

  • 効果:ターンオーバー促進、コメド(毛穴詰まり)除去
  • ダウンタイム:ほぼなし
  • おすすめ:敏感肌やダウンタイムを避けたい方

トレチノイン・ハイドロキノン療法

  • 効果:皮膚のターンオーバー促進、メラニン抑制
  • ダウンタイム:赤みや皮むけが14日ほど
  • 適応:部分的な赤みに効果的

2. レーザー治療

ロングパルスヤグレーザー(1064nm)

  • 効果:真皮層の毛細血管を収縮させ、赤みを徐々に軽減
  • 頻度:2週間間隔で平均10回
  • 痛み:弱い
  • ダウンタイム:ほぼなし(当日からメイク可能)

ダブル照射(ロングパルスヤグ+トーニング)

  • 効果:赤み・くすみを同時に改善
  • 頻度:2週間間隔で平均10回
  • 痛み:弱い
  • ダウンタイム:ほぼなし(当日からメイク可能)
  • おすすめ:赤み+色素沈着が気になる方

強力ロングパルスヤグレーザー

  • 特徴:高出力・大口径のレーザーでより強力な赤み改善
  • 頻度:1ヶ月間隔で平均5-10回
  • 痛み:強い(麻酔オプションあり)
  • ダウンタイム:1~3日赤みが出る

3. 内服薬・スキンケア

イソトレチノイン(内服)

  • 効果:ターンオーバー促進、抗炎症作用により毛細血管の退縮をサポート
  • おすすめ:レーザーの効果をより出したい方

美白内服薬(トラネキサム酸・ビタミンC・グルタチオン)

  • 効果:炎症後の色素沈着を防ぐ、美白

イソトレチノイン内服とレーザーを組み合わせるメリット

  • 肌のターンオーバーが亢進するため、レーザーで分解した赤みがより早く排出される
  • ニキビやコメドなどの炎症が除去できるため、毛細血管の退縮が促される
  • レーザー後に反応性の毛包炎が起こりにくくなる
  • 角質層が薄くなるため、レーザーの到達深度が深くなる

ニキビ跡の赤みの治療経過写真

ニキビ跡の赤みの治療については、下記のブログ記事でさらに詳しく解説しています。

治療実績

施術件数
ロングパルスヤグレーザー2023年:1873件
2024年:1725件
ダブル照射2023年:501件
2024年:428件
ロングパルスヤグレーザー/ダブル照射 治療実績
施術件数
強力ロングパルスヤグレーザー2023年:964件
2024年:812件
強力ロングパルスヤグレーザー 治療実績

治療料金– Treatment Costs –

項目料金(税込)
診察料初診料 3,850円
再診料 1,650円
トーニングレーザー初回 全顔(3000shot) 8,580円
2回目以降(3000shot) 10,780円
首(全顔オプション) 3,300円
半顔(1500shot) 6,380円
5×5㎝(500shot) 3,080円
体1部位(2500shot) 9,680円
ロングパルスヤグレーザー初回 全顔(5000shot) 9,680円
2回目以降(5000shot) 12,980円
首(全顔オプション) 3,300円
半顔(2500shot) 8,580円
5×5㎝(600shot) 3,300円
体1部位(3000shot) 9,680円
ダブル照射初回 全顔(8000shot) 18,260円
2回目以降(8000shot) 19,360円
首(全顔オプション) 6,600円
半顔(4000shot) 13,860円
5×5㎝(1100shot) 5,390円
体1部位(5500shot) 17,160円
強力ロングパルスヤグ全顔 27,280円
首(全顔オプション) 8,800円
半顔 16,280円
5×5㎝ 5,280円
トラネックスレチピール院内施術 顔1回分 16,500円
自宅処方 顔1回分 14,300円
*体は面積による
サリチル酸マクロゴール
ピーリング 30% 40%
院内施術 顔1回分 7,480円
自宅処方 顔1回分 4,378円
自宅処方 顔6回分 21,780円
*体は面積による
トレチノイン0.05% 5g2,178円
トレチノイン0.1% 5g2,728円
ハイドロキノン4% 10g3,278円
  1. ニキビ跡の治療は新生ニキビができない方に限ります。ニキビができている患者さんにはニキビ治療を併せてご提案させていただきます。
  2. 同じ施術を2回目以降受けられる方で、診察を希望されない場合は再診料はかかりません。
  3. 化粧品・外用剤・ビタミン剤を2回目以降購入希望の方で、診察を希望されない場合は再診料はかかりません。
  4. トレネックスレチピールの自宅処方には、最低3回、院内で施術と指導を受けていただく必要があります。

赤み・色素沈着のよくある質問

レーザー治療を受けられない場合はありますか?

まだ新しいニキビができる方は、ニキビ跡治療を受けることはできないため、ニキビ治療も一緒にご提案いたします。

また、次の方はレーザー治療を受けられない場合がございます。

  • 日光浴愛好者、日光に当たる職業の方、光過敏症(日光アレルギー)の方
  • 妊娠中の方
  • てんかん発作のある方
  • 金の糸を入れている方
  • 照射部位に入れ墨、アートメイク、落ちないファンデーション(BB Glow、CC Glow等)をご使用の方
  • 光の感受性を高めるお薬を使用中の方

詳しくは診察の際に医師にご相談ください。また「治療間隔(インターバル)」も併せてご参照ください。

ピーリングとレーザーのどちらがおすすめですか?

ニキビ跡の性状(色味、深さ)、個々の肌の状態によって異なりますので、診察の際に医師にご相談ください。肌質としては、脂性肌や角質が厚い方はピーリング、敏感肌や乾燥肌の方は、ピーリングよりもレーザーをおすすめします。

赤みの治療期間と通院頻度を教えてください

通常のニキビ跡の赤みの場合、治療期間は半年~1年程度が目安です。通院頻度と回数は、ロングパルスヤグレーザーは2週間間隔で平均10回、ピーリングや強力ロングは4週間間隔で5~8回ほどで終了します。

ダウンタイムがない方法で治療できますか?

赤みに対しては、一部の治療を除き、ダウンタイムをほとんど気にせず治療が可能です。トラネックスレチピールでは7~10日ほど皮向けが起こります。トレチノインハイドロキノン療法では、2~3週間赤みや皮向けが起こる時期があります。

レーザーやピーリング後に注意することはありますか?

保湿をしっかりと行い、紫外線に十分注意してください。入浴、洗顔は普段通りで構いませんが、肌をなるべくこすらないようにしてください。当院では、日常のスキンケアに「調剤化粧品」をおすすめしています。


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