予約不要・最短5分で処方可能・2024年11月より価格改定で5,500円
緊急避妊薬(アフターピル)とは
緊急避妊薬は性行為後に服用して望まない妊娠を防ぐ薬剤で、一般的に「アフターピル」と呼ばれています。避妊に失敗した場合(コンドームが破れた・外れた、避妊せずに性交渉をしてしまったなど)に服用することで、妊娠リスクを大幅に低減できます。
アフターピルの種類と特徴
当院では世界標準の2種類のアフターピルを取り扱っています。
薬剤名 | 有効成分 | 服用可能期間 | 特徴 |
---|---|---|---|
エラ(エラワン) | ウリプリスタル酢酸エステル | 性交後120時間以内(5日) | ・より高い避妊効果 ・時間が経過しても効果が維持 ・国内では未承認薬 ・当院で今後も継続処方 |
レボノルゲストレル | レボノルゲストレル | 性交後72時間以内(3日) | ・十分な避妊効果 ・国内承認薬 ・在庫限りで取扱い終了 |
ご注意: 従来の「ヤッペ法」(中用量ピルを利用した方法)は2回服用が必要で副作用も多く、効果も劣るため現在は推奨されていません。
アフターピルの服用方法
- エラ・・・性交後120時間以内に1錠飲みます。
- レボノルゲストレル・・・性交後72時間以内に1錠飲みます。
※アフターピルは、性行為後早く飲むほど有効です。
アフターピルの作用機序
アフターピルには主に2つの避妊メカニズムがあります:
- 排卵抑制: 黄体ホルモンの作用により排卵を一時的に抑制します。排卵前のタイミングで服用すれば受精を防ぎます。
- 着床阻害: 黄体ホルモンが子宮内膜環境を変化させ、受精卵が着床しにくい状態を作ります。これにより、既に受精した場合でも妊娠の成立を防ぎます。
アフターピルの避妊効果
エラ(ウリプリスタル)
臨床試験では、エラはレボノルゲストレルよりも高い避妊効果が報告されています[10]。特に性交後から時間が経過したケースでも効果を維持します。
性行後の時間 | エラ/エラワン 妊娠率 | レボノルゲストレル 妊娠率 |
---|---|---|
0~24時間 | 0.9% | 2.5% |
0~72時間 | 1.4% | 2.2% |
0~120時間 | 1.3% | 2.2% |
特に妊娠リスクの高いタイミングでは、エラは最も有効な緊急避妊薬とされています。
レボノルゲストレル
国内臨床試験では、72時間以内に服用した場合の妊娠阻止率は約81%です[2]。実際には服用後の妊娠率は約1.34%と報告されています。
妊娠阻止率: 生理周期から推測して妊娠可能性がある時期に服用した場合に、妊娠を防げた割合です
副作用について
アフターピルの副作用は一時的なものが多く、通常1日以内で収まります。主な副作用には以下があります:
- 吐き気・嘔吐
- 頭痛・めまい
- 腹痛
- 乳房緊満(胸がはる)
重要: 服用後2時間以内に嘔吐した場合は、もう1錠追加で服用する必要があります。医師にご相談ください。2時間以上経過後の嘔吐では追加服用は不要です。
避妊成功の判断方法
アフターピルによる避妊の成功は、次の生理の有無で判断します:
- 服用後数日で出血がある場合もあります
- 通常は生理予定日と同じ頃かその前に出血があります
- 生理予定日より1週間以上遅れている場合は、妊娠検査薬での確認をお勧めします
避妊に失敗した場合
服用後に出血がない場合は妊娠している可能性があります。妊娠が確認された場合、アフターピルの服用によって胎児への影響はありませんが、今後の対応については産婦人科にご相談ください。
服用後の初回月経の経血量が明らかに少ない場合は、異所性妊娠などのリスクを確認するため産婦人科受診をお勧めします。
肌のクリニックでのアフターピル処方
予約不要でスピーディーな処方
アフターピルは予約不要です。避妊効果は時間が経つほど低下するため、できるだけ早くご来院ください。
- 各医院へ電話連絡(推奨)
- 診療時間内にクリニックへ直接来院
- 診察・処方(最短5-10分程度)
注意: 診療時間外は対応しておりません。高円寺院・麹町院の診療時間をご確認の上ご来院ください。
オンライン処方について
当院では現在、アフターピルのオンライン処方は行っておりません。これは、配送による時間的なロスを避け、一刻も早い服用を実現するためです。現在は両院に直接ご来院いただき、院内で服用していただく方法を採用しております。
なお、当院の医師全員は緊急避妊薬のオンライン診療研修を修了しており、将来的なオンライン処方の提供を検討しています。
料金のご案内(2024年11月1日改定)
2024年11月1日より、アフターピルの価格を大幅に引き下げました。レボノルゲストレルは在庫限りで取扱い終了となります。
項目 | 料金(税込) |
---|---|
診察料 | 初診料 3,850円 再診料 1,650円 |
エラ/エラワン30mg (海外医薬品) | 1錠 5,500円 |
レボノルゲストレル 1.5mg (富士製薬) | 1錠 5,500円 |
注意事項
- 内服薬の処方には別途診察料がかかります
- 予備用としての処方も可能です
- アフターピルの避妊率はピルやミニピルより劣るため、避妊成功後はピル・ミニピルによる計画的な避妊をお勧めします
- 「エラ」は日本未承認薬のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります
アフターピルのよくある質問
- エラとレボノルゲストレルのどちらがおすすめですか?
-
エラはレボノルゲストレル(ノルレボ)より避妊効果が高く、120時間以内の服用で効果を発揮することから、エラをおすすめしています。ただし、エラは日本ではまだ未承認であり、重篤な副作用が起こった際に医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
- 性交後72時間以上経過してしまった場合、アフターピルを飲んでも意味がありませんか?
-
性交渉後72時間(3日)を過ぎてしまった場合、避妊効果は落ちるものの120時間以内(5日)であれば妊娠率を下げることが報告されています5。
72時間以上経過してしまった場合には、より効果の高い「エラ(ウリプリスタル)」をお勧めします。
- アフターピルを飲んだ後にセックスをしても妊娠しませんか?
-
いいえ。アフターピルの効果は一時的であり、飲んだ後に性行為が行われた場合、その妊娠を防止することはできません。
アフターピルを飲んでから12時間以内の性交については、新たな緊急避妊薬は必要ないと考えられていますが1、服用後に避妊のない性行為をすれば、妊娠の可能性は高まりますのでご注意ください。
- アフターピルを連続して飲んでも大丈夫ですか?
-
繰り返しアフターピルを使用することは可能ですが、継続的な避妊には、より避妊効果が確実なピルやミニピルの服用が推奨されています。
また、アフターピルを飲んでから12時間以内の性交については、新たな緊急避妊薬は必要ないと考えられています1。
- アフターピルの後、低用量ピルを飲む場合はいつから飲んだらよいですか?
-
アフターピルを飲んだ後は性交を避け、避妊が成功したか判断してから低用量ピルを飲み始めてください。
アフターピルで避妊が成功したかどうかは、次の出血のタイミングで判断します。アフターピルを飲んだ後、次の生理予定日よりも早く出血が起こるか、もしくは、生理予定日に出血が来れば避妊は成功しています。
- アフターピルを飲んだ後も性交を避けられない場合はどうしたら良いでしょうか?
-
アフターピルを飲んだ後も性交を控えられない場合、翌日からピルを内服することが推奨されています。ピルの処方については、当院、もしくはお近くの産婦人科を受診してご相談ください。
ピルを飲んだ場合、ピルを飲んでいる間は出血が起こりませんが、21日間の休薬中に出血が起こります。出血が起こらない場合、妊娠の可能性がありますので産婦人科を受診してください。
- アフターピルを飲むと、将来の出産に影響しますか?
-
いいえ。アフターピルの服用は、将来の出産のしやすさなどに影響はありません。
- 授乳中にアフターピルを飲んでも大丈夫ですか?
-
授乳中にアフターピルを飲むことは可能です。しかし、お薬の成分が母乳中に移行するため、お薬を飲んだ後、以下の期間あけることが推奨されています。
レボノルゲストレル…最低8時間、できれば24時間は授乳を中止し、搾乳後に再開してください4。
ウリプリスタル酢酸エステル…最低7日間、授乳を中止してください。またその期間、搾乳してください8。
- すでに妊娠していた場合、アフターピルを飲んでしまったら赤ちゃんに影響がありますか?
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レボノルゲストレルを服用したにもかかわらず、妊娠してしまった場合でも赤ちゃんに異常をきたすという報告はありません。
ウリプリスタル酢酸エステルは動物実験で胚毒性が報告されていますが、アフターピルとして飲んだにもかかわらず、妊娠してしまった場合に赤ちゃんに影響を与えるという明確な報告はありません8 9。
アフターピルは、性交後の早い段階で妊娠を防ぐお薬であり、妊娠の疑いがすでにある場合には服用しないでください。もし妊娠してしまった場合には、産婦人科を受診して医師の診察を必ず受けてください。
- アフターピルを飲んだ後、生理周期が乱れてしまいました
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アフターピルは、体のホルモンバランスを一時的に変化させます。緊急避妊後は、本来のホルモンバランスに戻るまで時間がかかりますが、通常は3ヶ月以内に自然な生理周期に戻ります。
- 緊急避妊薬のLNG法とヤッペ法の違いを教えてください
-
LNG法とヤッペ法
LNG法は、レボノルゲストレルという黄体ホルモンを使った緊急避妊方法です。緊急避妊薬ノルレボはレボノルゲストレルを配合した製剤なので、LNG法はノルレボ法と呼ばれることもあります。
ヤッペ法は、従来の中用量ピル(プラノバール)を使った緊急避妊方法です。ヤッペ法は2回服用が必要であり、吐き気や嘔吐などの副作用が起こりやすく、避妊率もLNG法と比較して劣ることから、現在では推奨されていません。
緊急避妊法 LNG法 ヤッペ法 妊娠阻止率 84% 57% 非妊娠率 98.9% 96.8% 薬剤 ノルレボ プラノバール 服用法 1回 2回 副作用 少ない 多い - 妊娠阻止率とは、生理周期から推察して、妊娠の可能性がある時期に内服した時の妊娠しなかった割合です。
- 非妊娠率とは、生理周期に関係なく内服した時の妊娠しなかった割合です。避妊成功率と書かれている場合もあります。
LNG法は1回の服用で済みますが、1回で2錠飲む場合と、1錠だけでよい場合があります。これは容量の違いだけです。つまり、レボノルゲストレルが0.75mg入った錠剤と、1.5mg入った錠剤があり、0.75mgの場合には2錠飲む必要があります。
レボノルゲストレル0.75mgを12時間、もしくは24時間ごとに2回飲む方法は、1回で1.5mg飲む方法と比較して、妊娠率が高くなるため推奨できません3。
参考文献・サイト一覧
- 日本産婦人科学会 平成28年9月 “緊急避妊法の適正使用に関する指針” http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/kinkyuhinin_shishin_H28.pdf
- あすか製薬株式会社 “緊急避妊剤 ノルレボ錠1.5mg” 2016年8月改定
- Mohammad Shohel, “A systematic review of effectiveness and safety of different regimens of levonorgestrel oral tablets for emergency contraception” BMC Womens Health. 2014; 14: 54. Published online 2014 Apr 4. doi: 10.1186/1472-6874-14-54 PMID: 24708837
- E Gainer, “Levonorgestrel pharmacokinetics in plasma and milk of lactating women who take 1.5 mg for emergency contraception” Hum Reprod. 2007 Jun;22(6):1578-84. doi: 10.1093/humrep/dem034. Epub 2007 Mar 2.
- Helena von Hertzen, “Low dose mifepristone and two regimens of levonorgestrel for emergency contraception: a WHO multicentre randomised trial” Lancet. 2002 Dec 7;360(9348):1803-10. doi: 10.1016/S0140-6736(02)11767-3.
- 厚生労働省 “オンライン診療で緊急避妊を行う場合の要件等について” オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会 第5回 資料1
- Laura Sech et al., “緊急避妊薬(EC)” MSDマニュアルプロフェッショナル版 改訂年月 2013年6月
- “ellaOne: EPAR – Product Information” European Medicines Agency (EMA). 26 May 2020.
- FDA “ulipristal acetate” 最終アクセス 2021.04.06
- Glasier AF, Cameron ST, Fine PM, Logan SJ, Casale W, Van Horn J, Sogor L, Blithe DL, Scherrer B, Mathe H, Jaspart A, Ulmann A, Gainer E. Ulipristal acetate versus levonorgestrel for emergency contraception: a randomised non-inferiority trial and meta-analysis. Lancet. 2010 Feb 13;375(9714):555-62. doi: 10.1016/S0140-6736(10)60101-8. Epub 2010 Jan 29. Erratum in: Lancet. 2014 Oct 25;384(9953):1504. PMID: 20116841.
- Paul Fine et al., “Ulipristal acetate taken 48-120 hours after intercourse for emergency contraception” Obstet Gynecol. 2010 Feb;115(2 Pt 1):257-263. doi: 10.1097/AOG.0b013e3181c8e2aa. PMID: 20093897
- ICEC. “EC pill types and countries of availability, by brand” New York: International Consortium for Emergency Contraception (ICEC). 最終アクセス 2021.04.06
- Trussell, James et al., “Dedicated emergency contraceptive pills worldwide” (PDF). Princeton: Office of Population Research at Princeton University, Association of Reproductive Health Professionals. Archived from the original on 4 March 2016. 最終アクセス 2021.04.06
- ECEC. “Emergency contraception availability in Europe“. New York: European Consortium for Emergency Contraception. Last update: October 2018. 最終アクセス 2021.04.06
- J A Russo, M D Creinin. “Ulipristal acetate for emergency contraception” Drugs Today (Barc). 2010 Sep;46(9):655-60. doi: 10.1358/dot.2010.46.9.1516982.
- HRA Pharma America. “ella® ulipristal acetate tablet 30mg” https://www.ella-now.com/ 最終アクセス 2023.05.21