イボの種類と治療
イボは、皮膚の一部が盛り上がったできものの総称です。種類によって治療方法が異なりますが、ここでは当院で治療をしているイボについて解説します。
老人性疣贅(脂漏性角化症)ろうじんせいゆうぜい(しろうせいかくかしょう)
老人性疣贅は、加齢や日焼けによるイボで、表面がザラザラして扁平に盛り上がります。皮膚老化が原因ですが、20代後半の方にもできます。
紫外線の影響を受けやすい顔、頭皮、四肢に発生し、1mm程度のものから30mmを超えるものまであります。
薄いものはシミのように見え、増大して厚く色が濃くなるとホクロに似た形状に見えます。
根が浅いイボのため、炭酸ガスレーザーできれいに除去できますが、体質によっては、治療後に色素沈着や白さ(瘢痕)が残ることがあります。
治療後の再発はしにくいものの、加齢により数が増えるため、紫外線対策を徹底して定期的に除去が必要です。
尋常性疣贅(ウィルス性イボ)じんじょうせいゆうぜい
尋常性疣贅は、皮膚にできた小さな傷などから、ヒトパピローマウイルスというウイルスに感染してできるイボで、外観はうおの目やタコに似ています。
手や足、顔などにできやすく、アトピー性皮膚炎の患者さんでは、皮膚を掻いて傷ができることの多い肘や脇にもできます。
お風呂で感染することはありませんが、イボを触った手で傷がある部位を触ると増殖して多発しますので注意してください。
液体窒素よりも炭酸ガスレーザーのほうが早く除去できます。しかし、ウイルス性のため再発が多いイボです。複数回の治療が必要になることや、根まで焼灼する必要があるため、治療後に多少の跡は残ります。
軟性線維腫(アクロコルドン / スキンタッグ)なんせいせんいしゅ
軟性線維腫は、加齢によって首や胸、お腹、脇、股など、皮膚の柔らかい場所に好発するイボです。加齢以外にも摩擦や日焼けが原因となり、20代の方に見られることもあります。
別名「アクロコルドン」とも呼ばれ、首に小さなブツブツができている場合は、このイボのことがほとんどです。
色は白っぽいものから、褐色や黒に近いものまであり、大きさは1~2mmの小さなものがほとんどですが、5mmを超えるものもあります。成長して茎をもった形状になると、「スキンタッグ」とも呼ばれます。
根が浅く、炭酸ガスレーザーで簡単に取れますが、1mm以下のアクロコルドンでは、レーザーよりも色素沈着が少なく治療費が安い「デルマトロン」がおすすめです。再発はしませんが、加齢によって増えるため、定期的な治療が必要です。
稗粒腫はいりゅうしゅ ひりゅうしゅ
稗粒腫は、角質(ケラチン)が皮膚に入り込み、皮膚内にケラチンの塊が詰まってできた、大きさ2mm以下の白いイボです。目の周り、頬、鼻に好発します。
皮膚の傷や炎症後に起こることが多く、ニキビや類天疱瘡、火傷、日焼け、皮膚アレルギーなど様々なものが原因となりますが、体質的な要因もあります。
外観上コメドと見分けがつきにくく、1ヶ月以上同じ位置にある場合には稗粒腫の可能性が高くなります。
治療は、炭酸ガスレーザーで穴をあけて芯を出します。小さいため治りも早く跡にもなりにくいのですが、体質によって色素沈着や毛穴のような跡が残るリスクがあります。
脂腺増殖症(皮脂腺過形成)しせんぞうしょくしょう(ひしせんかけいせい)
脂腺増殖症は、毛穴の奥にある皮脂腺(あぶらを分泌する組織)が増殖して肥大化し、皮膚表面に突出してイボになったものです。
中年以降の方の額や鼻に好発し、大きさは1~5 mmほどの白~黄色の扁平なイボです。中心部が少し窪んでいたり、表面に血管拡張があるものもあります。原因は不明ですが、加齢や皮脂腺の活動が活発な方に見られ、徐々に大きくなるケースもあります。
炭酸ガスレーザーで除去を行いますが、再発が多く、根が脂腺まであるため、深く削る必要があります。レーザー治療後に跡が残る可能性が高く、電気針を使用して、針を皮脂腺に刺して破壊する治療も行っています。
皮脂腺の退縮を促すイソトレチノインやスピロノラクトンの内服治療も有効ですが、治療後の再発率が高いの難点です。
老人性血管腫(赤イボ)ろうじんせいけっかんしゅ
顔や体にできる赤いイボや赤いホクロは老人性血管腫です。加齢によって皮膚の毛細血管が異常に増殖して塊になってできます。
1~2mmの大きさのことが多く、平坦なものや盛り上がったものがあります。
顔や首、胸、背中、腕など、体中どこにでもでき、年齢によって増えていくのが特徴で、いきなり多発したように感じることもあります。
治療は、血管治療用レーザーで中の血管を焼灼して除去します。詳しくは「赤イボ・静脈湖・毛細血管拡張症の治療」をご覧ください。
静脈湖じょうみゃくこ
静脈湖は、中年~高齢者の口唇や耳たぶにできる数mm~10mmの黒から青紫色の良性腫瘍です。とくに下唇にできやすく、顔や首、口の中にできることもあります。
「唇に急に黒っぽいイボができた。」「青紫色のできものができた。」と表現される患者さんが多い疾患です。
加齢に伴う静脈の拡張で起こり、圧迫するとしぼむのが特徴です。
治療は、血管治療用のレーザーで血管を破壊して焼いて除去します。詳しくは「赤イボ・静脈湖・毛細血管拡張症の治療」をご覧ください。
イボの治療症例
首のイボ(軟性線維腫)
40代女性の方の、首イボ(軟性線維腫)のレーザー治療前、レーザー治療後2週間の写真です。
首イボとしては大きいため、デルマトロンの適応ではなく、炭酸ガスレーザーで除去しました。2週間後の写真ではまだ赤みが残っていますが、1~3ヶ月で赤みが取れてさらにきれいになっていきます。
1mm以下の小さなものに限定されますが、首イボ多発している場合、デルマトロン(中周波治療)による除去が費用も安くおすすめです。詳しくは下記のページをご覧ください。
顔のイボ(老人性疣贅)
40代男性の方の顔の老人性疣贅(脂漏性角化症)の症例写真です。
学生時代の部活、ゴルフ、テニスなどで長年日焼けをしている方は、紫外線によって皮膚老化が起こり、このようなタイプのイボ(老人性疣贅)ができやすくなります。
症例の患者さんは、目立つイボだけ除去してほしいという希望でしたので、頬や目の上のイボを50~60個除去しました。目立つイボがなくなったことでお顔全体が明るくなり、若々しく見えるようになりました。
ホクロの治療
ホクロは炭酸ガスレーザーという皮膚を蒸散させるレーザーで削り取ります。炭酸ガスレーザーは血を止める止血作用があるレーザーですので、出血も少なく綺麗にホクロを取ることが可能です。
通常は1回の治療で終了しますが、取り残しや再発がある場合は、半年後に再度炭酸ガスレーザーで治療を行います。半年以内の再施術料金は無料です(再診料のみ必要)。
ホクロの治療症例
耳のホクロ
炭酸ガスレーザーは、皮膚を削るレーザーですので、多少の跡や凹みが残るリスクがあります。当院では必要以上に深く削ることはせず、必要に応じてYAGレーザーを併用し、削り取る皮膚を少なくする工夫をしています。
術後にハイドロコロイドテープで湿潤療法を行い、必要に応じてその後アトファイン(シリコンジェルシート)に切り替えることで、傷がきれいに治るようにしています。
治療の流れ
事前に麻酔テープを処方しますので1時間前にご自分で貼ってご来院ください。2mm以上のイボ・ホクロの場合には、注射による局所麻酔を行います。
メイク・日焼け止めを落としてご来院いただくか、院内で落としていただきます。
2週間保護テープを貼ります。保護テープはハイドロコロイドという少し厚みのあるテープです。傷口を湿潤環境に保ち、きれいに治してくれます。テープ全体が白くなって浮いてきたら、ご自分でゆっくりと剥がして貼りなおしていただきます。
2週間後にテープをはがします。このタイミングで一度診察に入っていただくと安心です。跡が残りやすい体質の方や、胸や肩など跡が残りやすい部位の治療では、必要に応じてアトファインをさらに2ヶ月ほど貼付します。
イボやホクロが取れた後、約4割の方にレーザーの炎症後の色素沈着が出てきます。1ヶ月後が最も濃くなり、その後半年以内にほとんどの方が改善しますが、体質的に治りが悪い場合には塗り薬を処方します。
肝斑が悪化してしまった場合はトラネキサム酸を処方しますので医師にご相談ください。
取り切れなかったものや再発したものがある場合、4ヵ月以上の間隔を空けて再度治療を行います。ホクロの場合は6ヶ月以内に再発した場合、無料で再照射を行います(イボの場合は再発保証はありません)。
治療実績
施術 | 実績 |
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イボ | 2022年:2,243個 2023年:2,311個 |
ホクロ | 2022年:513個 2023年:548個 |
副作用・リスク
炭酸ガスレーザーによるイボ・ホクロ治療の副作用には以下のものがあります。
- 1. 痛み
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強い痛みは1日で治まります。施術当日は、家でティッシュやガーゼに包んだ保冷剤で冷やしましょう。冷やす時間は5分以内とし、部位を変更して休憩を取りながら痛みが和らぐまで行います。氷を直接患部に当てることは避け、冷やし過ぎないようにしてください。
- 2. 赤み
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通常、強い赤みは2週間で治まります。弱い赤みは3ヶ月から1年ほどで徐々に肌の色に馴染んできます。
- 3. 肝斑
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隠れ肝斑(くすみ・シミ)がある場合は、レーザーの刺激で肝斑が出てくることがあります。その場合、レーザートーニングやトラネキサム酸などの肝斑治療が必要になることがあります。
- 4. 凹凸
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イボやホクロの治療では皮膚をレーザーで削りますので、皮膚がくり抜かれた状態になります。治療後の傷は瘢痕組織に置き換わり、凹みは数ヶ月から1年ほどで平らになっていきますが、小さなイボやホクロでも根が深い場合では、深く削らなければならず、凹みの跡が残ってしまうリスクがあります。
また、体質や肌質によって、傷跡が残りやすい方は、少し削っただけで跡になってしまうケースや、傷口が盛り上がりすぎてしまう(ケロイド・肥厚性瘢痕)リスクもあります。 - 5. 麻酔によるアレルギー
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非常に稀ですが、体質によってクリーム麻酔(リドカイン、微量のプロピレングリコール、エタノール、メチルパラベン等含有)・テープ麻酔・局所麻酔で重篤なアレルギー症状(アナフィラキシー:全身性の発疹、皮膚・唇・舌の腫れ、呼吸困難、動悸、血圧低下、意識障害、痙攣など)が起こる可能性があります。症状が起こった場合には、すぐに救急車を呼んでください。
イボ・ホクロ治療の料金– Treatment Costs –
炭酸ガスレーザーによるイボ・ホクロ治療の料金です。
項目 | 料金(税込) |
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診察料 | 初診料 3,850円 再診料 1,650円 |
イボ各種 | 2mm以下 1個 5,500円 2~5mm 1個 8,800円 6~10mm 1個 17,600円 11~15mm 1個 26400円 |
2mm以下 10~20個 55,000円 2mm以下 21~30個 77,000円 2mm以下 31~40個 94,600円 41個以上で1個増加ごとに+1,100円 | |
ホクロ (半年保証あり) | 2mm以下 7,700円 2~5mm 15,400円 |
湿潤療法テープ (ハイドロコロイド) | 実費 |
テープ麻酔 | 1枚 330円 |
局所麻酔注射 | 330円 |
クリーム麻酔 | 顔1面 3,300円 体は面積による |
- 治療後2週間~1ヶ月以内に肌の状態を確認しますので、診察のご予約をお取りください。
- 同じ施術を2回目以降受けられる方でも、治療部位が異なる場合には診察が必要です。
- ホクロは取り残しや再発がある場合、施術後半年に限って無料で再施術を行います。(イボは保証外。麻酔・テープ・診察料は別途必要。)
- レーザー治療は5mmまでのホクロが適応です。それ以上のサイズの治療は行っておりませんのでご了承ください。
イボ・ホクロ治療のよくある質問
- 当日に治療を受けることはできますか?
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原則、診察時に医師から説明をした後、後日施術となります。
- 治療を受けられない場合はありますか?
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当院では、直径5mm以上のホクロ、上まぶたのイボ、ホクロの治療は行っておりません。また、ケロイド体質の方や治療部位に金属やシリコンが入っている場合にも治療を受けることができません。
また、次の方は治療を受けられない場合がございます。
- 日光浴愛好者、日光に当たる職業の方、光過敏症(日光アレルギー)の方
- 妊娠中の方
- てんかん発作のある方
- 金の糸を入れている方
- 照射部位に入れ墨、アートメイク、落ちないファンデーション(BB Glow、CC Glow等)をご使用の方
ご使用中の薬剤や施術によっては期間を空ける必要があるものもありますので、「治療間隔(インターバル)」も併せてご参照ください。
- ダウンタイムはありますか?
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炭酸ガスレーザーで皮膚を削るため、傷になり皮膚が凹みます。傷が治るまで、1~2週間程度ハイドロコロイドパッチを患部に貼っていただきます。
- イボやほくろが再発した場合の保証はありますか?
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ホクロでは、半年間の再発保証期間を設けております。もし再発した場合は、4~6ヶ月以内に診察にいらしてください。再発時は施術料は無料とさせていただきますが、診察料や麻酔代、テープ代は実費としてかかりますのでご了承ください。
イボの場合、再発保証は設けておりません。再発した場合は、4ヶ月以上の期間を空けてご来院ください。1回目の出力と肌の状態を確認して、よりしっかりと取れるように調整いたします。
- 施術後に注意することはありますか?
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綺麗に治すために、ハイドロコロイドパッチという保護テープを1~2週間貼っていただきます。傷口から滲出液が出なくなり、テープが白く膨らまなくなるまではテープで保護していただきます。
レーザー照射後の刺激によって、シミになることがあります(炎症後色素沈着=PIH)。PIHが起こった場合でも、通常は半年ほどで自然に消えていきます。紫外線をできるだけ避け、患部をこすったり触ったりしないようにしてください。