赤いイボ(老人性血管腫)
老人性血管腫– ろうじんせいけっかんしゅ –
顔や体にできる赤いイボや赤いホクロは「老人性血管腫」と呼ばれる良性の腫瘍です。
老人性血管腫は、加齢によって皮膚内の毛細血管が異常に増殖して塊になったものです。1~2mmの大きさのことが多く、少し盛り上がった形のものや平坦なものがあります。
顔や首、胸、背中、腕など、体中どこにでもでき、年齢によって増えていくのが特徴です。
原因
老人性血管腫の原因ははっきりとわかっていませんが、加齢や紫外線の影響で増えやすく、皮膚の老化が主な原因であると考えられています。遺伝的にできやすい方では、10代や20代の若いうちからできるケースもあります。短期間で急に増えることもあります。
治療
高出力の血管治療用レーザーで、血管を破壊して除去します。
1ショットのレーザーで血管が破壊され、黒く焦げた状態になります。黒い残骸は、1ヶ月ほどで代謝されて消えていきます。場合によって、4ヵ月の間隔を空けて2回ほど照射が必要になるケースもあります。
レーザー後に跡になるリスクは稀ですが、体質によってゼロではありません。また、体の老人性血管腫では顔よりも、レーザー後に色素沈着を生じるリスクがやや高くなります。リスクについては、副作用の項目をご参照ください。
唇の黒いイボ(静脈湖)
静脈湖– じょうみゃくこ –
静脈湖は、中年~高齢者の口唇(とくに下唇)や耳たぶにできる数mm~1cm以下の黒から青紫色の良性腫瘍です。顔や首、口の中にできることもあります。
「唇に急に黒っぽいイボができた。」「青紫色のできものができた。」と表現される患者さんが多い疾患です。
加齢に伴う静脈の拡張で起こり、圧迫するとしぼむのが特徴です。
原因
老化や紫外線が原因とされていますが、はっきりとした原因は不明です。
治療
高出力の血管治療用レーザーで、血管を破壊して除去します。
ほとんどの静脈湖は、1回の治療で除去できますが、大きいものでは4ヵ月間隔を空けて2回照射が必要です。2週間後の写真では除去後の跡が残っていますが、3ヶ月後の写真では消えています。
血管治療レーザーは炭酸ガスレーザーより跡になりにくいことや、唇は傷の治りが良い部分であることから、レーザー後に跡が残るリスクは稀です。ただし、体質によって跡が残ってしまう可能性もゼロではありません。リスクについては、副作用の項目をご参照ください。
小鼻の赤み(毛細血管拡張症)
毛細血管拡張症– もうさいけっかんかくちょうしょう –
小鼻の赤みの原因は、異常な毛細血管の拡張です。表面近くの毛細血管が増生し拡張するため、皮膚が赤みを帯びて見えます。
どこにでも起こりますが、顔では小鼻や頬によく見られ、体では下肢によく見られます。
原因
毛細血管拡張症は女性に多く、妊娠中に悪化することから、女性ホルモンや黄体ホルモンが影響していると考えられています。また、加齢や遺伝によるものもありますが、はっきりとした原因は不明です。
物理的な刺激(小鼻を擦るなど)や慢性的な炎症(酒さやニキビ)は悪化要因となります。
治療
高出力の血管治療用レーザーで、血管を破壊して治療します。
毛細血管拡張症では、4ヵ月以上の間隔を空けてレーザー照射を最低でも3回以上行います。写真のように、1回のレーザーだけである程度効果を実感できますが、再発しやすいのが厄介なところです。
しっかりと改善した後も、少しずつ血管が出てくることがあるため、定期的にレーザー治療が必要になることも珍しくありません。
強いエネルギーでレーザーを照射するため、レーザー直後に赤みが出ますが徐々に治まります。密に照射すると火傷のリスクが高まるため、間隔を空けて照射する必要がありますが、それでもレーザー後に火傷の跡が残ってしまう可能性はゼロではありません。リスクについては副作用の項目をご覧ください。
血管治療レーザーの副作用
- 1. 照射後の赤み
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通常、強い赤みは1日~3日間程度で治まります。その後、弱い赤みが引くまで1ヶ月程度かかることもあります。
- 2. 照射後の黒ずみ
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血管が破壊され、黒く焦げた状態になることがあります。徐々に分解・吸収されていきますので心配いりません。
- 3. 炎症後色素沈着
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レーザーの刺激によって、照射部位にシミができることがあります。通常4カ月から6カ月で徐々に消えていきますので、心配いりません。
- 4. 痛み
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通常、強い痛みは1日間程度で治まりますが、ひりひり感が3日程度続く場合があります。
- 5. やけど・水疱
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照射部位は軽いやけどの状態になり、水疱(みずぶくれ)ができることがあります。そのまま破かず、テープで保護してください。破れた場合もテープは剥がさないようにしてください。
- 6. 瘢痕形成
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照射後に冷却を十分に行い、湿潤療法を行うことで、瘢痕(はんこん=やけどの跡)を防ぐようにしていますが、肌が弱い方、瘢痕を起こしやすい方は、照射部位に瘢痕を起こしてしまうリスクがあります。
- 7. 脱毛
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照射部位の脱毛が起こります。ヒゲも脱毛してしまいますので、脱毛したくない部位は避けて照射します。治療部位に毛が生えている場合は、当日か前日に毛を剃ってきてください。
- 8. 肝斑
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隠れている肝斑が出てくることがあります。その場合、治療を中止して、肝斑の治療を行う必要があります。
- 9. 白斑・色抜け
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非常に稀です。短期間にレーザーを繰り返すことにより、一部の色素が抜けすぎてしまうことが報告されています。
- 10. 麻酔によるアレルギー
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非常に稀ですが、体質によってクリーム麻酔(リドカイン、微量のプロピレングリコール、エタノール、メチルパラベン等含有)・テープ麻酔・局所麻酔で重篤なアレルギー症状(アナフィラキシー:全身性の発疹、皮膚・唇・舌の腫れ、呼吸困難、動悸、血圧低下、意識障害、痙攣など)が起こる可能性があります。症状が起こった場合には、すぐに救急車を呼んでください。
施術中の痛みについて
レーザー照射時に多少の痛みはありますが、小さな範囲の治療では麻酔は必要ありません。広い範囲の治療ではテープ麻酔やクリーム麻酔を行います。
血管治療の料金– Treatment Costs –
老人性血管腫、静脈湖、毛細血管拡張症の治療料金は以下となります。
項目 | 料金(税込) |
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診察料 | 初診料 3,850円 再診料 1,650円 |
血管治療レーザー | 2mm 3,300円 5mm 4,400円(以後5mm毎に+4,400円) 2mm 20~40個 65,780円(以後1個毎に+1,100円) |
テープ麻酔 | 1枚 300円 |
クリーム麻酔 | 顔1面 3,000円 体は面積による |
術後テープ | 実費 |
- 同じ施術を2回目以降受けられる方でも、治療部位が異なる場合には診察が必要です。
- 例1)2mm老人性血管腫を3個取る場合…3,300円×3=9,900円
例2)8mmの静脈湖を1個治療する場合…4,400円×2=8,800円
例3)片側15mm(両側30mm)の小鼻の赤みを治療する場合…4,400円×6=26,400円