ニキビ跡の治療は、ニキビを治すことよりもずっと厄介です。それは、一度できてしまうと、一生残ってしまう跡があるからです。ニキビ跡の種類によって、正しい施術法を選択し、患者さんのご希望を聞きながら治療を進めていきます。

治療方法

ニキビが治ってから跡(あと)の治療を

新しいニキビができない肌でなければ、ニキビ跡の治療をしても意味がありません。なぜなら、ニキビ跡の凹凸や赤みの原因は、ニキビができ続けることにあり、元を断たなければ、次から次へ跡が増えてしまうからです。

レーザーやピーリングなどの外側からの治療は、新生ニキビを出来なくするには力不足です。ニキビがまだできるという方は、「ニキビ治療」をご参照いただき、ニキビの治療を先に受けてください。

ニキビ跡治療i

ニキビ跡の種類

色素沈着型

ニキビが治った後に、一番多く見られるのは、赤い色素沈着が残ってしまうニキビ跡です。ニキビ跡の色素沈着は、赤だけでなく、茶色や赤黒いもの、青いものもあります。

赤いニキビ跡
色素沈着型のニキビ跡

赤みの原因

血液中の赤血球には「ヘモグロビン」という赤い成分があり、血液が赤く見えるのはヘモグロビンがあるからです。赤いニキビ跡も、このヘモグロビンが原因で起こります。

ニキビができると、その炎症によって細胞が傷つきます。傷ついた部位を治そうと、皮膚内の毛細血管が拡張し、新しい毛細血管が作られます。通常は、ニキビ(傷)が治れば、毛細血管は徐々に縮小、退縮していくため、自然に赤みは目立たなくなっていきます。

しかし、毛細血管が退縮せずに残ってしまったり、慢性的にニキビができること(慢性炎症)で、毛細血管が異常に増殖してしまったり、炎症で毛細血管が壊され、赤血球が皮膚の細胞間に漏れ出てしまうと、赤いニキビ跡になります。

紅斑と紫斑

毛細血管が拡張して、充血した状態を「紅斑(こうはん)」と呼び、毛細血管から赤血球が漏れ出して赤紫色に変色したものを「紫斑(しはん)」と呼びます。

色味の違い

ニキビ跡の色素沈着には、赤いもの、紫がかっているもの、赤黒いものがあります。

ニキビ跡の赤み

ヘモグロビン(血管内のものも含めて)が表皮や真皮の浅い層(乳頭層)にある時は、シミは赤く見えます。ヘモグロビンが真皮のやや深い層(乳頭下層以下)にあると、赤紫色~青~赤黒っぽく色が濃くなって見えます。

また、ヘモグロビンは酸素が結び付いている状態(オキシヘモグロビン)では赤色ですが、酸化されるとデオキシヘモグロビンとなり、赤紫~青~赤黒く見えるようになります。

萎縮性瘢痕

萎縮性瘢痕(いしゅくせいはんこん)は、凹んだニキビ跡のことです。

ニキビ跡の凹み(萎縮性瘢痕)
萎縮性瘢痕と色素沈着

形態によって「アイスピック型(V字型)」、「ローリング型(M字型)」、「ボックス型(U字型)」に分けられます。皮下脂肪が委縮しているタイプは、「脂肪萎縮型」と呼ばれることもあります。

ニキビ跡の凹み

実際には、複数の形態のニキビ跡が混在しています。

アイスピック型

アイスピック型のニキビ跡は、アイスピックで突かれたかのような、直径2mm以下の狭くて深い凹みです。萎縮性瘢痕の60~70%を占めます。

凹みは真皮の奥深くまで到達し、ほぼ全層まで及んでいます。組織学的には表皮の下の真皮層は全くないか、ほぼ欠損しています。

ローリング型

ローリング型のニキビ跡は、直径5mm以上の大きくなだらかな凹みです。萎縮性瘢痕の15~25%を占めます。

線維化組織で表皮と筋膜と癒着して、引っ張られている状態になっています。線維化組織が、船の錨(イカリ)のように見えることから、anchored acne scars(アンカード・アクネ・スカー)やtethered acne scars(テザード・アクネ・スカー)とも呼ばれます。

辺縁はなだらかで、ボックス型のように直角ではないことで区別をします。顔の筋肉を動かした際に、筋肉の動きに引っ張られるように凹みが深くなれば、筋膜と癒着していると判断できます。

ボックス型

ボックス型のニキビ跡は、円形や楕円形で、縁が直角に窪んでいる凹みです。萎縮性瘢痕の20~30%を占めます。

表皮の下は瘢痕組織で固まっており、水ぼうそうの跡に似ています。

脂肪萎縮型

皮下組織(脂肪組織)の萎縮によって起こるニキビ跡です。ニキビの炎症によって、脂肪組織に変性、瘢痕化が起こって凹み、そのことによってその上の真皮や表皮が凹みます。

診断は、接線方向からのライティングと皮膚伸展テストを行って判断します。

加齢による脂肪組織や真皮の減少も一因です。若い頃には目立たなかったニキビ跡が、年齢を重ねるにつれて、肌のハリが衰えて目立ってくるというのも似た病態です。

肥厚性瘢痕・ケロイド

肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)は、萎縮性瘢痕とは逆に盛り上がってしまったニキビ跡です。炎症・赤みが強く、拡大傾向にあるものをケロイドと呼び区別しますが、両者は連続した病態であることが示唆されています。

肥厚性瘢痕

好発部位は、前胸部や肩、下腹部など皮膚が伸展されやすい部位に多く生じます。ニキビ跡の肥厚性瘢痕では、胸、肩に加え、顎下(フェイスライン)に見られます。

フェイスラインの肥厚性瘢痕
フェイスラインの肥厚性瘢痕
胸部の肥厚性瘢痕
胸の肥厚性瘢痕

よくある質問

私のニキビ跡は治りますか?

まず、なかなかニキビ跡が治らないという方は、新しいニキビができていないかをチェックしてください。ニキビ跡を治す前に、まず元凶であるニキビを治療しなければなりません。ニキビができない肌になってから跡の治療を行わなければ、またニキビができて、それがニキビ跡になって、という悪循環を繰り返すからです。

ニキビ跡を治すことは、ニキビを治すことよりも格段に難しくなります。ニキビ跡は大きく分けて、2つあります。赤みなどの色素沈着が残るタイプと、凹凸や毛穴が開いたような瘢痕が残るタイプです。

赤みや色素沈着は、時間がかかりますが、レーザーやピーリングなどで改善できます。完全に元の真っ白な肌とまでは行かなくても、治療前と比較すると明らかに色味は薄くなります。

凹凸のニキビ跡は、一度出来てしまうと一生残ってしまう跡も多く、治療の反応も良くありません。クレーターのように凹んでしまったニキビ跡は、真皮の瘢痕組織が原因ですので、完全に元に戻すことは難しいと考えてください。

凹みや瘢痕毛穴は侵襲的(しんしゅうてき=ダウンタイムが長い)治療が必要です。1年以上かけて治療を行っていき、少しでも目立たなくさせることが治療のゴールになります。

化粧品でニキビ跡は治りますか?

インターネットには多数の「ニキビ跡を治す」化粧品があり、出所不明の口コミに溢れていますが、市販の化粧品や医薬部外品でニキビ跡に効能効果が認められている成分は一つもありません。

赤みや色素沈着タイプのニキビ跡は、化粧品で治ったと思われている方もたまにいらっしゃいますが、それは肌のターンオーバーや毛細血管の自然な退縮で薄くなっただけです。もともと赤みの部位が浅い場合は、自然に治る可能性が高く、化粧品や医薬部外品で改善することはありません。

参考文献・サイト

  1. Fabbrocini G, (2010) “Acne scars: pathogenesis, classification and treatment.” Dermatol Res Pract. 2010;2010:893080. doi: 10.1155/2010/893080. Epub 2010 Oct 14. PMID: 20981308
  2. Jacob CI, (2001) “Acne scarring: a classification system and review of treatment options.” J Am Acad Dermatol. 2001 Jul;45(1):109-17. PMID: 11423843

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