ボツリヌストキシンによる花粉症治療
ボツリヌストキシン製剤(コアトックス)を鼻に点鼻することで、鼻粘膜にある知覚神経から出るアセチルコリンをブロックして、鼻汁症状(鼻水)を改善します2。
鼻水が全く無くなるわけではありませんが、鼻水症状の改善に伴い、鼻閉(鼻詰まり)、くしゃみ、目のかゆみも多少軽減します1 4。
治療の流れ
診察・点鼻・治療後
鼻水や鼻糞をしっかりと取り除きます。ボトックスの浸透をよくするために重要な作業です。
その際に、鼻の粘膜に満遍なく行きわたるよう、鼻をつまみながら行います。
喉に流れてきた薬剤は、ティッシュに吐き出しますが、飲み込んでも問題ありません。
2週間~4週間持続します。花粉症が辛い時期に合わせ、2~4週間毎に、1シーズンで3~5回程度の治療をおすすめします。
副作用
痛みはなく、鼻がツンとすることもありません。また、抗アレルギー剤のように眠気が起こることもありません。
理論上は、一過性に嗅覚に影響を与える可能性は否定できませんが、実際の臨床では嗅覚に異常をきたすことは稀です。アレルギーなどの副作用については、「ボトックス・コアトックスの副作用」のページをご参照ください。
ご予約方法
ボトックス・コアトックス治療のご予約はお電話のみとなりますので、各医院までお電話ください。
花粉症治療の料金
項目 | 料金(税込) |
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診察料 | 初診料 3,850円 再診料 1,650円 |
花粉症 | 16単位 14,850円 24単位 19,800円 |
- 花粉症の点鼻には毎回診察料がかかります。
花粉症治療についての質問
ボトックス注射の一般的なご質問、製剤についてのご質問、注射後のご質問については、「ボトックス・コアトックス注射のよくある質問」をご参照ください。

- 効果はどれくらいで現れますか?
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花粉症に対するボトックス注射の場合、効果は数時間後から現れはじめます。
- 治療間隔はどれくらいですか?
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効果の持続は2~3週間です。花粉症が辛い時期に合わせ、2~3週間毎の治療をおすすめします。
- 効果が不十分な場合、無料で追加注入をしてもらえますか?
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いいえ。花粉症によるボトックス治療では、無料の追加注入は行っておらず、毎回費用が発生しますのでご了承ください。
- 嗅覚に影響はありますか?
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理論上は、嗅覚にもアセチルコリンが関与しているため、影響はゼロとは言えませんが、実際の臨床では、ほとんど影響はありません。
むしろ、鼻炎へのボツリヌストキシンの治療で、鼻炎の諸症状が緩和して、嗅覚が改善することも報告されています3。
参考文献・サイト一覧
- S Rohrbach et al., “Minimally invasive application of botulinum toxin type A in nasal hypersecretion” ORL J Otorhinolaryngol Relat Spec. Nov-Dec 2001;63(6):382-4. doi: 10.1159/000055778. PMID: 11713429
- Cengiz Ozcan et al., “Botulinum Toxin for Rhinitis” Curr Allergy Asthma Rep. 2016 Aug;16(8):58. doi: 10.1007/s11882-016-0636-3. PMID: 27461136
- Patorn Piromchai et al., “The minimum effective dose of abobotulinum toxin A injection for allergic rhinitis: A dose-escalation randomized controlled trial” Laryngoscope Investig Otolaryngol. 2020 Dec 8;6(1):6-12. doi: 10.1002/lio2.499. eCollection 2021 Feb.
- Saskia Rohrbach et al., “Minimally invasive application of botulinum toxin A in patients with idiopathic rhinitis” Head Face Med. 2009 Oct 16;5:18. doi: 10.1186/1746-160X-5-18.
- Murat Unal et al., “Effect of botulinum toxin type A on nasal symptoms in patients with allergic rhinitis: a double-blind, placebo-controlled clinical trial” Acta Otolaryngol. 2003 Dec;123(9):1060-3. doi:10.1080/00016480310000755. PMID: 14710908