ハイフ(高密度焦点式超音波療法)

ハイフとは、超音波で組織に熱を与え、肌のたるみを改善する治療法です。高密度焦点式超音波療法(High Intensity Focused Ultrasound)の頭文字を取って、HIFU(ハイフ)と呼ばれています。
レンズで太陽の光を集めてエネルギーを一点に集中させる原理のように、ハイフも超音波エネルギーを一点に集めて瞬間的に高温にする技術です。
皮膚の表面には熱を与えず、奥でエネルギーを集中させて加温します。ハイフ照射中の皮膚表面の温度は33.1~35.6℃であるのに対し9、内部組織の温度は60℃以上に達します。
つまり、肌の内部に超音波を集めることで、皮膚表面には火傷は起こさず、組織のコラーゲンの生成を促進させて若返りをもたらします4。
当院では医療用ハイフ機器として「ウルトラフォーマーⅢ」と「ウルトラフォーマーMPT」を取り扱っています。
ウルトラフォーマーⅢとウルトラフォーマーMPT

ウルトラフォーマーⅢ、ウルトラフォーマーMPTは、 CLASSYS社が開発した医療ハイフ機器で、顔や首のたるみ、シワを改善させる美容治療に用いられています。
超音波はレーザーよりも深い部分に照射できるため、2mm、3mm、4.5mm の深さの異なるハンドピースを用いて、真皮から皮下組織、SMAS筋膜にまで熱を加え、深い層のたるみを改善させます。
ウルトラフォーマーの特徴
肌内部に超音波が照射されるため、肌の表面を火傷させることは非常に稀で、赤みなどのダウンタイムが少ない治療です。
ウルトラフォーマーの特徴については、動画もご覧ください。
ウルトラフォーマーⅢとウルトラフォーマーMPTの違い
ウルトラフォーマーMPTはⅢの新モデルです。
施術 | ウルトラフォーマーⅢ (麹町) | ウルトラフォーマーMPT (高円寺) |
---|---|---|
モード | ドット | ドット・ライン |
全顔 施術時間 | 約40分 | 約30分 |
全顔 ショット数 | 680ショット | 680ショット |
4.5mm 標準出力 | 0.8J | 0.7J(0.8Jも可) |
1.5mm ブースター | なし | あり(オプション) |
モードの違い

ウルトラフォーマーⅢは点で照射するドット方式ですが、ウルトラフォーマーMPTはドットに加えて、線で照射するライン方式を選択することが可能です。
ドットとラインで効果の違いはありませんが、ラインのほうが短時間で照射でき、痛みがやや楽になります。
標準出力の違い
MPTはⅢよりも標準出力が0.1J低く抑えられています。初めて受けられる方には、標準出力で照射を行いますが、効果は出力に依存しますので、2回目以降の方やⅢを受けたことがある方には、希望に応じて0.1Jアップさせることも可能です。ただし、痛みや副作用リスクはやや増大します。
1.5mmブースター

MPTには深さ4.5mm、3mm、2mmの3種類に加えて、ブースターと呼ばれる1.5mmの円型ハンドピースによる施術をオプションで追加できます。ペン型で細かい部分に照射しやすく、浅い層の小じわ予防に効果的です。
※ブースターでグルタチオン(美白成分)の導入効果が謳われていますが、超音波の真皮層への導入効果は乏しく、また、グルタチオン製剤も低濃度なため、当院では行っておりません。
ハイフの効果
ハイフは、顔や首のたるみとシワに対して、非侵襲的に(手術のように皮膚を切ったり、レーザーのようにやけどを起こしたりせず)有効性を示し、若返りに効果的であることが報告されています1 2 3 4 5。
- たるみの引き締め・リフトアップ
- 真皮・皮下組織・筋膜の3層に熱を加えて引き締めます2 5 6 7。皮膚の弾力を保つ成分であるコラーゲンの減少によってたるんだ皮膚にハリを取り戻し、リフトアップ効果が得られます。
- シワの改善
- 真皮に熱を加え、コラーゲン産生を促すことで、目元や目尻、額のちりめんジワや小じわを改善させます。また、真皮・皮下組織・筋膜の引き締め効果によって、ほうれい線などの比較的大きなシワを改善する作用があります。
- 部分痩身
- 熱エネルギーを集中して照射し、脂肪細胞へボツボツと穴を開けるように破壊し、脂肪細胞を減らしていきます。超音波によって破壊された脂肪細胞は、白血球の一種であるマクロファージによって貪食され、徐々に消化、体外へ排出されます。近年、ハイフによる皮下脂肪の減少効果や体の引き締め効果も報告されています8 9。
ハイフ症例写真






症例写真:CLASSYS社提供(効果には個人差があります)
ハイフとハイフシャワーの違い
医師によるハイフを受けてから、維持的にハイフシャワーを受けることをお勧めしています。
ハイフ | ハイフシャワー | |
---|---|---|
施術者 | 医師 | 看護師 |
目の周囲 | ||
2mm 真皮~皮下 | ||
3mm 皮下~筋膜 | ||
4.5mm 皮下~筋膜 | ||
1.5mm 真皮 | (オプション) 高円寺のみ | (オプション) 高円寺のみ |
ショット数(全顔) | 680 | 250 |
治療時間 | 40分 | 20分 |
痛み | 強い | 弱い |
治療間隔 | 3~6ヶ月毎 | 1~2ヶ月毎 |
2mmのハンドピースでは真皮~皮下組織、3mmと4.5mmは皮下組織~筋膜まで作用します。額や目周りなど皮下組織が薄い場所では、2mmでも筋膜まで作用しますので、部位によって適切なハンドピースを選択します。
ハイフの治療間隔と持続期間
- ハイフ(全顔照射)
-
初めての方は、最初の3回は3ヶ月間隔で行うと効果が実感しやすくなります。治療効果は、2ヵ月目ごろがピークとなりますが、効果の持続は6ヶ月程度のため、6ヶ月に1回の治療をお勧めします。
- ハイフシャワー
-
1~2ヶ月に1回の治療をお勧めします。
肌のクリニックでのハイフ治療
ハイフ治療の効果を出すために、当院では以下のことに気を付けています。
- 1. 出力
-
ハイフの原理は熱凝固からのリモデリングのため、効果は出力に依存します。当院では、部位によって適切な出力で照射しますが、看護師が施術を行っているケースでは、出力を下げて照射している医療機関もあるようです。
- 2. ショット数
-
治療効果をしっかりと得るには、出力と照射技術に加えて、ショット数が非常に大切です。メーカー推奨ショット数は、顔全体で680ショットです(※2022年4月時点)。
- 3. 医師による施術
-
ハイフは、肌の深部の皮下組織まで超音波が届くため、解剖学的に知識や神経走行に基づいて、当院では必ず医師が施術を行っております。
- 4. 治療実績
-
医師による全顔ハイフの施術件数です。看護師施術のハイフシャワーは含まれておりません。
施術 件数 ハイフ(医師施術) 2020年:183件
2021年:163件医師による全顔ハイフの治療実績
治療料金– Treatment Costs –
ハイフの料金(医師施術)
メニュー | ショット数 | Ⅲ出力 | MPT出力 | 料金(税込) |
---|---|---|---|---|
全顔照射(あご下含む) 2mm 3mm 4.5mm | 680 | 4.5mm 0.8J | 4.5mm 0.7J | 初回料金 86,900円 2回目以降 97,900円 リピート割 -10,000円 火/水割 -5,000円 |
首オプション 2mm | 200 | 0.2J | 0.2J | +20,900円 |
二重あごオプション 6mm (脂肪溶解作用) | 60 | 1.0J | 1.0J | +7,700円 |
ブースターオプション 1.5mm ※高円寺院のみ・看護師施術 | 200 | 0.2J | 0.2J | +13,750円 |
- 初回は診察料がかかります。2回目以降で施術のみご希望の方は、診察料はかかりません。
- 2022年4月25日以降にハイフの同意書を記載した方は、機種を切り替える場合でも診察と同意書は不要です。それ以前にⅢを受けていた方がMPTに切り替える場合は、診察と同意書が必要です(国内未承認医療機器のため)。再診料1,650円(税込)がかかりますのでご了承ください。
- 医師ハイフの初回料金は、Ⅲ・MPTのそれぞれが初回の場合に適用されます。例)麹町院でⅢを受けたことがあるが、高円寺院のMPTを初めて受ける場合は初回料金適用(初回料金適用時にはリピート割は適用外となります)。
- 医師ハイフのリピート割は、6ヶ月以内の再施術時にⅢ・MPTのどちらでも適用になります。例)高円寺院でMPTを受けた後、6ヶ月以内に麹町院でⅢを受ける場合はリピート割適用。
- MPTの出力は、2回目以降の方やⅢを受けたことがある方には、希望に応じて0.1Jアップさせることも可能です。
- ウルトラフォーマーは、国内では保険適応外の未承認医療機器となります。

ハイフシャワーの料金(看護師施術)
メニュー | ショット数 | 出力 | 料金(税込) |
---|---|---|---|
顔 2mm (目の周囲含む・あご下含まず) | 250 | 0.2J | 1回 26,400円 火/水割 -2,000円 |
首 2mm (あご下含む) | 200 | 0.2J | 1回 19,800円 火/水割 -2,000円 |
顔+首 2mm (目の周囲・あご下含む) | 450 | 0.2J | 1回 41,800円 火/水割 -2,000円 |
鼻下オプション 2mm | 36 | 0.2J | +2,970円 |
ブースターオプション 1.5mm ※高円寺院のみ | 200 | 0.2J | +13,750円 |

- ハイフ・ハイフシャワーの当日のご予約の変更・キャンセルは一律3,300円を頂きます。前営業日までのキャンセルは無料ですが、ご予約の変更・キャンセルは、お早めのご連絡をお願いいたします。
- 施術時間に遅刻された場合は、施術時間内での照射となります。
治療を受けることができない方
- ペースメーカー、金の糸を体内に埋め込んでいる方
- プロテーゼ、シリコン、インプラント、金属プレートは入っている部位は施術できません。
- 重度の糖尿病の方治療部位に感染症や重度の皮膚疾患のある方
- ケロイド体質の方
- 妊娠中の方、またはその可能性のある方
- ヒアルロン酸、ボトックスなどの注入剤を2週間以内に受けられた方
- ピーリング、トレチノイン外用薬、レーザー・光治療(脱毛を含む)を2週間以内に受けられた方
- イソトレチノイン(ロアキュテイン・イソトロイン)の内服治療を3ヶ月以内に受けた方
- 金製剤(リウマチ薬)を飲んだことがある方
- 麻酔によるアレルギーやショック症状を起こされた方(オプションの麻酔はできません。)
- スレッドリフト(糸)の手術を受けて1ヶ月以内の方
ハイフの副作用
- 1. 痛み
-
施術中は、熱さや鈍い痛みを感じます。ほとんどの方は麻酔なしで施術可能ですが、痛みに弱い方は出力を下げて対応します。オプション(3,300円)でクリーム麻酔をすることも可能ですので、初めての方へはおすすめしていす。
施術後は、触った時などに筋肉痛のような痛みが数日から2週間ほど続くことがありますが、心配いりません。マッサージなどの刺激を与えないようにしてください。
- 2. 赤み・腫れ
-
赤みや腫れは、起こったとしても術後数時間で治まります。まれに、腫れぼったい感じや熱感が数日続くことがあります。赤みが強い部分はやけどを起こしている可能性があり、ハンカチに包んだ保冷剤で冷却してください。
- 3. 火傷
-
稀ですが、やけどのリスクがあります。顎下はやけどが起こりやすい部位であり、深部の火傷による瘢痕(盛り上がり)が起こることがあります。ほとんどの方は、時間の経過で改善していきますが、非常に稀に、残存するリスクがあります。軟膏などのお薬を処方しますので、上記の症状があった場合は冷却を行い、早めに受診してください。
- 4. 内出血
-
稀ですが、点状・線状の内出血が起こることがあります。改善するまで1~2週間ほどかかることがあります。
- 5. 肝斑
-
稀ですが、肝斑が増悪する可能性があります。術後くすみが強くなった際には、医師にご相談ください。
- 6. 脂肪減少
-
3mm以上のハンドピースで頻回に照射すると、稀に施術部位の脂肪が減少する可能性があります。通常、回数が多くなるほどリスクが高くなります。
- 7. スレッドリフトの切断
-
スレッド施術後1ヶ月程度経過して、糸が皮膜化されていれば問題ないと考えられていますが、非常に稀ですが、スレッドリフトの糸が切れたという例が報告されています。
- 8. 神経障害
-
非常に稀ですが、顔や首の神経が障害されて、しびれや違和感、運動障害が起こることがあります。また、皮膚表面の細かい末梢神経の障害で、触ったときの違和感などの症状が起こる可能性があります。通常は3ヶ月以内に改善することがほとんどですが、非常に稀に、残存してしまうリスクがあります。
- 9. 麻酔アレルギー
-
非常に稀ですが、体質によってクリーム麻酔(リドカイン、微量のプロピレングリコール、エタノール、メチルパラベン等含有)で重篤なアレルギー症状(アナフィラキシー:全身性の発疹、皮膚・唇・舌の腫れ、呼吸困難、動悸、血圧低下、意識障害、痙攣など)が起こる可能性があります。
詳細につきましては、初診時に説明用紙を用いて医師から説明しております。
参考文献・サイト一覧
- Zehra Aşiran Serdar, “Efficacy of high-intensity focused ultrasound in facial and neck rejuvenation” J Cosmet Dermatol. 2020 Feb;19(2):353-358. doi: 10.1111/jocd.13008. PMID: 31141286
- Sabrina Guillen Fabi. “Noninvasive skin tightening: focus on new ultrasound techniques” Clin Cosmet Investig Dermatol. 2015 Feb 5;8:47-52. doi: 10.2147/CCID.S69118. PMID: 25709486
- Arié Azuelos, “High-Intensity Focused Ultrasound: A Satisfactory Noninvasive Procedure for Neck Rejuvenation” Aesthet Surg J. 2019 Jul 12;39(8):NP343-NP351. doi: 10.1093/asj/sjz093.
- Parvaneh Saket, “Study of efficacy of esthetic High-Intensity Focused Ultrasound system on Iranian skin for reducing the laxity and wrinkles of aging” J Cosmet Dermatol. 2017 Sep;16(3):336-341. doi: 10.1111/jocd.12317. PMID: 28150435
- Hyunchul Park, “High-Intensity Focused Ultrasound for the Treatment of Wrinkles and Skin Laxity in Seven Different Facial Areas” Ann Dermatol. 2015 Dec;27(6):688-93. doi: 10.5021/ad.2015.27.6.688. PMID: 26719637
- Karol A Gutowski, “Microfocused Ultrasound for Skin Tightening” Clin Plast Surg. 2016 Jul;43(3):577-82. doi: 10.1016/j.cps.2016.03.012. PMID: 27363772
- Dong Hye Suh, “Intense focused ultrasound tightening in Asian skin: clinical and pathologic results” Dermatol Surg. 2011 Nov;37(11):1595-602. doi: 10.1111/j.1524-4725.2011.02094.x. PMID: 21806707
- E J Ko, “Efficacy and safety of non-invasive body tightening with high-intensity focused ultrasound (HIFU)” Skin Res Technol. 2017 Nov;23(4):558-562. doi: 10.1111/srt.12371.
- T-R Kwon, “Improved methods for evaluating pre-clinical and histological effects of subcutaneous fat reduction using high-intensity focused ultrasound in a porcine model” Skin Res Technol. 2017 May;23(2):194-201. doi: 10.1111/srt.12319.