毛孔性苔癬とは

多くの方が悩む「二の腕のブツブツ」は毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)や毛孔性角化症(もうこうせいかくかしょう)と呼ばれます。若い世代に見られ、小児期以降に発症し、思春期に症状が顕著となります1。皮膚がザラザラしているので「さめ肌」と表現する患者さんもいます。

当院へ受診する方は女性が多いのですが、実は男女差はなく、美容上の問題を女性が気にするためだと考えられています1

毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)

症状と原因

毛孔性苔癬は、皮膚のケラチン蛋白の蓄積により毛包の開口部が塞がれ、角栓が表皮に突出します。色のないブツブツになることもあれば、軽度の炎症が起こって赤い丘疹ができることもあります。

好発部位は上腕伸側(外側)や肩で、お尻や大腿部(太もも)にできることもあります10。症状は乾燥しやすい秋から冬にかけて悪化し、30代以降は自然軽快も多く見られます。

ケラチンが蓄積する原因は正確には分かっていませんが、常染色体優性遺伝やアトピー性皮膚炎、乾燥肌、肥満、ホルモン異常、ビタミン欠乏などが報告されています2 3 4 5 10

治療

外用薬(塗り薬)

  • 尿素…角質を軟化、溶解させる作用があり、角栓ができるのを防ぐ作用があります。保険適用薬ではケラチナミン、ウレパール、パスタロンクリームなどが処方されます。市販薬では小林製薬のニノキュア、ロート製薬のザラプロがあり、尿素が20%配合されています。
  • ビタミンD3…ビタミンDの塗り薬は角化異常を正常化する作用があり、乾癬の治療薬として用いられています。毛孔性苔癬には保険適用外ですが、臨床ではよく用いられる外用剤の一つです6
  • トレチノイン…局所ピーリング作用、角質軟化作用があります。
  • ヘパリン類似物質…保険適用外ですが、保湿目的でヒルドイドやビーソフテンなどのヘパリン類似物質配合のクリームが用いられることがあります。
  • 保湿剤…保湿目的でワセリンなどが用いられます。

塗り薬で最も処方されるものは「尿素」です。有効率は高くありませんが、薬局でも20%配合のものが手軽に購入できます。

ビタミンD3製剤は、副作用が少なく効果は尿素より高いため、尿素で改善しない場合には、単独、もしくは尿素と併用して使用します。

トレチノインは皮膚剥離作用が強く効果的ですが、赤みや乾燥などの副作用が多く見られます。トレチノインより効果の弱いものの副作用が少ないレチノールやアダパレンなどビタミンA類の塗り薬が用いられることもあります。

ヘパリン類似物質や保湿剤は直接的に治す効果はありませんが、毛孔性苔癬は乾燥により悪化するため、保湿目的にて用いるのが良いでしょう。

外用剤は使用を中止すると容易に再発するため、長期的な継続が必要となります。

ピーリング

サリチル酸、サリチル酸マクロゴール、乳酸、グリコール酸(AHA)などが用いられます。症状や治療経過に応じて、ピーリング剤の濃度調整が行われます。当院ではサリチル酸マクロゴールピーリング30%、もしくは、40%を用いています。

ピーリングも外用剤と同様、中止すると再発しやすいため、定期的にケアすることが必要となります。

ダーマペン / ダーマローラー

ダーマペン、ダーマローラーは、先端に多数の針が付いた医療用デバイスです。外用剤が無効な毛孔性苔癬に用いられ、針で物理的に丘疹を潰して改善させます7

当院では、ダーマペン4という医療用デバイスを用いて治療を行っています。

レーザー

ダイレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザー、CO2フラクショナルレーザーなどが用いられます7 8 9。患者さんの中には、医療脱毛を継続していく中で改善したという方もいらっしゃいます。

CO2フラクショナルレーザーは、物理的に丘疹を破壊するので効果的ですが、炎症後色素沈着のリスクはダーマペンの方が低いため、毛孔性苔癬にはダーマペンによる治療を推奨しています。

その他

イソトレチノイン、エトレチナートといった経口レチノイド薬は、強い作用があるので効果的ですが、副作用も大きく、毛孔性苔癬には用いられません。

ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEの内服が処方されることもありますが、ビタミンAは過剰摂取によって催奇形性のリスクがあるため、十分に注意する必要があります。

症例写真

ダーマペンによる毛孔性苔癬の治療を行った際の経過です。被験者は当院のスタッフです。

治療前

治療前の毛孔性苔癬
治療前 左:通常撮影 右:暗室撮影

明るい場所では見えにくいのですが、暗室で撮影すると細かい丘疹が多数あり、肌全体にざらつきがあります。赤みを伴う毛孔性苔癬もありますが、写真の赤みは麻酔によるものです(麻酔前の写真は撮り忘れてしまいました)。

治療直後

ダーマペン治療直後の毛孔性苔癬
ダーマペン治療直後

ダーマペンで治療した後に、エアウォールUVという紫外線カットの透明テープを貼っています。治療直後の赤みは3日~1週間で引いてきます。

2回治療後

治療後の毛孔性苔癬
ダーマペン2回治療後 左:通常撮影 右:暗室撮影

固く大き目の毛孔性苔癬は、外用剤やピーリングで治らないケースがあり、ダーマペンを4週間以上間隔を空けて、3~5回繰り返します。1回治療後の改善率は20~30%程度ですが、個人差があります。

写真はダーマペンを2回行ってから1週間後の状態です。全体的に丘疹がなくなり、つるっとした印象です。実際に触り心地もざらついた状態が無くなり、滑らかになります。

肘の近くはまだ丘疹が残っていますが、ダーマペンを当てていけば改善していきます。また、外用剤と比較すると再発しにくいことも特徴です。

リスクと副作用:赤み、点状出血、毛包炎、色素沈着など

治療料金

項目料金(税別)
初診料
3,500円
再診料
(必要時のみ)
1,500円
ビタミンD3軟膏
塗り薬
10g 2,880円
トレチノイン軟膏0.05%5g 1,980円
0.1%5g 2,480円
サリチル酸マクロゴールピーリング
30% 40% 処方用
1.65g 3,980円
10g 19,800円
ビタミンA
飲み薬
10錠 300円
ビタミンD
飲み薬
30錠 600円
ビタミンE
飲み薬
90錠 1,800円
ダーマペン
片側20×10cmの範囲内
両上腕1回 24,800円
クリーム麻酔両上腕 3,000円
他は面積による
保護テープ実費

参考文献・サイト

参考文献・サイト

  1. 山本 幸代, (1981) “5年間の蓄積デー タからみた代表的皮膚疾患の性別年令別分布” 皮膚・第23巻・第2号 p197-205
  2. L Poskitt, (1994) “Natural History of Keratosis Pilaris” Br J Dermatol. 1994 Jun;130(6):711-3. doi: 10.1111/j.1365-2133.1994.tb03406.x. PMID: 8011494
  3. Robert Gruber, (2015) “Sebaceous Gland, Hair Shaft, and Epidermal Barrier Abnormalities in Keratosis Pilaris with and without Filaggrin Deficiency” Am J Pathol. 2015 Apr; 185(4): 1012–1021. doi: 10.1016/j.ajpath.2014.12.012 PMID: 25660180
  4. Fatima-Zahra Agharbi. (2019) “Keratosis Pilaris” Pan Afr Med J. 2019 Jul 30;33:274. doi: 10.11604/pamj.2019.33.274.16158. PMID: 31692799
  5. Penelope A Hirt, (2019) “Skin Changes in the Obese Patient” J Am Acad Dermatol. 2019 Nov;81(5):1037-1057. doi:10.1016/j.jaad.2018.12.070. PMID: 31610857
  6. 徳島県医師会. 公開日:2009.02.12 “毛孔性苔癬” https://www.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/hc/492-494 アクセス:2020.06.21
  7. Sang Ju Lee, (2013) “Combination of 595-nm Pulsed Dye Laser, Long-Pulsed 755-nm Alexandrite Laser, and Microdermabrasion Treatment for Keratosis Pilaris: Retrospective Analysis of 26 Korean Patients” J Cosmet Laser Ther. 2013 Jun;15(3):150-4. doi: 10.3109/14764172.2013.769276. Epub 2013 Mar 6. PMID: 23464682
  8. Rehab Mohamed Sobhi, (2020) “Comparative Study Between the Efficacy of Fractional CO2 Laser, Q-switched Nd:YAG Laser (1064 Nm), and Both Types in Treatment of Keratosis Pilaris” Lasers Med Sci. 2020 Jan 11. doi: 10.1007/s10103-020-02956-w. PMID: 31927647
  9. Vasanop Vachiramon, (2016) “Fractional Carbon Dioxide Laser for Keratosis Pilaris: A Single-Blind, Randomized, Comparative Study” Biomed Res Int. 2016;2016:1928540. doi: 10.1155/2016/1928540. PMID: 27247936
  10. 大塚 藤男. “皮膚科学 第9版” 金芳堂, 2011, p341-342

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