シミ・そばかす治療

目次

シミ(老人性色素斑)– lentigo senilis –

老人性色素斑(日光黒子)は、加齢と紫外線によって起こるシミです。シミの悩みの半数以上を占め、1円玉以上の大きなものから、大小不同のそばかすのようなものまであります。シミができるメカニズムについては、下記をご参照ください。

治療

老人性色素斑の治療には、Qスイッチヤグレーザーを用います。通常は1回の照射で大部分のシミが取れる、もしくは、薄くなりますが、反応が悪い場合4ヶ月以上の期間を空けて2回程度必要になることがあります。

目の下の老人性色素斑
レーザー治療 2週間後

写真の患者さんに、矢印のシミに対してQスイッチYAGレーザー治療を行いました。右の写真は治療2週間後の写真です。左目の下の大きなシミは1回の照射でほぼ消失しました。長年美白ケアを頑張っていた患者さんは、あっさりとシミが取れて驚かれる方もいます。

実際のシミ取り治療の詳細は下記の記事も併せてご覧ください。

そばかす(雀卵斑)

そばかすは医学用語で「雀卵斑(じゃくらんはん)」と言います。白人に多く、日本人でも色白の人に多いという特徴があります。そばかすは、目の周囲や頬に両側性に存在することが多く、幼小期から思春期にかけて目立ってきます。

色白の人にそばかすが多い理由は、遺伝的な素因によります。色白の人はメラニンができにくいため、正常なメラニンを作って紫外線から肌を守ることができません。そうすると、紫外線によって逆に異常なメラニンが出来て、シミになります。この紫外線に弱い遺伝子は、ご両親から受け継がれますので、そばかすがある方のご両親の顔にはやはりそばかすがある場合が多いです。

治療

QスイッチYAGレーザー1回の照射で大部分が取れますが、再発しやすいため、4ヶ月以上の期間を空けて合計で3回程度必要になることがあります。

そばかす_レーザー治療前
治療前
そばかす_レーザー治療後
レーザー1回照射2週間後

写真の患者さんは思春期からのそばかすで、加齢とともに濃くなり、他院でIPLを複数回受けていましたが、改善しないために当院へ来院されました。顔全体で1回で400個以上のそばかすを取りました。

そばかすのレーザー治療の詳細については、下記の記事も併せてご覧ください。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

ADMは両側性にほほの上部・こめかみ付近・小鼻などに多発するシミです。色は灰色~茶褐色、青黒いものなど様々で、大きさは1~3mmほどの小さいものが多いです。境界はハッキリせず、いくつかまとまって出現するのが特徴です。肝斑やそばかすと間違えられることが多く、混在していることもあります。

思春期以降にできたそばかすには、パラパラ型太田母斑(ADM)が混在していることもあります。

当院のレーザーは保険が効きませんが、ADMは保険適用となることがございますので、お近くの皮膚科で一度ご相談ください。

治療

ADMは、シミが表皮の下の真皮層にあるため、トレチノイン・ハイドロキノン療法などの外用薬では効果が出にくく、レーザー治療が必要です。

深い層にシミがあるため、1回の治療では全て取り切れず、4ヶ月以上の間隔を空け、4~5回程度の治療を要します。

レーザー照射後は、かさぶたができることは少なく、照射したところに一致して内出血斑ができるため、点状に赤くなります。完全に消えるまで、10日ほどかかることもあります。テープ保護は必ずしも必要ではありませんが、当院では炎症後色素沈着(戻りジミ)を防ぐため、透明のエアウォールUVを貼っていただきます。

治療の流れ

STEP
麻酔

シミ・そばかすの個数が20個以下の場合や小さなシミの治療では、麻酔は必要ありません。大きなシミや個数が多い場合、院内でクリーム麻酔を行うか、事前に麻酔テープを処方しますので1時間前にご自分で貼ってご来院ください。

STEP
レーザー前

メイク・日焼け止めを落としてご来院いただくか、院内で落としていただきます。治療部位に毛がある方はご自分で剃ってきてください。

STEP
レーザー後

2週間保護テープを貼ります。保護テープは紫外線カット機能が付いた透明で目立たない「エアウォールUV」を採用しています。貼り方を指導しますので、途中ではがれてしまった場合はご自分で貼りなおしていただきます。

STEP
2週間~1ヶ月後

2週間後にテープをはがします。シミがかさぶたや薄皮となって剥がれ落ちます。無理にこすって剥がさないように注意してください。また、このタイミングで一度診察に入っていただくと治療経過がわかるので安心です。

シミが取れた後、約4割の方に戻りジミが出ます。1ヶ月後が最も濃くなり、その後半年以内にほとんどの方が改善しますが、体質的に治りが悪い場合には塗り薬を処方します。

肝斑が悪化してしまった場合はトラネキサム酸を処方しますので医師にご相談ください。

STEP
4ヵ月~

取り切れなかったものや再発した部位がある場合、4ヵ月以上の間隔を空けて再度治療を行います。

治療実績

施術件数
シミ
そばかす
2022年:11,672個
2023年:12,451個
シミとそばかすのレーザー治療実績
  • 高円寺院と麹町院の2院を合わせた件数(割合は半々程度)
  • 5mm以下の面積換算の個数で、シミ取り放題では400個として算出

治療を受けることができない方

  1. 日光浴愛好者、日光に当たる職業の方、光過敏症(日光アレルギー)の方
  2. 妊娠中の方
  3. てんかん発作のある方
  4. 金の糸を入れている方
  5. 照射部位に入れ墨、アートメイク、落ちないファンデーション(BB Glow、CC Glow等)をご使用の方
  6. 光の過敏性をあげる薬剤をご使用中の方

施術によって期間を空ける必要があるものもありますので、「治療間隔(インターバル)」も併せてご参照ください。

副作用・リスク

1. 痛み

強い痛みは1日で治まります。当日は、家でハンカチに包んだ保冷剤で冷やしましょう。冷やす時間は5分以内とし、休憩を取りながら痛みが和らぐまで行います。

2. 赤み

レーザーの刺激による強い赤みは数日で治まります。テープが取れた後の弱い赤みは1~3ヶ月程度で取れていきます。稀に、赤みが3ヶ月以上続くこともありますが、それも徐々に薄くなってきます。

3. 毛細血管拡張

老人性のシミの場合、シミの裏側は細い血管が多数集まっています。副作用ではありませんが、シミが取れると裏側の細かい血管が見えるようになるため、赤みが続くことがあります。シミがなくなることで徐々に改善していきますが、半年以上残ることもあります。

4. 内出血・毛包炎

2週間以内に自然に治まりますので心配いりません。

5. 肝斑

隠れ肝斑(くすみ・シミ)がある場合は、レーザーの刺激で肝斑が出てくることがあります。その場合、レーザートーニングやトラネキサム酸などの肝斑治療が必要になることがあります。

6. 白斑・色抜け

治療後に白く赤みがかった肌が出てきます。通常は3~6ヶ月で肌色に馴染んできます。非常に稀ですが、レーザーにより一部の色素が抜けすぎて戻らないリスクが報告されています。

7. 火傷

稀に水疱を伴う火傷を生じることがありますが、通常は数ヶ月以内には改善します。非常に稀ですが、瘢痕(きずあと)が残ってしまうリスクが報告されています。

8. 麻酔によるアレルギー

非常に稀ですが、体質によってクリーム麻酔(リドカイン、微量のプロピレングリコール、エタノール、メチルパラベン等含有)・テープ麻酔・局所麻酔で重篤なアレルギー症状(アナフィラキシー:全身性の発疹、皮膚・唇・舌の腫れ、呼吸困難、動悸、血圧低下、意識障害、痙攣など)が起こる可能性があります。症状が起こった場合には、すぐに救急車を呼んでください。

シミの再発

そばかすは再発しやすいため、4ヵ月以上間隔を空けて複数回治療をするケースがあります。シミは5年以上再発しないケースもありますが、皮膚老化の程度によって1~2年で再発するケースもあります。

よくある質問の「レーザーでシミを取れば再発しませんか?」もご参照ください。

戻りジミ(PIH)

レーザー後の戻りジミは、レーザーの刺激によって起こる炎症後色素沈着(PIH)のことです。4割の患者さんに起こるとされていますが、当院では、術後の湿潤療法や指導をしっかりと行っているため、3割以下に抑えられています。

PIHは6ヶ月で多くが自然に消えていきます。6ヶ月以上経ってもシミが消えない場合、PIHではなく、完全に取り切れなかったか、再発したか、PIHが固定したかのどれかです。

戻りジミ(PIH)対策

せっかくシミを取ったのだから、できるだけ戻りジミを起こさないようにしたいものです。戻りジミの最大の要因は肌質(遺伝的に色素沈着が残りやすい体質)ですが、下記を守ることによって、ある程度は防ぐことが可能です。

  • 紫外線対策は必ず行ってください。紫外線を浴びてしまうと、戻りジミがシミとして固定してしまったり、シミやそばかすが再発してしまいます。
  • 患部を「こすらない・触らない」ことを守り、刺激を与えないようにしてください。
  • テープを2週間ほど長く貼ることで患部を紫外線・物理的刺激から守り、戻りジミも起こりにくくなります。汗などで全体が濡れて剥がれてきたら、交換してください。テープを交換する際は、無理に剥がさず、シャワーやぬるま湯で濡らしながら優しく剥がします。石鹸や消毒液は使わず、軽く水道水で洗って、水分を優しく拭き取ってから新しいテープを貼ってください。
  • 2週間以上経過した後はテープを貼る必要はありません。患部の紫外線対策と保湿を行ってください。

戻りジミを早く消したい方には、トレチノイン・ハイドロキノン療法レーザートーニングを行います。

シミ・そばかす治療の料金– Treatment Costs –

項目料金(税込)
診察料初診料 3,850円
再診料 1,650円
5mm以下のシミ
(1個)
1個 4,400円
5mmごとに+4,400円
5mm以下のシミ
(10~20個)
41,800円
1個増加ごとに+1,100円
顔全体シミ取り放題1回 107,800円
テープ麻酔1枚 330円
クリーム麻酔顔1面 3,300円
※体は面積による
エアウォールUV 10cm
(術後保護テープ)
小 110円
大 220円
  1. 治療後2週間~1ヶ月以内に肌の状態を確認しますので、診察のご予約をお取りください。
  2. 同じ施術を2回目以降受けられる方でも、治療部位が異なる場合には診察が必要です。
  3. 複数回治療が必要な場合は、最低4ヶ月間隔を空けて追加照射します。複数回の照射ではその都度料金がかかりますので、ご了承ください。
  4. シミ取り放題は、顔全体~フェイスラインまでの取り放題料金(1回分)です。首や体のシミや、イボ、ホクロなどは別途料金が必要です。

シミ・そばかす治療のよくある質問

当日施術を受けることはできますか?

シミの個数が少なく、レーザー枠が空いている場合に限り、診察当日に施術が可能な場合もありますが、原則、当日は医師による診察や説明となり、施術は後日になります。

シミは1回のレーザーで取れますか?

通常のシミ(老人性色素斑)は、1回のレーザーでほとんどが取れる、もしくは、薄くなりますが、反応が悪い場合は2~3回必要になることもあります。複数回レーザーを行う場合、4ヶ月以上の期間を空けて照射します。

そばかすは、通常のシミと比較して再発しやすいため、3回程度の治療が必要です。ADMなどの深いシミの場合、4~5回のレーザー照射が必要になります。

レーザーでシミを取れば再発しませんか?

いいえ。レーザーによってシミを取っても、残念ながら再発しないわけではありません。5年以上再発しない方もいれば、稀に1~2年で再発してしまうケースもあります。

レーザーで破壊するのは、メラノソームが過剰なケラチノサイトです。メラニンを産生する基底膜の「メラノサイト」は破壊できないため、メラニンの産生がストップされるわけではありません。もし、メラノサイトを破壊してしまえば、メラニンが作られなくなり「白斑」が生じてしまいます。

紫外線や加齢による皮膚老化で、少しずつメラノソームが蓄積してくると、いずれシミが再発します。シミが濃くなれば、定期的にレーザーで除去する必要があります。

夏でもレーザー治療は受けられますか?

夏でもレーザーによるシミ取りは可能です。

レーザー後にエアウォールUVという紫外線カット機能が付いたテープを2週間貼っていただきますので、実際に多くの患者さんが、夏にシミ治療を受けています。

シミに貼るテープは目立ちますか?

当院では、透明で目立たない「エアウォールUV」というテープを採用しています。

シミのレーザー治療後にエアウォールUVを貼付

写真は、シミ治療後にエアウォールUVを貼付しています。近づいて見ても、貼ってあるのか見分けが付きにくいテープです。

97%紫外線カット機能が付いているため、お出かけ時にも安心です。

上からメイクも可能ですが、メイク落とし等でこするとさすがに剥がれてしまうため、2週間は患部のメイクを控えていただくほうが無難です。

実際のテープは診察時にお見せすることもできますので、お気軽に医師・看護師にお声がけください。

妊娠中はレーザーを受けることができますか?

レーザー治療は、妊娠中にも影響はほとんどないと考えられていますが、当院では念のため治療をお控えいただいております。授乳中は問題ありません。

目の周りのシミを取ることはできますか?

目の周囲のシミも注意深く照射すれば、大部分は取ることができます。ただし、眼球付近の皮膚にあるシミは、取れないこともございますので、診察の際にご相談ください。

痛みは強いですか?麻酔は必要ですか?

レーザー中は輪ゴムで弾かれるような痛みがあります。小さなシミの場合麻酔なしで照射できます。数が多い場合や大きなシミの場合は、テープ麻酔やクリーム麻酔などの表面麻酔をしてから施術します。

ダウンタイムはありますか?

照射後は赤くなり、その後黒く変色してカサブタになります。カサブタは2週間ほどで剥がれ落ちますが、その間はテープをしっかり貼っていただきますので、2週間はダウンタイムを見ていただきます。

特にお顔全体のシミをたくさん取る場合は、お顔全体にテープを2週間はっていただきますので、相応の我慢が必要です。

テープはいつまで貼る必要がありますか?

当院では、「2週間」テープを貼るように指導しています。長くテープを貼っていただくことにより、患部が刺激や紫外線から守られ、戻りジミも少なくなってキレイに治ります。

テープは剥がれない限り、ずっと貼りっぱなしにしておいてください。

戻りジミとはなんですか?

レーザーでシミが取れたあと、シミがまた戻って来ることがあります。これは、レーザーの刺激による炎症後色素沈着で起こるシミで、「戻りジミ」と呼ばれています。

戻りジミは約40%の方に起こり、ほとんどが6ヶ月以内に自然に消えますが、まれに、体質や紫外線によって戻りジミが固定してしまうケースもあります。

レーザー後にシミが残ってしまいました

深い層にあるシミはレーザーに対する反応が悪く、1回の治療では取り切れないことがあります。その場合、最低4ヶ月以上の期間を空けて2回目の照射が必要です。

また、「戻りジミ」をシミが残っていると勘違いしている可能性もあります。戻りジミの場合は、6ヶ月で自然に消えていきますので経過を見ていただきます。

施術後に注意することはありますか?

レーザー後の戻りジミを最小にするために、患部をこすらない・触らないこと、紫外線を当てないことを心がけてください。また、患部の保護テープは2週間程度貼りっぱなしにしておくほうが、キレイに治ります。

テープは運動や入浴中の汗で剥がれやすくなります。防水仕様ですが、なるべく患部を水に濡らさないようにご注意ください。

参考文献・サイト一覧
  1. Kadono S, (2001) “The role of the epidermal endothelin cascade in the hyperpigmentation mechanism of lentigo senilis.” J Invest Dermatol. 2001 Apr;116(4):571-7. DOI: 10.1046/j.1523-1747.2001.01296.x PMID: 11286625

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