オゼンピックとサクセンダのダイエット効果の比較

目次

セマグルチドとリラグルチド– Semaglutide vs Liraglutide –

オゼンピックの成分「セマグルチド」とサクセンダの成分「リラグルチド」は、両方とも海外でダイエット治療薬(抗肥満薬)として認可され、処方されています。

今回の記事では、セマグルチドとリラグルチドの体重減少効果と副作用の比較、使用方法と使用量の違い、価格面でオゼンピックとサクセンダがどちらが良いかも解説しています。

GLP-1注射薬の種類

セマグルチドリラグルチド
オゼンピック
ウェゴビー
サクセンダ
ビクトーザ

海外では、ウェゴビー(Wegovy)とサクセンダ(Saxenda)は肥満治療薬、オゼンピックとビクトーザは糖尿病薬として処方されています。内容量・パッケージと使用方法が若干異なるだけで、ウェゴビーとオゼンピック、サクセンダとビクトーザは同一成分の薬です。

ダイエット効果の違い

オゼンピック(セマグルチド)とサクセンダ(リラグルチド)は、どちらがダイエット効果がより高いのでしょうか?

セマグルチドとリラグルチドの体重減少率
セマグルチド 週に1回 2.4mg 注射
-15.8%
リラグルチド 毎日1回 3.0mg 注射
-6.4%

糖尿病のない肥満者338名(平均体重104.5kg、平均BMI値37.5)を対象に、セマグルチド(2.4mg)を週に1回注射と、リラグルチド(3.0mg)を毎日1回注射を比較した試験では、68週間後の平均体重変化率は、セマグルチドで-15.8%、リラグルチドで-6.4%でした。

肥満患者に最大用量まで使用した場合、セマグルチドのほうがリラグルチドよりも約2.4倍も体重減少効果が大きいことが報告されています。

5%以上の減量を達成した患者の割合
セマグルチド 週に1回 2.4mg 注射
87.2%
リラグルチド 毎日1回 3.0mg 注射
58.1%

5%以上の減量を達成した患者の割合は、セマグルチドで87.2%、リラグルチドで58.1%、10%以上の減量を達成した割合は、セマグルチドで70.9%、リラグルチドで25.6%でした。

ダイエット効果はオゼンピックのほうがサクセンダより大きくなります。

オゼンピックは週に1回、サクセンダは毎日

オゼンピックもサクセンダも注射薬であり、お腹などの皮下脂肪が厚い部分に注射するのは同じです。オゼンピックは週に1回、サクセンダは毎日1回の注射です。どちらも最初は少量から徐々に漸増させていきます。

週に1回のオゼンピックのほうが簡便で治療を継続しやすく、実際の比較試験でも、中止率はセマグルチドで13.5%に対し、リラグルチドで27.6%であり、セマグルチドのほうが途中で中断する患者が少ないことを示しています。

ただ、オゼンピックは持続時間が長くなるため、用量の変更が容易にできないというデメリットがあります。

副作用の比較

副作用プラセボセマグルチドリラグルチド
重篤な有害事象7.1%7.9%11.0%
胆石症1.2%0.8%1.6%
低血糖症0%0%0.8%

肥満患者に対する68週の比較試験での重篤な有害事象は、プラセボ7.1% (n = 6)に対し、セマグルチド7.9% (n = 10)、リラグルチド11.0% (n = 14)でした。

胆石症の発生率は、プラセボで1.2% (n = 1)に対し、セマグルチドで0.8% (n = 1)、リラグルチドで1.6% (n = 2)、低血糖症の発生は、プラセボで0%に対し、セマグルチドで0%、リラグルチドで0.8% (n = 1)と報告されています。

全体的にセマグルチドのほうがリラグルチドよりも有害事象の発生率が少なく、プラセボと大きく変わらない結果となっています。

価格の比較

セマグルチドとリラグルチドをダイエット目的で使う場合、どちらも5段階の用量がありますが、最大用量まで使用せずに痩せていく方も多いため、ここでは中用量(真ん中の用量)のセマグルチド1.0mgとリラグルチド1.8mgの毎月の使用本数と料金を比較しています。オゼンピックは週に1回の注射のため、針代なども安く済みます。

薬剤使用本数 / 月料金 / 月
オゼンピック2本46,200円
サクセンダ3本65,340円
  • オゼンピック 1本2.0mg入り 23,100円 / サクセンダ 1本18mg入り 21,780円
  • オゼンピックは28日分、サクセンダは30日分になります。
  • その他、診察料・採血検査料・針代などがかかります。
  • Wegovyの最大用量は2.4mgですが、オゼンピックは目盛りが0.25~0.5mg刻みのため、最大用量が異なります。
参考文献・サイト一覧
  1. novo nordisk “Wegovy semaglutide injection 2.4mg” https://www.wegovy.com/
  2. オゼンピック皮下注2mg 添付文書 https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499418G4027_1_01/ 最終アクセス 2022.12.02
  3. Rubino DM, Greenway FL, Khalid U, O’Neil PM, Rosenstock J, Sørrig R, Wadden TA, Wizert A, Garvey WT; STEP 8 Investigators. Effect of Weekly Subcutaneous Semaglutide vs Daily Liraglutide on Body Weight in Adults With Overweight or Obesity Without Diabetes: The STEP 8 Randomized Clinical Trial. JAMA. 2022 Jan 11;327(2):138-150. doi: 10.1001/jama.2021.23619. PMID: 35015037; PMCID: PMC8753508.
  4. Wharton S, Calanna S, Davies M, Dicker D, Goldman B, Lingvay I, Mosenzon O, Rubino DM, Thomsen M, Wadden TA, Pedersen SD. Gastrointestinal tolerability of once-weekly semaglutide 2.4 mg in adults with overweight or obesity, and the relationship between gastrointestinal adverse events and weight loss. Diabetes Obes Metab. 2022 Jan;24(1):94-105. doi: 10.1111/dom.14551. Epub 2021 Oct 4. PMID: 34514682; PMCID: PMC9293236.
  5. Novo Nordisk Inc. “Saxenda liraglutide injection 3mg” https://www.saxenda.com/
  6. Pi-Sunyer X, (2015) “A Randomized, Controlled Trial of 3.0 mg of Liraglutide in Weight Management.” N Engl J Med. 2015 Jul 2;373(1):11-22. doi: 10.1056/NEJMoa1411892. PMID: 26132939
  7. Madsbad S. (2015) “Review of head-to-head comparisons of glucagon-like peptide-1 receptor agonists.” Diabetes Obes Metab. 2016 Apr;18(4):317-32. doi: 10.1111/dom.12596. Epub 2015 Dec 29. PMID: 26511102
  8. Marso SP, (2016) “Liraglutide and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes.” N Engl J Med. 2016 Jul 28;375(4):311-22. doi: 10.1056/NEJMoa1603827. Epub 2016 Jun 13. PMID: 27295427
  9. Nana Li, (2016) “Liraglutide ameliorates palmitate-induced endothelial dysfunction through activating AMPK and reversing leptin resistance” Biochem Biophys Res Commun. 2016 Sep 9;478(1):46-52. doi: 10.1016/j.bbrc.2016.07.095. PMID: 27457805
  10. Tom Lamb. “Drug Injury Watch” posted on January 30th, 2018 https://www.drug-injury.com/druginjurycom/2018/01/saxenda-pancreatic-cancer-risks-liraglutide-side-effects-victoza-pancreas-malignancy-incretin-mimetics-drug-class.html
  11. Donnie Funch, (2018) “Is there an association between liraglutide use and female breast cancer in a real-world setting?” Diabetes Metab Syndr Obes. 2018; 11: 791–806. doi: 10.2147/DMSO.S171503 PMID: 30538516

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