ホルモン治療の効果を教えてください

ピルとスピロノラクトンによるホルモン治療開始から約3ヶ月間は、30%の患者さんでニキビが悪化する可能性がありますが、4ヶ月目から徐々に効果が現れ、6ヶ月で90%、12ヶ月で95%の患者さんが治癒、改善していきます。肌がきれいになった後も、ニキビの病勢(びょうせい=病気の勢い)が衰えるまで、平均して1年から2年ほどお薬を継続してもらっています。

ホルモン治療のメリットは、重篤な副作用が非常に少なく長期に安全に内服できることです。デメリットとしては、ホルモン治療はアキュテイン治療と比較して再発しやすく、治療中止後の再発率は約60%程度(※)と高めです。治療を始める前の状態まで戻ってしまう患者さんも20%~30%の割合でいますが、残りの方は治療前より良い状態を保つことができます。

抗生物質、レーザー、ピーリングの治療だけでは、一旦良くなっても再発率が90%を超えますので、それと比較するとホルモン治療の再発率は低いと言えますが、再発を繰り返す患者さんにとっては対症療法(症状を抑えているだけの治療)になってしまう可能性があります。

ただ、対症療法となったとしても、一度ニキビを全て無くし、その後のメンテナンスをしていくことは、ニキビ跡をできるだけ残さないという点で非常に大切な治療となります。また、症状を抑える治療を続けていくことで、自然にニキビができない年齢に達する方もいらっしゃいますので、そういった意味では有用性が高い治療と言えます。

再発率に関しては、治療終了後、新生ニキビの数が治療前の状態の1/3以上に戻った場合を再発と呼んでいます。

ピルの副作用を教えてください

ニキビのために処方される頻度が高い抗生物質や漢方薬は、保険で認可されているため副作用がほとんど無いと思っている患者さんが多いのですが、実はピルのほうが重篤な副作用を起こす頻度が低いことがわかっています。

肌のクリニックでは低用量ピルと抗男性ホルモン薬を主に使用してニキビの治療にあたっていますが、低用量ピルにいたっては、全世界で毎日1億人以上の女性が使用しており、非常に安全性の高い薬剤です。欧米では20代、30代の女性の約半数が使用している国もあります(ドイツ52.6%、フランス43.8%)。

50年以上前から処方されており、安全な薬として認知されていますが、全く副作用がないわけではありません。飲み始めの頃はホルモンのバランスに変化が起きるため、吐き気や頭痛、乳房痛、むくみなどの症状が出ることがあります。それらの副作用は、服用を続けると次第に軽快していくことがほとんどです。

「服用すると妊娠に影響はありませんか?」と心配される方がいますが、低用量ピルを服用中は、それ自体避妊効果がありますので、妊娠する可能性はほぼありません。また、ピル服用中止後も妊娠しにくくなるといったデータはありません(もしあれば、世界中でピルを使用する人はいなくなります)。

「癌にかかるのが怖いのですが」という患者さんもいますが、服用5年以内であれば乳癌、子宮頸がんのリスクの増加は少なく、また逆に子宮体癌、卵巣癌、大腸癌のリスクは減少します。

乳がんは日本人の12人に1人がかかるとされていますが、最大で1.2倍程度のリスクと考えられています。また、服用を中止すれば徐々にそのリスクはなくなります。

子宮頸がんのリスクは5年以内の服用では増加はほとんどありませんが、10年以上の服用で2倍に増加するというデータがあります。当院ではピルを飲んでいる、飲んでいないに関わらず、子宮頸がんは20代から2年に1回、乳がんは30代から1年に1回の検診をお勧めしています。

その他非常に稀ですが、海外で酢酸シプロテロン(ダイアン・スーシー)を長期服用している方に、肝障害や肝臓がんが報告されています。当院では、必要がなければピルの種類を変更していますので、過去に肝臓がんの報告は1例もありません。

ピルによる血栓症(血が固まり、静脈や動脈に詰まる病気)のリスクについては、薬の種類によって3倍から最大7倍程度まで高まることがありますので、注意が必要です。特にニキビ治療用のピルを使用した場合には、血栓症のリスクが高まります。例えば、ヤーズは低用量ピルの中では最も血栓症のリスクが高いピルの一つとして知られていますが、過去に国内で14万人処方された患者さんのうち、3名の死亡事故が報告されています。死亡事故までいかなくても、血栓症を発症した人数は87人と報告されており、他のピルに比べて多い数値となっています。

ただ、14万人中3人というのは、10万人あたり2.1人の死亡数ということになります。統計上は、交通事故での死亡する確率よりも4分の1、喫煙によって死亡する確率より80分の1とされています。

肌のクリニックでは、年齢・血圧・体重・喫煙歴や、高脂血症、前兆がある片頭痛などの持病を確認し、血栓症のリスクがある方へは原則処方しておりません。また、当院では20代で若い方で1日1本しかタバコを吸わない方でも、必ず禁煙していただいています。

血栓を100%完全に予防することはできませんが、生活指導や詳しい副作用シートで血栓症のリスクが高まる状態や症状などを読んでもらい、できるだけ予防できるように心掛けています。

抗生物質は飲んだことはあるが、ホルモン剤はなんだか怖いという患者さんもいます。抗生物質の副作用としては、アナフィラキシーショック、スディーブンスジョンソン症候群、間質性肺炎、膵炎、大腸炎など、死亡事故へつながる重篤な副作用があります。

皆さんが抗生物質を医師から処方されたとき、このような副作用の説明を受けましたでしょうか?もし受けたならば、とても飲みたい薬とは思わないでしょう。低用量ピルは、皆さんが飲んだことのある抗生物質・解熱鎮痛剤・風邪薬よりも重篤な副作用が少ないことは確かです。

以上のようにピルは安全性の高い薬ですが、当院では単にメリットだけを並べるのではなく、デメリットやリスクの説明もしっかり行い、患者さん自身の同意を得た上で治療を行なっています。

ホルモン治療の通院頻度と期間を教えてください

最初の4ヶ月間は約4週間に1度、その後は2ヶ月に1度、症状が落ち着けば3ヶ月~6ヶ月に1度の通院で治療が可能です。治療期間は1年間~2年間を目安に通院していただいています。副作用が少ない薬剤ですので、長期に服用可能です。実際に5年以上服用されている患者さんもいます。

できるだけ患者さんのご希望に沿うように診察スケジュールを調整いたしますが、採血等の副作用チェックが必要になることも多いため、定期的に通院できるかどうか来院前にご確認をお願いいたします。

忙しくて来院がなかなか難しい患者さんは、遠隔診療もご利用になれます。遠隔診療ではピルの他、スピロノラクトンも処方可能ですが、スピロノラクトンは2錠まで減薬できた患者さんに限って遠隔診療での処方が可能となります。

遠隔診療について詳しくは、「遠隔診療」のページをご参照ください。

ホルモン治療の費用を教えてください

ピルとスピロノラクトンによるニキビ治療の料金については、「ホルモン治療の料金」をご覧ください。

治療を受けられない場合はありますか?

持病をお持ちの方など、ホルモン治療を受けられない場合があります。詳しくは、「ホルモン療法を受けられない方」をご参照ください。

血液検査は毎回必要ですか?

初診時に服用前の検査として、採血検査、血圧測定、尿検査(妊娠反応検査)を必ず全患者さんに行います(尿検査は、生理中の場合は必要ありません)。

お薬を飲み始めてから約2~3ヶ月後に、血圧測定と血液検査を行います。その後は3ヶ月に1回、副作用チェックのために採血・血圧測定を行います。スピロノラクトンが減量、中止となり、ピルだけの治療に移行した場合は、約6ヶ月に1回、血圧測定・血液検査を行います。

血液検査等を拒否される患者さんが稀におられますが、必要な検査を行わない場合、当院での薬の処方はできませんのでご了承ください。ただし、検診や他の病院で血液検査を行っている場合は、必要ありませんのでその旨をお申し出ください。

ピルの飲み方を教えてください

ピルの飲み方

1シートに21個の小さな錠剤が入っています。21錠中にはすべて同じ成分が入っていますので、どの錠剤から飲み始めても大丈夫ですが、裏面の曜日順に飲むと飲み忘れが少なくなります。(※ラベルフィーユは1錠目から飲み始めてください。)

当院では治療目的で低用量ピルを処方していますので、他の避妊方法を併用していだたくことをおすすめしていますが、きちんと服用すれば通常のピルと同様の避妊効果を得ることができます。

初めてピルを飲む場合

Sunday(サンデイ・日曜日)スタートをおすすめしています。Sundayスタートは、日曜日にピルを飲み始める方法で、週末に出血を避けることができます。妊娠していないことが確実な場合に限り、次の日曜日からスタートします。もちろん、他の曜日からスタートしていただいても構いません。

  1. 最初のシートは、日曜日から服用を開始します。
  2. 1日1回1錠です。食前、食後は関係なく、毎日ほぼ一定の時間に飲んでください。
  3.  毎日1錠ずつ飲んで、21日間継続し、その後7日間休薬します。
  4.  8日目(日曜日)から、また新しいシートを飲み始めます。
  5.  その後は21日間服用して、7日間休薬しての繰り返しになります。

1シート目の飲み始めの1週間は、避妊効果が得られませんのでご注意ください。

服用時刻は?

ピルの服用時刻は何時に設定してもかまいません。食前、食後も関係ありませんが、毎日ほぼ一定の時間に飲んでください。ピルを決まった時間に飲むことによって、体内のホルモン濃度を一定に保ち、肌の調子を整えてくれます。飲み忘れが多くなると、不正出血が起こりやすくなり、避妊効果も薄れてしまいます。また、血栓症のリスクが高まることも知られています。できるだけ、6時間以上ずれないように服用してください。吐き気などの副作用が気になる場合には、就寝前に服用すると良いでしょう。

水で飲む?

通常は水で飲みますが、ジュースやお茶、お酒で飲んでも効果にかわりはありません。原則は水で飲むようにしてください。

ピルやスピロノラクトンと一緒に飲んではいけない薬はありますか?

ホルモン剤はいくつかの薬と相互作用があります。以下の薬を避けていただければ問題ありません。

低用量ピルと相互作用がある薬剤

1.C型肝炎治療薬(ヴィキラックス)

肝機能(GPT)の上昇が高頻度に認められていますので、併用禁忌です。

2.トラネキサム酸

抗炎症作用がある薬剤です。美白目的でも使用されることがあります。市販の風邪薬等に配合されていることがあります。血栓症のリスクを高める可能性が否定できませんが、短期間の併用で問題になることは非常に稀です。外用剤は問題ありません。

代表的な商品名:トランサミン、トランシーノ、ペラックT錠、ハレナース、ベンザブロック咳止め、ベンザ鼻炎薬α、ベンザエースA、ルルアタックEX、コルゲンコーワIB錠

3.セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)

ピルの吸収を阻害することがあります。

4.抗HIV薬、抗結核薬

ピルの作用を減弱させることがあります。

5.抗てんかん薬

ピルの作用を減弱させることがあります。

代表的な商品名:テグレトール、ラミクタール、アレビアチン、ヒダントール、フェノバール、プリミドン、トピナ、デパケン、バレリン、エピレオプチマル、ザロンチン

*抗生物質に関しては、ピルの作用を減弱させることがあると考えられていましたが、欧米の試験で否定されています。

スピロノラクトン(アルダクトン)と相互作用がある薬剤

1.カリウム製剤

食品から摂取する程度では、まったく問題になりません。

2.タクロリムス

免疫抑制剤です。代表的な商品名 プログラフ、グラセプター、タクロリムス

3.エプレレノン

利尿剤です。代表的な商品名 セララ

4.ミトタン

抗がん剤です。代表的な商品名 オペプリム

その他、降圧薬等で相互作用が出る場合がありますので、診察の際に医師にご相談ください。

お酒と一緒に飲んでも大丈夫ですか?

ホルモン剤(ピルやスピロノラクトン)とアルコールとの相互作用はありませんので、一緒に飲んでも大丈夫ですが、薬を飲む際は水で飲んでください。過度な飲酒は肝臓に負担をかけるためお控えください。

薬を飲み忘れたときはどうしたら良いでしょうか?

低用量ピルを飲み忘れた場合

ピルのみ忘れ

 

①気づいた時点で飲み忘れた1錠を服用いたします。次の錠剤は通常の服用時間に飲んでください。

②気づいた時点で2錠服用し、次の錠剤は通常の服用時間に飲んでください。

12時間以上飲み忘れた場合は、避妊効果が確実ではなくなります。ピルを再開して1週間目までは、コンドームなどの他の避妊方法を併用してください。

飲み忘れが頻回に続くと、不正性器出血を含め、副作用のリスクが高まります。肌の状態も安定しなくなるため、なるべく飲み忘れのないようにしてください。

シートの終了予定日にもかかわらず、飲み忘れでピルが余ってしまっている場合は、1日1錠ずつすべて服用し、通常は7日間ある休薬期間を短縮して、次のシートの開始日に合わせてください。

スピロノラクトン(アルダクトン)を飲み忘れた場合

飲み忘れた分は、無視して飲まなくて大丈夫です。ニキビを早く治すために、できるだけ飲み忘れのないようにしてください。

ピルを飲んでいる途中で生理が来てしまいました

生理は休薬期間中に来るはずですが、飲み始めはホルモンバランスが一定しないために、生理日ではないのに出血が起こることがあります(不正性器出血)。また、スピロノラクトンを併用している場合、スピロノラクトンの副作用で出血が起こりやすくなります。場合によって、少量の出血が1ヶ月程度続くことがあります。正しく服用していれば、ほとんどの方はおさまりますので心配いりません。そのまま服用を続けてください。

出血量が多かったり、出血以外に症状があれば、医師にご相談ください。

生理の出血量が変わりました

生理の出血量はピルによって減少することがほとんどです。それに伴って生理痛も軽くなります。また、逆に出血量がやや多くなる場合もありますが、心配いりません。生理痛の強弱は、ピルとの相性にもよりますので、気になる場合は医師にご相談ください。

休薬期間中に生理が来ません

ピルを休薬して、2日目~4日目で出血が来ることがほとんどですが、稀に休薬期間中に生理が来ないことがあります。ご妊娠の可能性がなく、他に何も症状がなければ、生理が来なくても7日間休薬し、8日目から新しいシートを服用してください。次のシートの休薬が終わっても生理が来ないときは、念の為医師にご相談ください。

生理のずらし方を教えてください

生理を1週間遅らせたい場合は、21日間飲んだ後に休薬せずに、予備のシートから7日間分を追加して飲みます。その後7日間休薬して、あとはいつもどおりに新しいシートを飲んでください。ラベルフィーユを飲んでいる方は、黄色い薬を7日間分飲んでください。

数日生理を早めたい場合は、休薬期間を7日間から短かくすることで、生理を早めることが可能です。早く生理を起こさせたいからといって、21錠飲み終わる前に途中でやめてしまうと、ホルモン作用が弱くなり、ニキビの原因となったり、避妊効果がなくなったりしますのでおすすめしません。

海外旅行時の薬の飲み方を教えてください

海外旅行時の薬の取扱については、以下のQ and Aをご参照ください。

  1. 海外旅行に薬を持っていけますか?
  2. 海外旅行時の薬の飲み方を教えてください。

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