肩こりのためのボツリヌストキシン注射
首と肩の周りには様々な筋肉があり、重い頭や腕を支えるために常に緊張しています。筋肉は緊張が続くと疲れて硬くなります。それが血管を圧迫して血液の流れを悪化させたり、末梢神経を傷つけたりして、肩の凝りや痛みを引き起こします。
ボツリヌストキシンを肩の筋肉に注射することで、凝り固まった筋肉が緩み、柔らかくなります。凝りが改善することで血行が良くなり、疲労物質がたまるのを防ぎ、つらい肩こりや痛みを緩和します。
また、僧帽筋の緊張が和らぐことで、肩から首に美しいラインを作り出します。
こんな方にオススメ
- 肩の筋肉が張り、肩こりや肩の痛みに悩んでいる方
- スリムな肩のラインを手に入れたい方
治療の流れ
使用する製剤や注射針については「ボツリヌストキシン治療」のページをご覧ください。
触診して凝りの位置や深さを確認し、首から肩に付いている僧帽筋にコアトックス(ボツリヌストキシン)を20箇所程度注射します。
注射部位、深さ、単位数などの情報は全てカルテに写真と一緒に記録されますので、2回目以降も安心して治療を受けることができます。
※肩甲挙筋や棘下筋などにも強いコリが起こっていることがありますが、注射で腕が上がりにくくなる等あるため、初回は僧帽筋の治療に留めます。
筋肉に針を刺すため、鈍痛が2週間程度続くことがあります。だるさ、力が入りにくいなどの症状が生じることがございますが、2~3週間程度で改善します。
- ▢ 美肩目的の場合
-
1ヶ月後に注射した僧帽筋エリアの筋肉が小さくなります。1回の注射では効果が不十分なため、筋肉量が回復する6ヶ月毎を目安に再度注射を行います。
- ▢ 肩こり・肩痛の場合
-
3~4ヶ月毎に注射を行いますが、筋肉が柔らかくなっているうちに、ストレッチなどの運動を取り入れると戻りにくくなります。2回目以降は、凝りが気になった時にだけ注射を受けても構いません。
副作用
副作用については、「ボツリヌストキシン注射の副作用」をご参照ください。
肩こり(肩やせ)治療の料金
当院ではボツリヌストキシン製剤として「コアトックス」を使用しています。
項目 | 料金(税込) |
---|---|
診察料 | 初診料 3,850円 再診料 1,650円 |
肩こり (肩やせ) | 50単位 29,700円 100単位 44,000円 150単位 58,300円 |
- 注射には毎回診察が必要であり、診察料が別途かかりますのでご了承ください。
肩こり(肩やせ)治療のよくある質問
- 痛みはありますか?
-
硬くなった筋肉に注射する際に鈍痛が生じますが、極細針を使用するため、麻酔が必要なほどの痛みは生じません。
- ボトックスビスタとコアトックスのどちらがおすすめですか?
-
当院では、コアトックスを推奨しています。コアトックスは国内未承認ですが、動物由来原料や人血清アルブミン不使用で、複合タンパクも取り除かれているため、耐性(抗体)ができにくいとされています。
ボツリヌス毒素製剤の違いについては、「ボトックスの種類と比較」をご覧ください。
ボトックスの種類と比較 美容皮膚科で扱われているボトックス注射にはいろいろ種類があります。 どれを選べばいい? どのボトックス注射がお勧め? 違いはあるの? 今回の記事では、そんな疑問… - 何単位打つのがおすすめですか?
-
通常は両肩で100単位をおすすめしています。
小柄で筋肉量が少ない方は50単位、筋肉量が多い方は150単位を選択します。
- どのくらいで効果が実感できますか?
-
早ければ数日、遅くても2週間後から肩が軽くなっていきます。最初の2週間は、注射の影響で筋肉痛が気になるかもしれません。
- 注射の後、肩がだるいです
-
針による影響で、一時的に肩の痛みやだるさが出る場合がございます。通常2~3週間で改善していきます。
- 首の凝りにも注射できますか?
-
首から肩にかけては、頸板状筋・頭板状筋などの筋肉が走行しています。ボツリヌストキシン注射を行うと筋肉が弛緩しすぎてしまい、首を支える筋肉に影響を及ぼすため治療できない場合がございます。
- 力が入りにくくなることはありますか?
-
ボツリヌストキシン注射をした部位は、筋肉が弛むため力を入れにくくなります。日常的な軽作業に支障をきたすことはありませんが、重いものを持ち上げる時などに影響する可能性があります。
- 注射後にマッサージや運動をしても良いですか?
-
強く揉んだり、激しい運動でなければ制限はありません。
ボツリヌストキシン注射の影響で筋肉はリラックスしており、肩のマッサージやストレッチを行うことでより肩こりが改善する場合があります。
参考文献・サイト一覧
- Nicol AL, Wu II, Ferrante FM. Botulinum toxin type a injections for cervical and shoulder girdle myofascial pain using an enriched protocol design. Anesth Analg. 2014 Jun;118(6):1326-35. doi: 10.1213/ANE.0000000000000192. PMID: 24842179; PMCID: PMC4030686.
- Sáenz A, Avellanet M, Garreta R. Use of botulinum toxin type A on orthopedics: a case report. Arch Phys Med Rehabil. 2003 Jul;84(7):1085-6. doi: 10.1016/s0003-9993(03)00044-3. PMID: 12881840.
- Hsu PC, Wu WT, Han DS, Chang KV. Comparative Effectiveness of Botulinum Toxin Injection for Chronic Shoulder Pain: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Toxins (Basel). 2020 Apr 12;12(4):251. doi: 10.3390/toxins12040251. PMID: 32290577; PMCID: PMC7232231.
- Zhou JY, Wang D. An update on botulinum toxin A injections of trigger points for myofascial pain. Curr Pain Headache Rep. 2014 Jan;18(1):386. doi: 10.1007/s11916-013-0386-z. PMID: 24338700.
- Benecke R, Heinze A, Reichel G, Hefter H, Göbel H; Dysport myofascial pain study group. Botulinum type A toxin complex for the relief of upper back myofascial pain syndrome: how do fixed-location injections compare with trigger point-focused injections? Pain Med. 2011 Nov;12(11):1607-14. doi: 10.1111/j.1526-4637.2011.01163.x. Epub 2011 Jun 21. PMID: 21692970.
- Ferrante FM, Bearn L, Rothrock R, King L. Evidence against trigger point injection technique for the treatment of cervicothoracic myofascial pain with botulinum toxin type A. Anesthesiology. 2005 Aug;103(2):377-83. doi: 10.1097/00000542-200508000-00021. PMID: 16052120.
- Kim DY, Kim JM. Safety and Efficacy of PrabotulinumtoxinA (Nabota®) Injection for Cervical and Shoulder Girdle Myofascial Pain Syndrome: A Pilot Study. Toxins (Basel). 2018 Sep 3;10(9):355. doi: 10.3390/toxins10090355. PMID: 30177597; PMCID: PMC6162536.