ニキビ跡治療 (赤み 色素沈着)

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赤いニキビ跡– Red Marks After Having Acne –

炎症後紅斑– えんしょうごこうはん –

赤いニキビ跡

ニキビ跡の赤みは「炎症後紅斑」と呼ばれる赤みです。

血液中の赤血球には「ヘモグロビン」という赤い成分があり、赤いニキビ跡も、このヘモグロビンが原因で起こります。

ニキビができると炎症によって細胞が傷つきます。傷ついた部位を治そうと、皮膚内の血管が拡張し、新しい毛細血管が作られます。炎症により血管が増生したり、拡張することで肌が赤みを帯びます。

また、ニキビの炎症で毛細血管が壊され、赤血球が皮膚の細胞間に漏れ出てしまうと、赤いニキビ跡になります。

長期に残る炎症後紅斑

通常、拡張した毛細血管は、炎症が治ると役目を終えて退縮していきます。また、皮膚のターンオーバーで、漏出した赤血球も代謝され、自然に赤みが目立たなくなっていきます。

しかし、大きなニキビや奥にこもったニキビは、炎症が強く、毛細血管が退縮せずに残ることがあります。また、真皮のターンオーバーは5~6年以上と遅く、赤血球が真皮に漏出した場合は長期に赤みが残ってしまうケースもあります。

この原理は、刺青(イレズミ)と同様です。肌の表面にペンで落書きをしても、数週間で垢となって角質が剥がれ落ち消えていきますが、深い真皮に色を入れた場合、ターンオーバーが遅いので刺青は一生消えません。

色味の違い

ニキビ跡の赤み

ニキビ跡の色素沈着には、赤いもの、紫がかっているもの、赤黒いものがあります。

毛細血管が拡張して充血した状態を「紅斑」と呼び、毛細血管から赤血球が漏れ出して赤紫色に変色したものを「紫斑」と呼びます。

ヘモグロビンが表皮や真皮の浅い層(乳頭層)にある時は赤く見えます。ヘモグロビンが真皮のやや深い層(乳頭下層以下)にあると、赤紫色~青~赤黒と色が濃く見えます。

また、ヘモグロビンは酸素が結び付いている状態(オキシヘモグロビン)では赤色ですが、酸化されるとデオキシヘモグロビンとなり、赤紫~青~赤黒く見えるようになります。

赤いニキビ跡の治療– Treatments for Red Marks –

赤いニキビ跡の治療は、残存期間や色調(深さ)、肌質によっていくつかの治療を組み合わせて行います。

ピーリングとトレチノイン

皮膚のターンオーバーを促進させて赤みを改善させるために、「トラネックスレチピール」「サリチル酸マクロゴールピーリング」「トレチノイン・ハイドロキノン療法」を行います。

2種類のピーリング剤のうち、皮むけが10日ほどあるものの、作用が比較的強いトラネックスレチピールの使用が増えています。レチノールが4%配合され、肌質改善作用やコメドにも効果があります。ダウンタイムを取りたくない方には、副作用のリスクがほとんどないサリチル酸マクロゴールをおすすめします。部分的なニキビ跡の赤みには、トレチノイン・ハイドロキノンが適しています。

マイルドロングパルスヤグレーザーとダブル照射

ピーリングで赤みが出てしまう方や敏感肌の方には、ロングパルスヤグレーザーで治療を行います。浅い層から深い層にある赤みに対応可能です。1064 nmの長い波長を用いることで、真皮の深部までレーザーが届き、毛細血管を退縮させ、赤みを少しずつ減らしていきます。

約2週間間隔で照射し、平均10回程度で終了します。照射後の赤みもほとんどなく、当日のお化粧も可能なため、ダウンタイムが取れない方におすすめの治療です。

美白効果やコラーゲンの産生作用もあるため、肌の透明感とハリが出てくるので、アンチエイジング目的で受けられる方もいます。美白・美肌効果をさらに求める方へは、トーニングとロングパルスヤグレーザーを同日に行う「ダブル照射」もおすすめです。

症例写真

もともと重症ニキビだった男性の方です。イソトレチノイン内服と並行してレーザー治療を10回行い、赤みは顕著に改善しました。

近年、赤みの治療に「イソトレチノインの内服」と「ロングパルスヤグレーザーやダブル照射」を併用することが増えています。

イソトレチノイン内服とレーザーを組み合わせるメリット

  • 肌のターンオーバーが亢進するため、レーザーで分解した赤みがより早く排出される
  • ニキビやコメドなどの炎症が除去できるため、毛細血管の退縮が促される
  • レーザー後に反応性の毛包炎が起こりにくくなる
  • 角質層が薄くなるため、レーザーの到達深度が深くなる

ニキビ跡の赤みの治療について、下記のブログ記事でさらに詳しく解説しています。

強力ロングパルスヤグレーザー

強力ロングパルスヤグレーザーは、通常のロングパルスヤグレーザーよりもハイパワーの機器で、パルス幅を100倍以上に設定し、高出力、大口径で照射する治療です。原則はイソトレチノイン治療と併用はできませんが、医師が肌の状態を見て併用することもあります。

毛細血管を退縮させ、ニキビ跡の赤みや酒さなどの赤ら顔の改善が期待できます。また、真皮層のコラーゲンの増生を促し、タイトニング(引き締め・若返り)の効果もあります。

ニキビ跡・赤ら顔治療用の照射モードでは、1ヶ月以上の間隔を空けて5回を目安に治療します。赤ら顔治療では、その後も定期的に照射をする必要があります。

照射した部位に濃い毛が生えている場合脱毛してしまうため、ヒゲなどの脱毛したくない部分は避けて照射する必要があります。術後に1~3日赤みが出ることはありますが、ダウンタイムは短い治療です。強い痛みを伴いますので、オプションでクリーム麻酔(3,300円)をおすすめしています。

治療実績

施術件数
ロングパルスヤグレーザー2020年:946件
2021年:1773件
ダブル照射2020年:517件
2021年:571件
ロングパルスヤグレーザー/ダブル照射 治療実績
施術件数
強力ロングパルスヤグレーザー2020年:469件
2021年:1040件
強力ロングパルスヤグレーザー 治療実績

茶色のニキビ跡

炎症後色素沈着– えんしょうごしきそちんちゃく –

炎症後色素沈着

茶色く色素沈着してしまったニキビ跡は、ニキビの炎症後に黒いメラニン色素が沈着を起こす「炎症後色素沈着, Post-inflammatory hyperpigmentation(PIH)」というものです。

ニキビの炎症が原因でメラニン産生細胞が刺激され、メラニンが過剰に産生されて茶色から黒いシミやくすみが起こります。

通常、炎症後色素沈着は半年以内に自然に薄くなりますが、残存するものもあります。

治りにくい茶色の跡

半年以上に渡って炎症後色素沈着が残っている場合は、皮膚の代謝(ターンオーバー)が遅延していたり、メラニン色素の沈着が真皮に及んでいる可能性(炎症によるメラニンの真皮への滴下)、紫外線や加齢の影響でいわゆる「シミ(老人性色素斑)」や「肝斑」へ変化している可能性などが考えられます。

炎症後色素沈着の治療

トレチノイン・ハイドロキノン

当院では炎症後色素沈着の第一選択として「トレチノイン・ハイドロキノン療法」を行っています。トレチノインで皮膚のターンオーバーを促進させ、新しい肌を再生するとともに、ハイドロキノンでメラニンを抑制します。

肌が弱い方には、トレチノインの代わりにレチノール配合の化粧品を使用することもあります。

Qスイッチヤグレーザー

茶色い色素沈着が何年も残り、シミに変化している場合は、Qスイッチヤグレーザーでシミをかさぶたにして剥がす治療を行います。

ただし、炎症後色素沈着が起こりやすい方は、レーザーの刺激によっても炎症後色素沈着が起こるため、再発する可能性が高く、まずは小範囲でテスト照射を行い、レーザー後に再発があっても自然に薄くなって改善していくようであれば、広範囲に照射を行います。

レーザー後に炎症後色素沈着が起こった場合、トレチノイン・ハイドロキノン療法を行います。Qスイッチヤグレーザーに関しては「シミ・そばかす治療」のページも併せてご参照ください。

トーニング

くすみや炎症後色素沈着の早期の段階では、肌全体に弱い出力でレーザーをシャワーのように当てるトーニングを行います。2週間間隔で、10回ほど治療が必要ですが、肌全体のくすみが取れていくと、徐々に白く透明感のある肌へ変わっていきます。

全体的なくすみには、トラネキサム酸やグルタチオン、ビタミンCといった内服美白薬の併用が必要です。

ダブル照射

当院では、ロングパルスヤグレーザーとトーニングを併用する「ダブル照射」を行っています。

ロングパルスヤグレーザーは、肌の深部の赤みを徐々に減らしていくとともに、肌の真皮層に熱エネルギーを与えて真皮のコラーゲンの増生を促すため、「赤み・毛穴・肌のハリ」を改善していきます。トーニングは、肌の表面~深部のメラニンの排出を促して「くすみ・黒ずみ」を改善して美白していきます。

ダブル照射を行うことで、肌の色調が徐々に改善していきます。

治療料金– Treatment Costs –

項目料金(税込)
診察料初診料 3,850円
再診料 1,650円
トーニングレーザー初回 全顔(3000shot) 8,580円
2回目以降(3000shot) 10,780円
首(全顔オプション) 3,300円
半顔(1500shot) 6,380円
5×5㎝(500shot) 3,080円
体1部位(2500shot) 9,680円
ロングパルスヤグレーザー初回 全顔(5000shot) 9,680円
2回目以降(5000shot) 12,980円
首(全顔オプション) 3,300円
半顔(2500shot) 8,580円
5×5㎝(600shot) 3,300円
体1部位(3000shot) 9,680円
ダブル照射初回 全顔(8000shot) 18,260円
2回目以降(8000shot) 19,360円
首(全顔オプション) 6,600円
半顔(4000shot) 13,860円
5×5㎝(1100shot) 5,390円
体1部位(5500shot) 17,160円
強力ロングパルスヤグ全顔 27,280円
首(全顔オプション) 8,800円
半顔 16,280円
5×5㎝ 5,280円
トラネックスレチピール院内施術 顔1回分 16,500円
自宅処方 顔1回分 14,300円
*体は面積による
サリチル酸マクロゴール
ピーリング 30% 40%
院内施術 顔1回分 7,480円
自宅処方 顔1回分 4,378円
自宅処方 顔6回分 21,780円
*体は面積による
トレチノイン0.05% 5g2,178円
トレチノイン0.1% 5g2,728円
ハイドロキノン4% 10g3,278円
  1. ニキビ跡の治療は新生ニキビができない方に限ります。ニキビができている患者さんにはニキビ治療を併せてご提案させていただきます。
  2. 同じ施術を2回目以降受けられる方で、診察を希望されない場合は再診料はかかりません。
  3. 化粧品・外用剤・ビタミン剤を2回目以降購入希望の方で、診察を希望されない場合は再診料はかかりません。
  4. トレネックスレチピールの自宅処方には、最低3回、院内で施術と指導を受けていただく必要があります。

赤み・色素沈着のよくある質問

レーザー治療を受けられない場合はありますか?

まだ新しいニキビができる方は、ニキビ跡治療を受けることはできないため、ニキビ治療も一緒にご提案いたします。

また、次の方はレーザー治療を受けられない場合がございます。

  • 日光浴愛好者、日光に当たる職業の方、光過敏症(日光アレルギー)の方
  • 妊娠中の方
  • てんかん発作のある方
  • 金の糸を入れている方
  • 照射部位に入れ墨、アートメイク、落ちないファンデーション(BB Glow、CC Glow等)をご使用の方
  • 光の感受性を高めるお薬を使用中の方

詳しくは診察の際に医師にご相談ください。また「治療間隔(インターバル)」も併せてご参照ください。

ピーリングとレーザーのどちらがおすすめですか?

ニキビ跡の性状(色味、深さ)、個々の肌の状態によって異なりますので、診察の際に医師にご相談ください。肌質としては、脂性肌や角質が厚い方はピーリング、敏感肌や乾燥肌の方は、ピーリングよりもレーザーをおすすめします。

赤みの治療期間と通院頻度を教えてください

通常のニキビ跡の赤みの場合、治療期間は半年~1年程度が目安です。通院頻度と回数は、ロングパルスヤグレーザーは2週間間隔で平均10回、ピーリングや強力ロングは4週間間隔で5~8回ほどで終了します。

ダウンタイムがない方法で治療できますか?

赤みに対しては、一部の治療を除き、ダウンタイムをほとんど気にせず治療が可能です。トラネックスレチピールでは7~10日ほど皮向けが起こります。トレチノインハイドロキノン療法では、2~3週間赤みや皮向けが起こる時期があります。

レーザーやピーリング後に注意することはありますか?

保湿をしっかりと行い、紫外線に十分注意してください。入浴、洗顔は普段通りで構いませんが、肌をなるべくこすらないようにしてください。当院では、日常のスキンケアに「調剤化粧品」をおすすめしています。

副作用が出たので返金してもらえますか?

安全性が高いものであっても、医療施術やお薬は副作用が起こりうることが前提であり、施術代金やお薬の返品・返金は承っておりません。「薬の交換や返品は可能ですか?」のページも併せてご参照ください。


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