ニキビと美肌のための正しい洗顔

正しい洗顔方法は、肌質によって異なりますが、ここでは、基本的なものを説明します。

洗いすぎの問題

まず、ほとんどの方が顔を「洗いすぎ」ています。毎日最低朝、晩の2回、メイク落としを含めると、3回以上は顔をごしごし洗ってしまっています。

「1日2回洗顔しなさい。」とよく言われますが、この1日2回というのは、夜は1日の終りに汚れを落とし、朝は寝ている間の皮脂などの分泌物を落としてさっぱりするので、理にかなっているようにも思えます。

しかし、ニキビ患者さんの中には、1日に5回も6回も何度も顔を洗い、肌を清潔に保とうと努力している方も沢山いらっしゃいます。これは、皮脂がニキビの原因と思い込んでいること、ニキビ菌の一つである「アクネ菌」を退治すること、ニキビは不潔の象徴だと思っていることなどに起因します。

角質バリアを壊す

ニキビに悩む方は、過度に清潔志向になる方が多く、洗顔料も殺菌作用があるものを使用したり、毎日枕カバーを洗濯したり、消毒したりと大忙しです。

しかし、殺菌剤を含んだ洗浄剤は肌への刺激性が強く、角質のバリアを破壊します。 脱脂力(顔のあぶらを取る力)が強い洗顔料やメイク落としも同様です。

角質は、肌の保湿・水分保持に重要な役割を担っていますので、頻繁に破壊すると、水分保持ができなくなり、乾燥し、それが皮脂の分泌を促して、毛穴を詰まりやすくさせるという悪循環に陥る危険性があります。

肌の常在菌を乱す

人の皮膚には、19の門からなる約1000種類の細菌が同定されています [1]。殺菌作用がある洗顔料を使用することで、肌の常在菌のバランスが崩れるとともに、耐性菌などの問題も生じます。

常在菌である表皮ブドウ球菌が減れば、肌はみずみずしい弱酸性を保てなくなり、アルカリ性に傾きます。アルカリ性の環境下では「黄色ブドウ球菌」が元気になります。黄色ブドウ球菌は、ニキビやアトピーなどの炎症を悪化させてしまう悪玉菌です。弱酸性の環境下ではおとなしくしていますが、表皮ブドウ球菌が減ると勢いよく増殖してしまいます。

くすみや肝斑の原因に

肌への刺激が強い成分を使用したり、洗うという動作で肌を擦ったり、マッサージしたりすることで、肌のくすみや肝斑も生じやすくなります。

洗顔料は本当にニキビを防ぐ?

化粧品の分野では、薬事法上、唯一「ニキビ予防」を宣伝できるものは、洗顔料だけです。洗浄により、ニキビやあせもを予防するという広告が認められています。

長年ニキビに悩む患者さんを診察していますが、ほとんどの方はしっかりと洗顔をしているのにニキビはでき続けますし、ホームレスの方の顔を見ても、日焼けはしているもののニキビがない方は沢山おられます。

洗顔料とニキビのエビデンス

洗顔料は、本当にニキビを予防してくれるのでしょうか?洗浄剤を使用しないと、ニキビが悪化してしまうのでしょうか?

洗顔料がニキビに有益かどうかを調査したシステマティックレビューがあります [2]。671人を対象とした、 洗顔頻度、無添加石鹸やクレンジングバー、抗菌洗浄剤、ピーリング石鹸(AHA、サリチル酸)などを調べた 14の前向き研究の分析では、洗顔を推奨できるような明確なデータは得られなかったと報告されています。

洗顔料がニキビに有用であるという明確なエビデンスはまだなく、さらなる調査が必要であることが示唆されています。

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正しい洗顔とは

当院が推奨する正しい洗顔方法を記載します。

洗顔の頻度

皮脂が多い方

皮脂が多い方でも、洗顔は朝は水かぬるま湯、夜だけ洗顔料での洗顔で十分です。多くても洗顔料を使用した洗顔は、多くても1日2回程度に留めることを推奨しています。

顔のあぶらが多く出すぎて、顔を洗わないと目がしみるという方は、洗顔料は使用せずに水がぬるま湯でその都度洗ってください。

皮脂が少ない方

皮脂が少ない方で普段メイクをされない方であれば、朝晩とも水かぬるま湯でOKです。

メイクをされる女性も、夜だけメイク落としを使用し、朝は水かぬるま湯にしてください。

角質培養という、水洗顔だけをひたすら続ける美容法がありますが、水洗顔だけの場合は、ニキビダニや真菌などが増殖してしまう可能性がありますので、続けていて肌があれてしまうという方は、週に数回程度は洗顔料で皮脂汚れを落とすのが良いでしょう。

洗顔料の種類

肌が弱い方や皮脂が少ない方には、通常の石鹸ではアルカリ性が強く、脱脂力も強いため、
弱酸性で刺激の少ない「アミノ酸石けん」をおすすめします。

一般には、アミノ酸系の石けんは、通常の石けんと比較して、洗浄後の肌の天然保湿因子(NMF)が保たれ、刺激性も低いことが報告されています [3]。

洗顔料を全く使わない水洗顔やぬるま湯洗顔でも構いません。特に肌が荒れているときは、洗顔料を含む界面活性剤系を何も使用しないように指導することもあります。

アミノ酸石鹸で十分に汚れを落とすことができますが、皮脂汚れが気になる方は無添加石鹸を使っても構いません。無添加石鹸はアルカリ性であり、酸性の皮脂汚れを良く落としてくれます。水の中のマグネシウムイオンやカルシウムイオンと結合して「金属石鹸(脂肪酸のマグネシウム塩、カルシウム塩)」へ変化し、界面活性作用がなくなります。

つまり、石鹸はすすぎによって容易に界面活性作用が失われ、残った金属石鹸も、皮膚刺激性や粘膜刺激性はなく、肌が酸性に戻っていく段階で分解されていきますので、比較的安全性が高いと言えます。多くの皮膚科医が無添加の石鹸を推奨しているのはこのためです。

先述したように、当院では肌が弱い方へは石鹸を推奨はしておらず、アミノ酸石鹸をお勧めしておりますが、普通肌の方、脂性肌の方、肌トラブルがない方が石鹸を使用するのは問題がないことを説明しています。

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クレンジングの種類

ニキビ向けのクレンジングは、 オイルフリーのタイプが良いと考えられていますので、ニキビができやすい方は、ジェルクレンジングやウォーターベースのクレンジングが良いでしょう。

ただ、クレンジングは洗い流すものですので、オイルクレンジングを使用したとしても、すすぎでしっかり落ちるような成分設計がされていれば、ニキビに悪影響は与えません。

また、落ちにくいクレンジングを使用していると、肌を擦る時間が多くなり、それだけ肌のバリアを壊し、ニキビの原因になる可能性があります(4)。そのような場合は、メイクと馴染みが良いオイルクレンジングでさっと落としてしまうほうが肌には良いので、使用してみて肌に合ったものを探してみてください。

洗顔方法

メイクをされる方は、メイクを落としてから、洗顔します(W洗顔不要のクレンジングを使用している方は不要です)。

洗顔料を使用する場合は泡で優しく包み込むように洗い、ゴシゴシこすらないようにしましょう。前述したように、肌への刺激はくすみや肝斑のリスクになります。また、洗浄成分が肌に残らないようにすすぎは丁寧に、最低でも10回以上は行ってください。

福山雅治さんやタモリさんは、年齢から考えると非常に肌がきれいです。入浴してもシャンプーやせっけんを殆ど使わないそうですが、「洗いすぎない」という観点から正しいスキンケアを実践しています。

執筆:肌のクリニック 皮膚科医 岩橋 陽介

参考文献・サイト

  1. Elizabeth A. Grice, Heidi H. Kong, (2009). “Topographical and Temporal Diversity of the Human Skin Microbiome.” Science. 324 (5931): 1190-1192. doi:10.1126/science.1171700. PMC 2805064. PMID 19478181
  2. Stringer T, Nagler A, (2018). “Clinical evidence for washing and cleansers in acne vulgaris: a systematic review.” J Dermatolog Treat. 2018 Nov;29(7):688-693. doi: 10.1080/09546634.2018.1442552. Epub 2018 Feb 25. DOI: 10.1080/09546634.2018.1442552 PMID: 29460655
  3. 押村英子 (2012). “ヒトと地球にやさしく洗う-低刺激・天然系洗浄用界面活性剤の開発と応用-“ J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn. 46(3): 183-187.
  4. Washing away at acne.” Br Med J. 1976 Oct 9; 2(6040): 834–835. PMID: 136284

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