トレチノインは肌のターンオーバーを促進し、新しい細胞が生まれるのを促進します。結果として、メラニン色素を持った細胞が上へ押し上げられ、約1~2ヶ月で、表皮深層のメラニン色素を外に排出させます。
皮脂抑制作用や抗炎症作用からニキビ治療薬として、真皮のコラーゲン増生作用から毛穴や小じわの改善薬としても効果を発揮します。
トレチノイン 0.05% 2,178円 / 0.1% 2,728円(税込) |
内容量 / 5g |
使用期限 / 要冷蔵 処方日より2ヶ月 ※冷蔵庫保存でお早めにお使いください。 |
ハイドロキノンは、シミの原因であるメラニン色素の産生を抑えると伴に、メラニン色素を作る細胞を減少させます。美白剤として60年以上使用されています。
酸化しやすいため、当院では4%濃度の安定型ハイドロキノンを処方しています。開封後でも冷蔵保存で6ヶ月間安定です。
安定型ハイドロキノン 4% 3,278円(税込) |
内容量 / 10g |
使用期限 / 要冷蔵 開封後より6ヶ月 ※未開封時は15℃以下の冷暗所保存。開封後は冷蔵庫保存でお早めにお使いください。 |
トレチノイン・ハイドロキノン療法
トレチノイン・ハイドロキノン療法とは、高濃度ビタミンCローション、トレチノイン、ハイドロキノンを併用したシミ・色素沈着の治療です。3つの外用を組み合わせることで、新しい白い肌に置き換えていきます。
治療薬 | 特徴 |
---|---|
VCエチルローション | 高濃度ビタミンC誘導体ローションでお肌全体のメラミンを抑えます。 |
トレチノイン | ターンオーバー促進作用と細胞新生作用でシミを排出します。 |
ハイドロキノン | 局所のメラニン産生を抑制、メラノサイトを減少させます。 |
治療期間
治療期間は1日2回、1クール=2ヶ月です。効果が不十分な場合、クールの間を1ヶ月以上空け、2~3クールの治療を行います。
外用の仕方
洗顔後、「VCエチルローション」(プレ化粧水)をお顔全体に塗ります。その後、「EGホワイトローション」、「EGホワイトクリーム」などの高保湿の化粧水やクリームでスキンケアを行います。保湿をしっかり行うことで赤みやかゆみが起こりにくくなります。
シミや毛穴などの患部に、トレチノインを少量薄く塗ります。3分ほどおいて馴染ませた後、シミの部分より一回り大きめに、ハイドロキノンを重ね塗りします。その後、乾かしてください。
日中は、SPF30以上の日焼け止めやUVカット下地を塗ります。こすらず、重ねるようにして塗ってください。その後、メイクしていただいて構いません。紫外線予防には、ノンケミカルでSPF50+の「メイクアップUVベース」をおすすめしています。
濃いシミにはトレチノイン・ハイドロキノン療法の効果は高くありません。レーザーによるシミ治療をおすすめします。
ご使用にあたっての注意事項
- 始めの2週間は皮が剥け、赤みやかゆみが出てくるので一番辛い時期になります。その後は肌が徐々に慣れていきます。刺激や赤みが強い場合は1日1回から開始してください。全く刺激を感じない場合は、トレチノインの濃度を上げる必要がありますので、医師にご相談ください。
- 強い赤みや刺激、かぶれがある場合は、必ず医師の診察を受けてください。
- 最初はシミが濃くなったように感じることがありますが、徐々にシミの輪郭がぼやけて薄くなってきます。
- 目の周囲、傷、かぶれがある部位へお使いになれません。口唇や乳輪周りは原則避けて頂きますが、医師の許可がある場合はご使用になれます。
- 非常に稀ですが、ハイドロキノンによる白斑が報告されています。また、長期使用や高濃度ハイドロキノンによる、使用後の炎症後色素沈着も報告されています。連続してのご使用は、2~3ヶ月以内とし、必ず1~2ヶ月のインターバルを設け、お肌に異常があれば医師の診察を受けてください。
- 非常に稀ですが、体質によってアナフィラキシー等の重篤なアレルギー症状が起こる可能性があります。
- トレチノイン、ハイドロキノンは妊娠中、授乳中、妊活中はお使いになれません。念のため、妊活の1ヶ月前からご使用をお控えください。
- 治療中は、紫外線対策を念入りにしてください。
- レーザー治療をされる方は2週間前に使用を中止してください。間隔が空いていない場合はレーザーを当てられない可能性がございます。
- 子供やペットの手の届かない場所に保管してください。ご使用後は手をよく洗ってください。
参考文献・サイト一覧
- Jimbow K, Obata H, Pathak MA, Fitzpatrick TB. Mechanism of depigmentation by hydroquinone. J Invest Dermatol. 1974 Apr;62(4):436-49. doi: 10.1111/1523-1747.ep12701679. PMID: 4206837.
- Searle T, Al-Niaimi F, Ali FR. Hydroquinone: myths and reality. Clin Exp Dermatol. 2021 Jun;46(4):636-640. doi: 10.1111/ced.14480. Epub 2020 Nov 7. PMID: 33159818.
- Charlín R, Barcaui CB, Kac BK, Soares DB, Rabello-Fonseca R, Azulay-Abulafia L. Hydroquinone-induced exogenous ochronosis: a report of four cases and usefulness of dermoscopy. Int J Dermatol. 2008 Jan;47(1):19-23. doi: 10.1111/j.1365-4632.2007.03351.x. PMID: 18173595.
- Nordlund JJ, Grimes PE, Ortonne JP. The safety of hydroquinone. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2006 Aug;20(7):781-7. doi: 10.1111/j.1468-3083.2006.01670.x. PMID: 16898897.
- Chandra M, Levitt J, Pensabene CA. Hydroquinone therapy for post-inflammatory hyperpigmentation secondary to acne: not just prescribable by dermatologists. Acta Derm Venereol. 2012 May;92(3):232-5. doi: 10.2340/00015555-1225. PMID: 22002814.
- Ascenso A, Ribeiro H, Marques HC, Oliveira H, Santos C, Simões S. Is tretinoin still a key agent for photoaging management? Mini Rev Med Chem. 2014;14(8):629-41. doi: 10.2174/1389557514666140820102735. PMID: 25141855.
- McKesey J, Tovar-Garza A, Pandya AG. Melasma Treatment: An Evidence-Based Review. Am J Clin Dermatol. 2020 Apr;21(2):173-225. doi: 10.1007/s40257-019-00488-w. PMID: 31802394.
- Sehgal VN, Verma P, Srivastava G, Aggarwal AK, Verma S. Melasma: treatment strategy. J Cosmet Laser Ther. 2011 Dec;13(6):265-79. doi: 10.3109/14764172.2011.630088. PMID: 21981383.