硬毛化の治療と予防（ダブルパス法を中心に）

皆さんは、脱毛後に毛が以前よりも濃く、太くなる「硬毛化」という現象をご存知でしょうか？これは、光やレーザー脱毛が原因で起こることがあります。硬毛化現象の「原因」「発生頻度」「硬毛化になりやすい人」「治し方」などについては、下記の記事をまずご参照ください。

硬毛化治療Treatment for Paradoxical Hypertrichosis

今回は、硬毛化の治療方法、とりわけ「ダブルパス法」について、私たちのクリニックでの経験をもとに詳しくご紹介します。

ダブルパス法

ダブルパス法とは、レーザー脱毛において、同じ箇所にレーザーを2回照射する方法です。まず1回目の照射を行い、その後出力を調整して2回目の照射をします。この方法は、硬く太い毛が生える「硬毛化」を「予防」するための照射方法として報告されています。

肌のクリニックでは、このダブルパス法をすでに硬毛化が起きてしまった場合の治療として使用できるか検証しました。

硬毛化がある患者さん11名を対象に、1ヶ月間隔で5回ダブルパス法でレーザー脱毛を行い、施術前と5回施術後2ヶ月経過した時点の写真を比較して効果を判定しました。

被験者	硬毛化部位	効果
A	耳下・頬	一部改善
B	顔・顎下・首・胸	一部改善
C	上腕・背中上部	改善
D	上腕・背中・うなじ	改善
E	上腕・背中	改善なし
F	上腕・肩・うなじ・背中	改善なし
G	腰	改善なし
H	上腕・フェイスライン・顎下	改善なし
I	上腕・乳輪・腹部	一部改善
J	上腕・肘・背中・肩	改善
K	上～前腕	改善

硬毛化の改善率は63%でした。ただし、改善例の中には軽度改善や一部だけの改善も含まれます。

有効例（改善あり）

無効例（改善なし）

モニターの方以外にも、多数の患者さんの硬毛化治療をダブルパス法で行っておりますが、改善率は5割程度で、全く効果が出ない方も半数程度います。

また、5回で完全に毛が無くなるわけではないため、継続的な治療が必要なことや、毛が少なくなった時点で針脱毛を併用する必要があります。

他の方法と比べて、ダブルパス法は硬毛化に一定の効果が期待できるため、特に広範囲に硬毛化が見られる場合は考慮にいれるべき施術方法です。

ダブルパス法の料金
ダブルパス法は施術時間が2倍かかるため、1部位あたり5,500円の追加費用をいただいています。（時間脱毛は追加費用なし）
範囲については「部位と範囲」のページをご覧ください。

硬毛化の予防

エステや医療脱毛後に硬毛化を経験される方が、私たちのクリニックに毎月数多く来院されます。その気になる「硬毛化」ですが、以前に解説したように、研究報告よりもずっと多い可能性があります。

硬毛化は決して珍しいことではなく、私たちの身近な問題として対策する必要があります。

産毛はそのままで

硬毛化を防ぐためには、気になる部位以外は脱毛しないことが大切です。「うぶ毛を脱毛したら毛が太くなってしまった」という声をよく耳にします。

一度硬毛化してしまうと、治すのに相当の時間と労力が必要です。背中や上腕など、特に硬毛化が起こりやすい部位は、脱毛の必要性をよく考えましょう。

ダブルパスとインターバル

硬毛化予防には、ダブルパス法が効果的です。この方法では、硬毛化しやすい部位を「硬毛化する前」から2回照射で脱毛します。

また、硬毛化の予防には、脱毛のインターバルは短い方が良いとされています（1ヶ月に1回）。

ミノキシジルと硬毛化

薄毛治療でミノキシジルを使用している方は、硬毛化しやすい傾向があります。減薬や外用薬への変更も一つの手ですが、薄毛治療薬は対症療法であるため、変更すると薄毛が進行する可能性があります。かかりつけ医と相談の上で決定してください。

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