ニキビ跡の赤みが治らない方へ|効果的な治し方と消す方法を皮膚科医が解説

「ニキビは治ったのに赤みだけが消えない」「ニキビ跡の赤みが何ヶ月も治らない」「レーザー治療を受けても赤みが消えない」とお悩みではありませんか?

ニキビ跡の赤み(炎症後紅斑・PIE)は、適切な治療を行わないと長期間残ることがあります。当院では、レーザー治療とイソトレチノイン内服の併用療法により、従来よりも格段に早く赤みを消すことに成功しています。

目次

ニキビ跡の赤みが治らない理由|炎症後紅斑(PIE)とは

ニキビ跡の赤みは、医学的に炎症後紅斑(Post Inflammatory Erythema, PIE)と呼ばれる症状です。ニキビによる炎症で毛細血管が拡張・損傷し、それが皮膚から透けて見えることで、ピンクから赤色、時には紫がかった斑点として肌に残ってしまいます。

実際の診療では、「ニキビがずっと治らない」とご相談に来られる患者さんの肌を診察すると、実はニキビ自体はすでに治っていて、その跡の赤みだけが残っている状態であることがよくあります。

つまり、ニキビ跡の赤い斑点をニキビと勘違いされているケースもあります。

ニキビ跡の赤み(炎症後紅斑)の肌の写真
ニキビ跡の赤み(炎症後紅斑)

なぜニキビ跡の赤みは消えにくいのか?

多くの方が「ニキビ跡の赤みを消す方法」を探していますが、まずは赤みが治らない原因を正しく理解することが大切です。

ニキビ跡の赤みが治らない主な原因は以下の4つです

  1. 慢性的な血管拡張:炎症により拡張した毛細血管が元に戻らず、赤みが持続
  2. 深部炎症の影響:嚢胞性ニキビなど重症例では真皮まで炎症が及び、回復に時間がかかる
  3. 新たなニキビの発生:細かいコメドや微小面皰による慢性炎症が赤みを悪化させる
  4. 不適切なケア:摩擦や紫外線、誤ったスキンケアが血管を刺激し続ける

特に重要なのは、「赤みだけ」と思っていても、実は細かいニキビやコメドが残っていることが多いという点です。これらが肌に慢性的な炎症を引き起こすと、毛細血管がずっと新生・拡張するため、赤みが消えない原因となっています。

ニキビ跡の赤みを消す方法|自宅ケアから医療機関での治療まで

1. 自宅でできる赤みを消すケア(効果は限定的)

自宅でのケアだけでニキビ跡の赤みを完全に消すことは困難ですが、以下の方法で改善をサポートできます。

  • レチノール配合化粧品:ターンオーバー促進により赤みの代謝を助ける(スキンケアとして最も効果的だが初期はビタミンA反応で赤みが出ることも)
  • ナイアシンアミド:抗炎症作用により赤みを軽減
  • ビタミンC誘導体:抗酸化作用により炎症を軽減(ただし赤みへの直接的な効果は限定的)
  • 日焼け止め(SPF30以上):紫外線による炎症・血管増生を防ぐ

注意:ヘパリン類似物質(アットノン・ヒルドイド・ヒルマイルド等)は赤みへの効果がほぼ期待できません。化粧品での改善には限界があるため、確実に赤みを消したい方は医療機関での治療をおすすめします。

2. 医療機関でのニキビ跡の赤み治療

レーザー治療(最も効果的)

ニキビ跡の赤みを消すレーザー治療には、主に2種類があります

レーザーの種類特徴代表的な機器
ロングパルスYAGレーザー(1064nm)深部まで到達し血管を収縮
※当院採用
スペクトラ、クラリティ、ジェネシス等
ダイレーザー(585-595nm)ヘモグロビン吸収率が高いVビーム、VビームPrima等

長く残る赤みは真皮層の深い部分に存在することが多いため、当院では深部の赤みまで確実に届くロングパルスYAGレーザーを採用しています。このレーザーはVビームの約2倍(1064nm)波長で、他のレーザーよりも深く浸透し、ニキビ跡の頑固な赤みを効果的に消すことができます。適切な出力やパルス幅の設定により、1回の治療でも赤みの軽減を実感できる方が多くいらっしゃいます。

その他の治療法

  • ケミカルピーリング:サリチル酸やレチノールピーリングでターンオーバーを促進
  • 外用薬:トレチノイン(医療用レチノイド)による治療
  • 光治療(IPL):レーザーより効果は劣るが、マイルドな治療を希望する方に
ピーリングによる背中のニキビ跡(赤み)改善例

最新治療|イソトレチノイン内服+レーザー併用療法で赤みを早く消す

当院では2万人以上の治療経験から、イソトレチノイン内服とロングパルスYAGレーザーの併用療法が、ニキビ跡の赤みに対して最も高い効果を発揮することが分かっています。従来の治療では改善が難しかった頑固な赤みも、この併用療法により格段に早く消すことが可能になりました。

イソトレチノインとレーザーによる赤みの治療症例写真

女性のニキビ跡の赤みに対するイソトレチノイン治療とレーザー治療の併用10回後のビフォーアフター1│肌のクリニック
女性のニキビ跡の赤みに対するイソトレチノイン治療とレーザー治療の併用10回後のビフォーアフター2│肌のクリニック
男性のニキビ跡の赤みに対するイソトレチノイン治療とレーザー治療の併用10回後のビフォーアフター3│肌のクリニック
女性のニキビ跡の赤みに対するホルモン治療とレーザー治療の併用9回後のビフォーアフター4│肌のクリニック

なぜ併用療法で赤みが早く消えるのか?

  1. 根本原因の解決:イソトレチノインが新たなニキビを完全に抑制し、慢性炎症を断ち切る
  2. 相乗効果:イソトレチノインのターンオーバー促進作用により、レーザーで破壊された血管成分の排出が早まる
  3. レーザー効果の増強:角質層が適度に薄くなり、レーザー光が深部まで届きやすくなる
  4. 治療期間の短縮:ニキビ治療と赤み治療を同時進行できるため、トータルの治療期間が大幅に短縮

イソトレチノインは光の感受性を高める副作用がありますが、それを逆手にとった治療法とも言えます。

イソトレチノイン治療の詳細については、イソトレチノインによるニキビ治療のページを、ニキビ跡の赤み治療については「ロングパルスヤグレーザーによるニキビ跡・酒さの赤み治療」のページをご参照ください。

併用療法の安全性について

従来「イソトレチノイン服用中はレーザー禁忌」とされていましたが、2020年の最新研究では、適切な管理下での併用は安全であることが証明されています。871人を対象とした調査で、重篤な副作用はほぼ見られませんでした。

当院では以下の安全対策を徹底しています。

  • 経験豊富な医師による慎重な管理
  • 肌の状態に合わせた出力調整でのレーザー照射
  • 十分な照射間隔の確保

イソトレチノイン内服中のレーザーの安全性について詳しくは、イソトレチノインとレーザー治療:最新情報と安全な併用の可能性のページをご覧ください。

ニキビ跡の赤みを確実に消すための3つのポイント

1. 新しいニキビを完全に止める|治療成功の大前提

「レーザー治療を受けているのに赤みが消えない」という方の多くは、実は新しいニキビやコメドが次々とできている状態です。いくら赤みの治療をしても、新たなニキビによる炎症が加わり続ければ、永遠にいたちごっこになってしまいます。

下記の症例写真をご覧ください。黒矢印の部分は、レーザー治療後に新しくできたニキビによる赤みです。たとえ小さなニキビやコメドでも、繰り返しできることで赤みは増え続けてしまうのです。

だからこそ、赤みを消すための第一歩は「ニキビを根本から治す」こと。当院のイソトレチノイン治療なら、ニキビの発生を強力に抑制しながら、同時に赤みの治療も進められます。

2. 隠れた皮膚疾患を見逃さない|酒さ・脂漏性皮膚炎の併発

ニキビ跡の赤みが何をしても治らない場合、酒さや脂漏性皮膚炎などが隠れていることがあります。これらの疾患は慢性的な炎症を引き起こし、血管を拡張させ続けるため、いくらレーザー治療をしても効果が出にくくなります。

当院では、単にニキビ跡だけでなく、これらの基礎疾患の有無も丁寧に診察します。もし見つかった場合は、その治療も並行して行うことで、赤みの根本的な改善が可能になります。酒さが気になる方は酒さ・赤ら顔治療のページもご参照ください。

3. 最適な治療法を選ぶ|当院の併用療法で早期改善へ

ニキビ跡の赤みを消すには、「なぜ治らないのか」を正確に診断し、最適な治療を組み合わせることが重要です。

当院のイソトレチノイン+レーザー併用療法

  • 20年以上の重症ニキビの治療経験
  • 2万人を超えるイソトレチノインの症例実績
  • 最新の研究に基づく安全性

これらに裏付けられた、ニキビ跡の赤みに最も効果的な治療法です。

まとめ|もう「赤みが消えない」と悩まない

「ニキビ跡の赤みがずっと治らない」「何をしても消えない」とお悩みの方へ。

適切な診断と治療法の選択により、頑固な赤みも必ず改善できます。まずは一度ご相談ください。あなたの肌状態を詳しく診察し、最短で赤みを消すための治療プランをご提案いたします。

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記事の著者

岩橋 陽介のアバター 岩橋 陽介 肌のクリニック 院長

皮膚科医/美容皮膚科医/日本内科学会認定医/日本抗加齢医学会専門医/化粧品成分上級スペシャリスト
自身も重症ニキビに悩んだ経験から、2000年初頭に日本でいち早くイソトレチノインとホルモン療法を組み合わせたニキビ専門外来を開設。以来、20年に渡る美容皮膚科の臨床経験と2万人を超える難治性・重症ニキビ患者の治療実績を持つ。専門的アプローチにより、難治性ニキビ・ニキビ跡の治療に取り組んでいる。

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