ヒアルロン酸注射– Hyaluronic Acid Injection –

ヒアルロン酸注射は、ヒアルロン酸を皮膚内に注入することで、シワやたるみを改善させる美容治療です。

当院では、ドイツMerz社の「ベロテロ」というヒアルロン酸を使用しています。国内では未承認医薬品のため、「医薬品副作用被害救済制度」の対象外です。

目次

ヒアルロン酸によるシワ治療– Hyaluronic Acid Fillers for Wrinkles –

ヒアルロン酸を皮膚内に注入することで、肌の内側からシワを持ち上げて改善させます。すでに形成されてしまったシワを薄く目立たせなくすると同時に、将来的なシワの予防にもなります。

以下のようなシワが適応です。

  • 鼻唇溝(ほうれい線)のシワ
  • 額のシワ
  • 眉間のシワ
  • 目の周囲のシワ
  • こめかみの凹みや痩せ
  • ゴルゴライン(目の下~ほほの溝)
  • 唇のシワ
  • 口角のシワ(マリオネットライン)
  • あごのシワ
  • 隆鼻(鼻への注入)、涙袋の形成は行っておりません。
  • 額のシワなど、シワの部位や深さによってボツリヌストキシン注射とヒアルロン酸注射の併用をお勧めすることがあります。

効果の持続

ヒアルロン酸注射剤のベロテロ
ヒアルロン酸注射薬のベロテロ

当院では、3種類の硬さのヒアルロン酸を部位やシワの深さによって使い分けます。

種類効果の持続
ベロテロ ソフト3~6ヶ月
ベロテロ バランス6~12ヶ月
ベロテロ ボリューム12~18ヶ月

繰り返しヒアルロン酸の注入を行うことで、自己のコラーゲン産生が刺激されることや、ヒアルロン酸が被膜で覆われて吸収されにくくなるため、長期的な効果が期待できます。

お顔全体のボリュームロスが大きい方は、4~12本(4~12mL)使用してしっかりとシワを持ち上げて土台を作っておくと、その後は少ない本数でメンテナンスが可能です。

ヒアルロン酸によるシワ治療の症例

ほうれい線 30代男性

ヒアルロン酸注入前と注入直後

患者さんは、深く刻まれたほうれい線を「少しだけ」浅くしたい希望であったため、ヒアルロン酸1本(1mL)だけを使って治療しました。ほうれい線と頬骨靭帯の下にヒアルロン酸を注入し、全体的に頬をリフトアップしてナチュラルに改善させています。
皮むけしているのは、トラネックスレチピールを数日前に受けた影響です。

ほうれい線とマリオネットライン 50代女性

ヒアルロン酸注射 前
ヒアルロン酸注射 2週間後

ほうれい線と口角のシワ(マリオネットライン)の治療を希望された患者さんです。

ご本人が気になる部位はほうれい線とマリオネットラインですが、シワだけに注入すると不自然になるため、お顔全体のバランスを見て注入部位を決めていきます。

こちら患者さんでは頬の脂肪の減少が見られ、頬の上部と頬骨靭帯の下へヒアルロン酸を注入して、全体的にリフトアップをしています。また、顎の左右のラインへヒアルロン酸を注入することで、顎がシャープになり、口角のシワも目立たなくなります。

右口角はニキビ跡とシワが重なっており、カニューレで癒着を剥離してから注入を行いました。ニキビ跡がある皮膚は硬くなっており、健常な皮膚よりも改善が乏しくなります。

この患者さんでは、ヒアルロン酸を合計4本(4ml)注入しています。

あと4~5本追加して、額、頬、顎の中央、こめかみのボリュームを補正すると、全体的にさらにハリが出て、若々しい印象になります。

ヒアルロン酸リフト– Face Lifting with Hyaluronic Acid –

年齢を重ねるごとに、皮膚を支える靭帯が伸びて垂れ下がっていきます。ヒアルロン酸リフトは、靭帯の下にヒアルロン酸を注入し、靭帯を支えることでお顔をリフトアップする治療です。マイルドに頬の位置が上がり、顔全体に自然なリフティング効果が得られます。

ヒアルロン酸リフトは、若い方に特におすすめです。靭帯が伸びてゆるんでしまう前にヒアルロン酸リフトを行うことで、老化による靭帯の伸びを抑え、若々しい外観を維持できます。

逆に、すでに靭帯が大きく緩んでしまっている場合、ヒアルロン酸リフトは目に見えた効果を発揮しません。しかし、今後の靭帯の下垂を防ぐため、ある程度のたるみを予防できます。

効果の持続と注入量

効果の持続

ヒアルロン酸リフトでは、硬く吸収されにくい「ベロテロボリューム」を使用します。効果の持続は12~18ヶ月です。

治療間隔

20代の方は1~2年毎、30代以降の方は1年毎の治療がおすすめです。

注入量

ヒアルロン酸リフトでは、通常2本(2mL)のヒアルロン酸を使用します。

ヒアルロン酸リフトの症例

30代男性

ヒアルロン酸リフト注射 左半分
ヒアルロン酸リフト注射 両方

当院で勤務する林医師の写真です。

1枚目は、顔の左側だけヒアルロン酸リフトをした直後の写真です。眉の上やこめかみ、ほうれい線、あごの支持靭帯にポイントで注入しています。

2枚目は、両側のヒアルロン酸リフト注射した直後の写真です。左右とも全体的に頬の位置が上がっています。皮膚表面のヒアルロン酸が少し目立ちますが、2週間以内に徐々になじんできます。

治療を受けることができない方

  1. 過去にヒアルロン酸注入でアレルギーを起こしたことがある方
  2. 麻酔(リドカイン・キシロカイン)にアレルギーのある方(※)
  3. 過去にヒアルロン酸以外の注入剤を充填している方(異物性肉芽腫を生じるリスクがあります)
  4. 妊娠中・授乳中の方
  5. 注入部位の皮膚に異常がある方
  6. ケロイド体質の方

※ヒアルロン酸のベロテロには、少量の麻酔が配合されています。

ヒアルロン酸注射の副作用

一般的な副作用

  • 針跡と内出血…通常、針跡は2~3日、内出血は2~3週間程度で改善します。
  • 痛み…注射部位に鈍痛や、触ると痛みを感じます。通常、2~3日で改善します。
  • 腫れ…腫れや熱感がある場合、保冷剤をハンカチなどで包み患部を冷やしてください。凍傷予防のため、同じ部位を連続で5分以上冷やさないように注意してください。額や目の周囲の施術で、ヒアルロン酸が下がってきて目が腫れぼったくなることがありますが、徐々に改善します。
  • チンダル現象…目の下にヒアルロン酸を入れた場合、青く透けてクマのように見えることがあります。当院では目の下にはチンダル現象が起こりにくいベロテロソフトを用いています。
  • 時々腫れる…ヒアルロン酸の保水能力のため、寝起き(朝)や体調不良時に一時的に顔がむくみやすくなることがあります。徐々に改善していきますが、気になる場合にはヒアルロン酸分解酵素で溶解します。
  • 凸凹…凹凸にならないよう、深さや量を調整して注入します。額、目の周囲、浅い小皺の治療では、注入後に凹凸が目立ちます。注射翌日からマッサージしていただくことで、1~2週間程度でなじんで改善します。長期に渡って気になる場合にはヒアルロン酸分解酵素で溶解します。
  • しこりが触れる…皮下にヒアルロン酸の塊がしこりとして触れます。シワを持ち上げているため、盛り上がりがなければそのままにしておいてください。表面に盛り上がりがある場合、マッサージで徐々になじみます。

非常に稀だが重篤な副作用

  • アレルギー・アナフィラキシーショック…製剤に含まれる架橋剤、添加物、麻酔成分にアレルギーを起こす方がいます。重度のアレルギー(全身の発疹、皮膚・唇・舌の腫れ、呼吸困難、動悸、血圧低下、意識障害、痙攣)も報告されています。帰宅後に上記の症状が起こった場合、すぐに救急車を呼んでください。
  • 異物性肉芽腫…過剰な免疫反応・アレルギーにより注入部位の硬結や結節、非常に稀に「異物性肉芽腫」というしこりが出現し、瘢痕(傷跡)として残ってしまうことが報告されています。過去に非吸収性のフィラー剤を注入している場合に起こることもありますが、それはヒアルロン酸が原因ではありません。
  • 感染…非常に稀ですが、免疫が弱い方、免疫不全の方は、刺入部から感染を起こす可能性があります。
  • 塞栓…血管内への誤注入で、動脈塞栓、皮膚壊死、皮膚の変色、失明、脳梗塞等の重大な合併症が報告されています。
  • 神経障害…針によって知覚神経や運動神経障害が稀に起こることがあります。通常は3ヶ月程度で改善しますが、極稀に残存してしまう可能性があります。

ヒアルロン酸分解酵素の緊急使用と修正

  1. ヒアルロン酸分解酵素はアレルギーのリスクが高いため、当院ではアレルギー性が最も少ない「ヒレネックス」という人由来の製剤を使用しています。
  2. 動脈閉塞・皮膚壊死等により、緊急でヒアルロン酸を溶かす必要性があると医師が判断した場合には、ヒアルロン酸分解酵素の注入を行います。
  3. 膨らみすぎや凹凸が目立つ場合などの修正が必要な場合にもヒアルロン酸分解酵素を注入します。
  4. 注入周囲のヒアルロン酸が溶けるため細かい修正はできません。複数回の注入が必要になる場合や、被膜化・繊維化していると溶けにくい場合もあります。
  5. 過去のヒアルロン酸を溶かして、再度ヒアルロン酸の注入が必要な場合、溶解後2週間以上経過した後にヒアルロン酸の注入を行います。
  6. 副作用として、発疹、発赤、かゆみ、腫脹などの他、極稀にアナフィラキシー(全身性の発疹、皮膚・唇・舌の腫れ、呼吸困難、動悸、血圧低下、意識障害、痙攣など)が起こる可能性があります。

治療後の注意点

  1. 注射後当日は、注射部位を擦ったり、揉んだり、押したりしないようにしてください。翌日から、医師の指示があった場合のみマッサージを行ってください。
  2. 当日のメイク、入浴、サウナ、飲酒、運動はお控えください。軽い洗顔やシャワーは当日から可能です。
  3. 痛みが強く残っている場合、皮膚の色味がおかしい場合、冷やした際に痛みが強くなる場合など、何か異常を感じた場合には早急にご連絡ください。
  4. 治療後2週間~1ヶ月以内に肌の状態を診察しますので、ご予約をお取りください。

ヒアルロン酸注射の料金

項目料金(税込)
診察料初診料 3,850円
再診料 1,650円
ベロテロ1本(1ml)
ヒアルロン酸注射
79,200円
ヒレネックス1本(150単位)
ヒアルロン酸分解注射
54,780円
麻酔局所麻酔 330円
テープ麻酔 1枚330円
  1. 施術前には毎回診察が必要です。
  2. シワの深さと治療部位によって、複数のヒアルロン酸の種類と本数が必要になります。
  3. 治療部位によってカニューレ(先が丸くなった針)を使用する場合があります。別途料金はかかりません。
  4. ヒアルロン酸は感染予防のため1本使い切りです。余ったものは廃棄いたします。
  5. ヒアルロン酸分解注射は、緊急時や当院施術後1ヶ月以内の修正は無料、それ以降の修正は有料となります。

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