スネコスとは
スネコスは、架橋されていないヒアルロン酸と6種類のアミノ酸(グリシン、L-プロリン、L-リジン、L-アラニン、 L-バリン、 L-ロイシン)を配合した注射剤です。自己のコラーゲンならびにエラスチンの生成を刺激して、細胞外マトリックスを増加させることで、真皮のハリを改善させます。
スネコスには、低分子ヒアルロン酸の「スネコス200」と中分子ヒアルロン酸の「スネコス1200」の2種類の製剤があります。
種類 | スネコス200 | スネコス1200 |
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特徴 | 低分子のヒアルロン酸+6種アミノ酸 | 中分子のヒアルロン酸+6種アミノ酸 |
適応 | 額、まぶた、目の下、目尻、頬、首、胸、手の甲、目の下のクマ、ニキビ跡 | ほうれい線、ゴルゴライン、頬、顎、マリオネットライン、手の甲、ニキビ跡 |
保険適用外の治療であり、未承認医薬品のため、「医薬品副作用被害救済制度」の対象外です。
スネコスの効果
細かいしわ・ハリ・目の下のクマの改善
注入後、コラーゲンとエラスチンの増生が促されます。1週間後から少しずつ効果が出始め、6ヶ月経過後も効果が持続します。真皮のハリや厚みが増すことで、目の下のクマを目立ちにくくする効果も期待できます。ちりめんジワなどの浅いシワに有効です。中等度以上の深いシワに対しては、顕著な改善はないため、「ヒアルロン酸注射(ベロテロ)」をおすすめします。
ニキビ跡
ニキビ跡の凹みは、真皮組織の減少(ハリの喪失)でより目立つようになります。スネコスを炭酸ガスレーザーやダーマペンと併用することで、コラーゲンとエラスチンの増生が促され、真皮のハリが増すことで、ニキビ跡の凹みを目立たなくさせる効果が期待できます。
治療回数と用量
- 回数
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1~2週間毎に4~8回注入します。その後は6ヶ月毎に4回の注射をおすすめします。
- 用量
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1~2アンプル(約3~6cc)を気になる部位に注入します。スネコス1200とスネコス200を同日に注入するとより効果的です。
- 他の治療との併用
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CO2レーザーやダーマペンと併用する場合は前後2週間空けます。治療スケジュールは医師にご相談ください。
例)エコツー2回→スネコス2回→エコツー2回→スネコス2回
スネコスのメリット・デメリット
スネコスのメリットは、なんと言ってもその安全性とナチュラルな仕上がりです。架橋剤が入っていないため、異物性肉芽腫などのアレルギー報告がありません。また、ヒアルロン酸のように入れすぎて、不自然に膨らむということもがありません。まぶたや目の下など、皮膚の薄い部分に注入しても、凹凸になることがなく、チンダル現象※が起こることもありません。
スネコスのデメリットは、皮膚に残らないため、すぐにシワが改善するような即効性が期待できないことです。ボリュームアップ効果が弱いため、顕著な変化は得られません。
チンダル現象
ヒアルロン酸を目の下等の浅い皮膚に入れると、青く透けて見え、クマが目立つようになる現象です。浅層のヒアルロン酸は吸収されずに一部残ってしまうことがあり、水分を溜め込むと、チンダル現象やむくみの原因となります。
スネコス注射に使用する針
スネコス200の注射では、標準で最も細い34G(直径0.18mm)のマイクロ注射針を用いています。可能な限り細い針を使用することで、痛みや内出血の頻度を抑えています。(スネコス1200には30Gの注射針を使用しています。)
治療を受けることができない方
- 妊娠中、授乳中の方
- 注射部位の皮膚に異常がある方
スネコスの副作用
- 1. 注射部位の赤み、腫れ、痛み、熱感
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通常、数時間~1日で改善します。目まわりの施術では、注射後にかなり腫れますが、数時間から1日で改善していきます。
- 2. 内出血
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皮膚に分布する毛細血管を刺してしまった場合に起こります。施術の上手下手よりも、確率的なものですのでご了承ください。特に目まわりは内出血が起こりやすい部位であり、消えるまでに1~2週間ほどかかります。
- 3. アナフィラキシーショック
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過去にスネコスによる重度のアレルギー症状(全身性の発疹、皮膚・唇・舌の腫れ、呼吸困難、動悸、血圧低下、意識障害、痙攣)は報告されていませんが、理論上はどのような薬剤にもリスクがあります。
- 4. 麻酔によるアレルギー
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非常にまれですが、テープ麻酔やクリーム麻酔の成分・添加剤による重度のアレルギー症状(全身性の発疹、皮膚・唇・舌の腫れ、呼吸困難、動悸、血圧低下、意識障害、痙攣)が起こる可能性があります。
注射後の注意点
- 注射後2日間は、注射部位を擦ったり、揉んだり、押したりしないようにしてください。
- 当日のメイク、入浴、サウナ、飲酒、運動はお控えください。軽い洗顔やシャワーは当日から可能です。
スネコスの料金– Treatment Costs –
項目 | 料金(税込) |
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診察料 | 初診料 3,850円 再診料 1,650円 |
スネコス200 | 1本(3cc)33,000円 |
スネコス1200 | 1本(3cc)55,000円 |
麻酔料 | テープ麻酔 1枚 330円 クリーム麻酔顔 3,300円 クリーム麻酔一部 1,650円 |
- 初回注入には診察が必要です。2回目以降、診察をご希望されない方は施術料のみとなります。
- 1本3ccですが、調剤時にロスが出るため、実際の注入量は2.5~2.7ccです。
- クリーム麻酔一部の料金は、目まわりなど、狭い範囲の施術に適応となります。
スネコス+コアトックス注射
非架橋ヒアルロン酸の「スネコス200」とコアトックスを組み合わせた注射です。スネコスのコラーゲン産生刺激作用が加わり、首などの細かいシワや肌のテクスチャー改善により効果的です。
料金等くわしくは下記のページをご覧ください。
スネコス注射のよくある質問
効果やに関する質問
- スネコス200とスネコス1200はどちらを選択すれば良いでしょうか?
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基本的にはスネコス200を用います。ほうれい線や手背などの深いシワの場合、スネコス1200とスネコス200を同日に注射する「クッションテクニック」と呼ばれる方法を用います。
- スネコス注射とヒアルロン酸注射は異なりますか?
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スネコスは非架橋のヒアルロン酸とアミノ酸製剤であり、自己の細胞外マトリックス(Extracellular matrix、ECM)、つまり、コラーゲン、エラスチンの産生を刺激する注射で、「ECM製剤」と呼ばれています。スネコスは、注入部位に留まらず、速やかに代謝・吸収されていきます。
シワ治療などで使用するヒアルロン酸は、架橋型のヒアルロン酸です。その部位に留まり、シワの溝を物理的に埋める「フィラー製剤」の一つです。
- スネコスの効果はどれくらい持続しますか?
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注入直後の腫れは、数時間から数日で収まり、その後7日~10日ほどで自己のコラーゲンやエラスチンの産生が促されて、少しずつシワが改善していきます。6ヶ月後のデータでもシワの重症度スコアの低下が報告されています。
1回では効果が低いため、1~2週間毎に最低4回の注射を行います。
- 何回くらい注射が必要ですか?
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当院では、スネコスが初めての方には4~8回、その後は約6ヶ月毎に4回の注入をお勧めしています。
- ほうれい線を消すことはできますか?
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深いシワには、シワの溝を埋めるためのフィラーが必要なため、ヒアルロン酸注射をお勧めします。
スネコスは、ほうれい線などの深いシワに対しての効果は低く、なんとなく目立たなくなる、将来的に深くなるのを予防するというレベルです。入れ過ぎて顔がパンパンになる、不自然にほうれい線が無くなるということがないため、「ナチュラルに肌の調子が良い」、「なんとなくほうれい線が気にならなくなった」という印象を持つ方もいます。
- ヒアルロン酸注入やボトックス注射と併用できますか?
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同日に併用可能です。
- フラクショナル炭酸ガスレーザーやダーマペンと併用できますか?
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同日部位の場合には、同日に施術はできませんが、それぞれ2週間間隔を空ければ可能です。
- 痛くないですか?麻酔は必要ですか?
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スネコス200の注射では、34Gの最も細い針を使用しますので、麻酔なしでも注入可能です。
スネコス1200の注射では、30Gの針を用いますので、クリーム麻酔かテープ麻酔をしたほうが良いでしょう。
痛みに弱い方の場合、スネコス200でもクリーム麻酔をします。
注射後についての質問
- ダウンタイムはありますか?
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スネコス200の注射では、34Gの極細針で注射するため、針穴はほとんど目立ちません。注射した部位の赤みは、30分~数時間で目立たなくなり、注射部位の腫れは数時間から1日で気にならなくなります。
皮膚が薄い部分では内出血が起こることがあり、その場合、消えるまで1~2週間程かかることがあります。
- メイクはすぐにできますか?
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当日のメイクは避けてください。翌日からは、お化粧をしても問題ありません。
- テープを貼る必要はありますか?
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注射は極細の針で行い、ほとんど血がでませんので、テープは通常必要ありません。
- スネコス注射後にお酒は飲めますか?
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当日の飲酒は控えてください。翌日からは問題ありません。
- スネコス注射後に運動しても良いですか?
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当日の運動をお控えください。翌日からは問題ありません。
参考文献・サイト一覧
- Patrizia Sacchi and Raffaele Rauso, “Clinical Trial for Assessing the Effectiveness and Tolerability of the Medical Device Sunekos 200, Applied with Electroporator in Skin Ageing” Clinical Dermatology Open Access Journal. Published Date: June 14, 2018.