Q.プラセンタ注射を受けると、なぜ献血ができなくなるのですか?

プラセンタ注射を受けると献血ができなくなるため、自分の子供が交通事故などにあって輸血が必要な場合に、自分の血をあげられなくなるのではないか、と心配するお母様がいらっしゃいます。結論から申し上げると心配無用です。

その理由として、親族間では遺伝子の差が少なくGVHD(移植片対宿主病)を起こす可能性が高くなるため、親族間輸血は禁止されているからです。日本では1974年以降は、全面的に献血からの血液しか輸血できないようになり、親族間の輸血は一例も行われていません。

病院には日赤からウイルスチェックなどに全て合格した輸血用血液が保存されており、もしも病院に血液が保存されていなくても、各地の日赤に連絡すると短時間で輸送されます。海外や僻地で現地に輸血用の血液がなく、なおかつ緊急の場合でも、GVHDの危険性から、親族の血液を使うことはありません。病院に来ている他の方や、病院職員から血液を提供してもらい輸血を行います。

自分の大切な友達が事故にあったら私の血は使えないのでしょうか?というご質問もありますが、病院に輸血用の血液がなく、日赤からも血液が届かず、他に献血してもらえる人がいない非常事態で、どうしても血液が必要な場合は、本人の同意が得られれば輸血は可能です(そんな状況はあり得ないと思いますが)。

プラセンタの治療にあたって厚生省が言わんとしていることは、「国内では昭和31年からの過去60年間、だれ一人としてプラセンタが原因で感染症を起こした患者はいないが、理論上は、新型の感染症やプリオンなどの感染症の伝搬を100%完全に否定できないから、献血はやめておいてね。」ということです。これはプラセンタだけではなく、全ての生物製剤に言えることですので、アルブミン(ヒトのタンパク質)などの治療を過去に受けた方も当てはまりますし、過去に輸血を受けた方も献血はできません。

毎年10万人あたり3人~8人の方が交通事故で亡くなっていますが、外に出ることを怖がる方はめったにいません。しかし、過去60年間1度も感染症を起こしたことのないプラセンタ製剤を怖がる方はいらっしゃいます。身近に処方されている風邪薬や抗生物質、解熱鎮痛剤が引き起こす重度の副作用(アナフィラキシーショックやスティーブンスジョンソン症候群)は怖がらないのに、プラセンタ製剤の副作用を過度に怖がる患者さんもいます。

プラセンタという治療が人の胎盤を使用したものであり、なおかつ保険治療で認められていないため(更年期障害や肝障害には保険適応です)、身近に認知されていないのが原因なのだと思います。

臓器移植にあたっては、提供を受ける側がそのリスクを認識しており、リスクよりもメリットのほうが大きいという認識であれば、プラセンタ治療をしている方からの臓器提供は可能です。実際に臓器提供者が見つかって、仮にその臓器提供者が過去にプラセンタ治療を受けていたからと言って、臓器移植を拒む方はまずいらっしゃらないでしょう。