インデラルで改善するあがり症・赤面症・酒さの赤み|その驚きの効果とは

緊張で汗をかく演説者のイラストに「インデラルで落ち着くあがり症」という見出しを加えたブログ用画像
目次

はじめに:なぜインデラルが「すごい」と言われるのか

人前で話すとき、緊張で顔が真っ赤になってしまう。大切な場面で手が震え、声が上ずってしまう。酒さによる顔の赤みやほてりに悩まされている。

このような症状でお悩みの方に、インデラルという薬が注目されています。

  • 「あがり症だったのにインデラルを飲んだら人前で話せるようになった」
  • 「プレゼンで手が震えなくなって、心臓のバクバクや声の震え、嫌な汗がなくなった」
  • 「緊張や気温の変化で顔の赤みが気になっていたのに、嘘のように引いて、外出が楽しくなった」

インデラルを使用した患者さんから、このような体験談が寄せられています。今回のブログでは、なぜインデラルが「すごい」と言われるのかを解説していきます。

インデラル(プロプラノロール)は「βブロッカー」と呼ばれる薬の一種です。β(ベータ)ブロッカーとは、心臓や血管にある「β受容体」という部分をブロックすることで、心拍数を下げたり血圧を調整したりする薬のこと。本来は高血圧や不整脈の治療薬として開発されましたが、実は赤面症やあがり症、さらには酒さのフラッシングの赤み改善にも効果を発揮することが分かってきました。

肌のクリニックでは、酒さ治療の一環として、また赤面症・あがり症でお悩みの患者さんに対して、インデラルの処方を行っています。当院には内科認定医で循環器領域を専門とする院長・岩橋と、内科専門医・循環器専門医の山﨑医師が在籍しており、インデラルという循環器薬を熟知した医師による安全な処方を重視しています。

インデラルであがり症が改善!科学が証明した「緊張しない薬」の真実

あがり症の正体は「交感神経の暴走」

人前で話すとき、こんな経験ありませんか?

  • 手がガタガタ震えて資料が持てない
  • 声が裏返って何を言ってるか分からない
  • 心臓がドキドキして頭が真っ白に
  • 顔が真っ赤になってもう逃げ出したい
  • 汗がダラダラ流れてシャツがびしょ濡れ

これ、実は「あなたが弱い」からじゃありません。交感神経が暴走しているだけなんです。

交感神経が興奮すると、アドレナリンという物質が放出され、心臓のβ受容体に結合します。すると心拍数が上がり、手が震え、汗が出る——これがあがり症の正体です。インデラルは、このβ受容体をブロックすることで、アドレナリンの作用を遮断し、身体症状を抑えます

音楽家の救世主だったインデラル

1982年、医学界を驚かせる2つの研究が発表されました[1,2]

スイスのNeftel医師らは、22名のプロ弦楽器奏者を対象に画期的な実験を実施。観客の前での演奏で下記の結果が報告されました。

  • 偽薬グループ(プラセボ):緊張により演奏の正確性が26%低下
  • βブロッカー服用グループ:演奏の正確性が7%向上

同年、アメリカのBrantigan医師らも29名の演奏家で研究を行い、インデラル服用により演奏の質が著明に向上したことを報告。審査員による評価でも「より落ち着いて技術的に優れている」と高く評価されました。

なぜ音楽家に広まったのか?
「技術は十分あるのに、本番で手が震えて実力が出せない」——この悩みをインデラルが見事に解決したからです。音楽性や表現力は損なわず、震えという物理的な問題だけを改善する。まさに音楽家が求めていた薬だったのです。

演奏中のバイオリニストと心電図波形。本番の緊張をインデラルで克服した音楽家のイメージ。

インデラルがあがり症に効く4つの理由

1.たった30分で効く即効性

インデラルは服用後30分で血中濃度が上昇し始め、β受容体をブロックし始めます。大事なプレゼンの30分前に飲めば、本番には落ち着いた状態で臨めます。

2. 身体症状を確実に抑える

「緊張するな」と思っても震えは止まりません。でもインデラルなら、β受容体を薬理学的にブロックして物理的に症状を抑えるので、確実に効果を実感できます。2025年の最新研究でも、βブロッカーが不安の身体症状に対して確実な効果があることが証明されています[3]

3. 大事な場面を完全カバー(4~6時間持続)

朝の会議から午後のプレゼンまで、1錠でしっかりカバー。インデラルの血中半減期は3~6時間のため、重要な場面を確実にカバーできます。

4. 依存性ゼロで安心

ベンゾジアゼピン系の精神安定剤とは違い、インデラルには依存性がありません。必要な時だけ使えるので、「明日は大事な面接」という日だけ服用すればOKです。

インデラルで赤面症が改善!効果的な理由

なぜ顔が赤くなるの?

赤面症のメカニズムは意外とシンプルです。

  1. 緊張や不安を感じる
  2. 交感神経が興奮してアドレナリンが放出
  3. 心拍数が上がり、血液の循環が活発に
  4. 顔の血管が拡張して血流が増加
  5. 顔が赤くなる

インデラルが赤み・ほてりに効果的な理由

赤面症や酒さによる赤み・ほてり(フラッシング)は、どちらも交感神経の過剰な反応が関与しています。緊張や不安、温度変化、感情の揺れ、飲酒や刺激物の摂取などが引き金となり、アドレナリンが放出されて血流が急激に増加し、顔が赤くなります。

インデラル(プロプラノロール)は、この過剰反応の連鎖を途中でブロックすることで、顔の血流を抑え、赤みやほてりを改善します。さらに脂溶性が高いため、脳にも作用し、扁桃体などの不安に関わる脳部位の興奮を間接的に抑える可能性が指摘されています。そのため、「赤くなる」という身体的な反応だけでなく、「緊張する」という精神的な症状にもアプローチできるのです[10,11]

酒さのフラッシングが起こる場面

日常生活で突然顔が赤くなる「フラッシング」は、酒さの最もつらい症状の一つです。以下のような場面で起こります。

  • 温度変化:暖房の効いた部屋に入った瞬間
  • 感情の動き:緊張、恥ずかしさ、怒りを感じた時
  • 飲食:アルコールや辛い食べ物を摂取した後
  • 身体活動:運動後の火照り

インデラルは、これらの刺激による交感神経の過剰反応を効果的にブロックします。顔の赤みに対してのインデラルの効果は、医学的にも報告されており、2020年の研究では酒さのフラッシング症状に対して有効性が認められています[4]。また、2005年の研究でも、プロプラノロールが酒さによる突然の顔の赤み(フラッシング)を著しく改善することが示されています[5]

ただし、インデラルは主に血管反応によるフラッシングに対して効果を示しますが、酒さの炎症による赤みの改善効果は限定的です。そのため、当院ではイソトレチノインレーザー治療イベルメクチン等で酒さの慢性炎症を改善させます。そのうえで、急激な赤み対策(対症療法)として、即効性のあるインデラルやブリモニジンゲルを併用し、赤みを抑える治療を行っています。

インデラルの料金と使用方法:何錠飲めばいい?

あがり症改善薬インデラル(プロプラノロール)10mg

インデラルの料金

インデラル10mg 30錠:3,300円(税込)

  • 処方には別途診察料がかかります。
  • あがり症(社交不安障害)や酒さには適応外処方となり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

基本の用量は1回10mg(1錠)から

  • 症状が気になる30~60分前に1錠(10mg)
  • 体重が40kg未満の方、高齢者の方は5mgから開始
  • 1日1回まで

日本人は少量で効果十分!

欧米では80~160mgという高用量が使われることもありますが、日本人は10~20mgで十分な効果が得られます。

効果が不十分な場合は?

医師の判断により、副作用の症状や血圧を確認しながら、最大で1回20mg(2錠)まで増量することがあります。

実際の使用例:こんな場面で活躍!

ビジネスシーン

  • 重要なプレゼン:30分前に1錠で、手の震えも声の震えもなし
  • 面接:緊張による赤面や発汗を抑えて、実力を発揮
  • 会議での発言:心臓のバクバクを抑えて、落ち着いて意見を述べられる

プライベートシーン

  • 結婚式のスピーチ:大勢の前でも震えずに感動的なスピーチ
  • デートや合コン:赤面を気にせず自然な会話を楽しめる
  • 発表会や試験:実力を100%発揮できる

日常生活

  • 酒さの方:急な赤みを気にせず外出できる
  • 接客業の方:お客様の前で自信を持って対応

世界の芸能人も使用 βブロッカーの実例

実は、世界で活躍する多くの芸能人や著名人がβブロッカー(インデラル等)を使用していることが明らかになっています。

有名アーティストの使用例

ケイティ・ペリー(Katy Perry) 世界的ポップスターのケイティ・ペリーは、「毎回のショーの前にβブロッカーを服用している」と公言。何万人もの観客の前でパフォーマンスする重圧に対処するため使用しているそうです。

ショーン・メンデス(Shawn Mendes) カナダの人気歌手ショーン・メンデスは、20歳の時のグローバルツアー中に「1年以上、神経を落ち着かせる薬が必要だった」と告白。βブロッカーがライブパフォーマンスを支えていました。

その他にも、コメディアンのホイットニー・カミングスやボビー・リー、料理番組で有名なプルー・リース、有名企業のCEOなど、様々なジャンルの著名人が使用を公表しています[6,7,8]

音楽業界での使用率

プロの音楽家におけるβブロッカー使用は想像以上に一般的です。

  • アメリカの主要オーケストラ調査(1987年)では、27%以上が使用経験あり
  • 近年の大規模調査では、クラシック音楽家の約72%が使用または使用経験あり[9]

グラミー賞ノミネート歴のあるクラシック音楽家ブレア・ティンダールは、「βブロッカーは私のキャリアに非常にポジティブな影響を与えた」「βブロッカーは数えきれないほどの音楽家のキャリアを救ってきた」と述べています[6]

これらの事実は、プロフェッショナルな世界でも、緊張や不安との戦いが普遍的であることを示しています。最高峰のパフォーマーでさえ、大切な場面では医学的なサポートを必要としているのです。

インデラルについてのよくある質問

効果はどのくらい続きますか?

服用後30分で効果が現れ、4~6時間持続します。朝の会議なら朝食後に、午後のプレゼンならランチ後に服用するなど、タイミングを調整できます。

毎日飲んでも大丈夫?

依存性はなく、毎日飲んでも問題ありません。ただ、基本的には必要な時だけの服用をお勧めします。

インデラルは精神的な不安にも効くのですか?

インデラル(プロプラノロール)は、いわゆる抗不安薬や安定剤ではなく、「β遮断薬(βブロッカー)」というタイプの薬です。そのため、不安を直接的に抑える作用はありません

ただし、交感神経の働きを抑えることで、動悸や震え、発汗などの“緊張による身体症状”を和らげる効果があります。こうした身体症状が軽くなることで、結果的に不安や緊張そのものも和らぐことがあるため、「精神的な症状にもアプローチできる」と言われることがあります。

さらに、インデラルは脂溶性が高く、脳にも作用することが知られています。扁桃体などの不安や恐怖に関わる部位の過剰な興奮を間接的に抑える可能性も指摘されています[10,11]

実際に、社会不安障害(対人緊張)や舞台恐怖(プレゼンや本番の緊張)など、特定の場面で強く緊張してしまう方に対して、インデラルが適応外処方で使用されています。

副作用は?

発疹、息切れ、頭痛、めまい、不眠、しびれ、口渇、食欲不振、下痢、倦怠感、徐脈、低血圧などが報告されています。その他の副作用については、診察時に説明用紙を用いて詳しく説明いたします。

アルコールは飲める?

適量なら問題ありませんが、血圧が下がりやすくなるため控えめに。特に酒さの方は、アルコール自体が赤みの原因になることもあるので注意が必要です。

スポーツはできる?

日常的な運動は問題ありません。ただし、競技レベルの激しい運動では、最大心拍数が抑えられるためパフォーマンスが低下する可能性があります。

飲めない人はいますか?

以下の方は服用をお控えください。

妊娠中・授乳中・妊活中の方、気管支喘息の方、糖尿病・心疾患・不整脈(徐脈等)・肺高血圧症・低血圧症・褐色細胞腫・パラガングリオーマ・肝機能障害・腎機能障害・甲状腺機能異常をお持ちの方、マクサルト(片頭痛治療薬)を服用中の方

まとめ:インデラルで「本来の自分」を取り戻す

あがり症、赤面症、酒さによる赤み。これらの症状は、あなたの本当の実力を隠してしまう「見えない壁」です。

インデラルの特徴

  • 30分で効果を実感できる即効性
  • 確実に症状を抑える信頼性
  • 必要な時だけ使える利便性
  • 依存性がない安全性

インデラル使用中の患者さんからの声

  • 「やっと本来の自分でいられるようになった」
  • 「緊張に邪魔されず、伝えたいことが伝えられる」
  • 「外出時の不安がなくなり、人と合うのが楽しくなった」

症状に悩まされて本来の実力を発揮できない、人前に出るのが怖い、そんな毎日から解放されませんか?肌のクリニックでは、経験豊富な医師が、あなたに最適な治療プランをご提案します。


ご予約はこちらから(インデラルの処方をご希望の方は、診療メニュー「ニキビ/酒さ」でご予約をお取りください)。

参考文献・サイト一覧
  1. Neftel KA, Adler RH, Käppeli L, Rossi M, Dolder M, Käser HE, Bruggesser HH, Vorkauf H. Stage fright in musicians: a model illustrating the effect of beta blockers. Psychosom Med. 1982 Nov;44(5):461-9. doi: 10.1097/00006842-198211000-00008. PMID: 6129674.
  2. Brantigan CO, Brantigan TA, Joseph N. Effect of beta blockade and beta stimulation on stage fright. Am J Med. 1982 Jan;72(1):88-94. doi: 10.1016/0002-9343(82)90592-7. PMID: 6120650.
  3. Archer C, Wiles N, Kessler D, Turner K, Caldwell DM. Beta-blockers for the treatment of anxiety disorders: A systematic review and meta-analysis. J Affect Disord. 2025 Jan 1;368:90-99. doi: 10.1016/j.jad.2024.09.068. Epub 2024 Sep 11. PMID: 39271062.
  4. Logger JGM, Olydam JI, Driessen RJB. Use of beta-blockers for rosacea-associated facial erythema and flushing: A systematic review and update on proposed mode of action. J Am Acad Dermatol. 2020 Oct;83(4):1088-1097.
  5. Craige H, Cohen JB. Symptomatic treatment of idiopathic and rosacea-associated cutaneous flushing with propranolol. J Am Acad Dermatol. 2005 Nov;53(5):881-4. doi: 10.1016/j.jaad.2005.07.021. PMID: 16243148.
  6. uVitals.com – Celebrities Who Take Beta‑Blockers for Anxiety https://uvitals.com/celebs-beta-blockers-anxiety/ (最終閲覧日:2025年7月19日)
  7. Slate – Why Beta‑Blockers Are the Drug of Choice for Stage Fright https://slate.com/technology/2019/06/beta-blockers-stage-fright-hims-hers-kicks-addiction.html (最終閲覧日:2025年7月19日)
  8. GoKick – Prue Leith’s Use of Beta‑Blockers for Stage Fright https://www.gokick.com/blog/beta-blocker-tales/prue-leith-beta-blockers-stage-fright/ (最終閲覧日:2025年7月19日)
  9. Allegro Magazine(Local 802 AFM)– Beta-Blockers: A Musician’s Best Friend?
    https://www.local802afm.org/allegro/articles/beta-blockers/(最終閲覧日:2025年7月19日)
  10. Zhou J, Luo Y, Zhang JT, Li MX, Wang CM, Guan XL, Wu PF, Hu ZL, Jin Y, Ni L, Wang F, Chen JG. Propranolol decreases retention of fear memory by modulating the stability of surface glutamate receptor GluA1 subunits in the lateral amygdala. Br J Pharmacol. 2015 Nov;172(21):5068-82. doi: 10.1111/bph.13272. Epub 2015 Oct 23. PMID: 26228348; PMCID: PMC4687796.
  11. Beninati, L.「The Drug That May Forever Change Fear: Propranolol」『The Science Survey』2024年6月20日公開、https://thesciencesurvey.com/news/2024/06/20/the-drug-that-may-forever-change-fear-propranolol/(参照日:2025年7月20日)
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記事の著者

岩橋 陽介のアバター 岩橋 陽介 肌のクリニック 院長

皮膚科医/美容皮膚科医/日本内科学会認定医/日本抗加齢医学会専門医/化粧品成分上級スペシャリスト
自身も重症ニキビに悩んだ経験から、2000年初頭に日本でいち早くイソトレチノインとホルモン療法を組み合わせたニキビ専門外来を開設。以来、20年に渡る美容皮膚科の臨床経験と2万人を超える難治性・重症ニキビ患者の治療実績を持つ。専門的アプローチにより、難治性ニキビ・ニキビ跡の治療に取り組んでいる。

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