肌のクリニック ニキビ治療

ホルモン治療

ホルモン治療

ホルモン治療は、女性の中等症以上のニキビ治療に使用する飲み薬です。当院のホルモン治療はアメリカの皮膚科学会のガイドラインにならって「低用量ピル」と「スピロノラクトン」という薬の組み合わせで行います。

低用量ピルは1973年にアメリカで開発され、現在は世界で1億人以上の女性が毎日服用している薬です。日本はピルの後進国ですが、フランス・オランダ・ドイツなどのヨーロッパでは、妊娠可能な15歳~49歳の女性の約50%が避妊目的でピルを服用しており、ニキビなどの皮膚疾患の治療薬としても用いられています。

スピロノラクトンはもともと利尿剤や心不全の治療薬として古くから使われてきたお薬ですが、男性ホルモンを抑制する働きがあり、15年ほど前からニキビの治療に応用されるようになりました。スピロノラクトン製剤は、アルダクトン・スピロノラクトン・ノイダブルなどの製品があります。

ホルモン療法によるニキビ治療の特徴

ニキビに対するホルモン治療の有効率は、95%以上であり、アキュテイン治療に次いで非常に効果が高い治療です。また、安全性は非常に高く、抗生物質や解熱鎮痛剤といった汎用薬よりも、重篤な副作用を起こす確率が低いことが知られています。

デメリットとしては、効果が現れるまで多少の時間がかかり、治療開始後、3ヶ月間は30%の患者さんで一過性にニキビの増悪がみられます。平均して4ヶ月目から、徐々にニキビが改善していきます。また、再発率が約60%(※)と高いことも欠点です。再発した場合は、治療前のレベルに戻ってしまう患者さんも10%~20%の割合でいらっしゃいます。

肌が綺麗になってからも継続していただくことが多く、平均して1年~2年程度の治療期間になります。安全性が非常に高いことが最大のメリットであり、きちんと副作用チェックを行えば、長期間(5年~10年以上)服用することも可能です。

出来るだけ副作用が少ない薬で治療したいという方におすすめします。特に生理不順、月経困難症、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜症、生理痛といった婦人科系の病気や症状を改善する働きがあるため、それらの症状で悩んでいる方へもおすすめです。

※再発率に関しては、治療終了後、新生ニキビの数が治療前の状態の1/3以上に戻った場合を再発と呼んでいます。

ホルモン治療がニキビに効くメカニズム

女性でも体内で「男性ホルモン」が作られています。男性ホルモンを分泌する臓器は「卵巣」と「副腎(皮質)」の2つです。男性ホルモンは毛深くしたり、皮脂腺を大きくしたり、ニキビを悪化させたリといった、女性にとってあまり好ましくない作用を持ちます。

男性ホルモンの量が過剰であったり、男性ホルモンの量自体は正常でも、男性ホルモンの感受性が高い女性の場合、ニキビに悩まさせることになります。

当院のホルモン治療は「低用量ピル」と「スピロノラクトン」という薬の組み合わせで行いますが、低用量ピルは女性ホルモン剤と黄体ホルモン剤の合剤です。女性ホルモンは女性の肌のキメを細かくし、毛穴を小さくし、肌の水分量を上げるなどの作用を持ちます。黄体ホルモンは、種類によって男性ホルモンの作用を強くするものと、弱くするものがあります。

当院で処方する低用量ピルは、ニキビ治療用の男性ホルモン活性が少ないタイプのものです。ニキビ治療用のピルは、日本では未認可のピルになります。ニキビ治療に有効なピルの種類については、ニキビ治療ブログ「ピルのニキビへの効果と血栓症のリスク」をご覧ください。

スピロノラクトンは、抗アンドロゲン作用により男性ホルモンを抑制する働きがあるため、ニキビ治療に応用されています。当院でも12年前からスピロノラクトンによるニキビ治療を行っていますが、安全性は非常に高く、スピロノラクトンと低用量ピルと併用して治療することで、ニキビの完治率を上げることができます。

しかし一方で、スピロノラクトンは飲んでいる間しか効果がないことやリバウンドがあることが分かっており、当院では低用量ピルの効果が出てきた段階で、リバウンドがないように少しずつ減量して中止していくという方法を取っています。

ホルモン治療の副作用

低用量ピルは最も安全性の高い薬の一つとして知られていますが、副作用がないわけではありません。最も注意しなければならない副作用は「血栓症」で、頻度は非常に少ないものの、血栓性素因のある方、タバコを吸う方など、ピルを飲むことができないこともあります。

よく起こる副作用には、吐き気、嘔吐、頭痛などがあり、特に飲みはじめの3ヶ月間くらいは慣れるまで辛いことがあります。また、長期服用では乳がんや子宮頸がんのリスクもあります(逆に卵巣がんや子宮体がんのリスクは下がります)。

スピロノラクトンも、非常に古くから使われている薬で安全性が高い薬ではありますが、不正性器出血や肌の乾燥、利尿作用、血圧低下などの副作用が起こることがあります。また、カリウムを上げる作用があるため、当院では定期的に血液検査でチェックさせていただきます。

ピルやスピロノラクトンの詳しい副作用については、初診時に説明用紙をお渡しして医師から説明させていただきます。よくある質問の「ホルモン治療の副作用にはどんなものがありますか?」のページもご参照ください。

ホルモン検査の必要性

男性ホルモンや女性ホルモンの値を検査することで、その人の持っているホルモンバランスを見ることができます。しかし、当院では積極的に検査を行ってはいません。

その主な理由として、男性ホルモンの感受性が高い場合は、数値上、例え男性ホルモンの量が正常でも、ホルモン治療が効果的だからです。検査によって治療法が左右されるわけではないのと、ある程度料金がかかる検査(女性ホルモン4種類+男性ホルモン検査で8,860円)ですので、希望者だけに行っています。

一方で、ニキビに長年悩まされている女性で生理不順などの症状がある方は、ホルモン検査を受けるべきです。これは「多嚢胞性卵巣症候群(PCOs)」という婦人科系の病気が隠れていることがあるためです。PCOsの患者さんは、女性ホルモンの一つであるLHがFSHよりも高くなっており、男性ホルモン値も上昇していることが多いのが特徴です。ホルモンバランスには変動がありますので「生理の3日~5日目の午前中」に採血する必要があります。検査をご希望の方は、タイミングを合わせてご予約をお取りください(ホルモン治療中の方は検査はできません)。

ホルモン療法によるニキビ治療症例

女性の患者さんでアキュテイン治療とホルモン治療を選択される方は6対4くらいです。詳しい症例写真は「ニキビ治療症例」をご覧ください。

ホルモン療法の治療費用

初診時/ホルモン療法1
初診料5,800円
薬代
(28日)
・ヤスミン1シート
(28日)2,680円
・スピロノラクトン112錠
(28日)3,360円
検査料・血液検査 2,680円
・尿検査 960円
合計
(28日)
15,480円

再診時/ホルモン療法1(薬剤減量期)
再診料2,900円
薬代
(3ヶ月)
・ヤスミン3シート
(3ヶ月) 8,040円
・スピロノラクトン168錠
(3ヶ月) 5,040円
検査料・血液検査 2,680円
合計
(3ヶ月)
18,660円
※1ヶ月あたり6,220円

再診時/ホルモン療法2(安定期)
再診料2,900円
薬代
(6ヶ月)
・スーシー6シート
(6ヶ月) 13,560円
検査料・血液検査 2,680円
合計
(6ヶ月)
19,140円
※1ヶ月あたり3,190円

薬の処方には必ず診察が必要となります。使用する薬剤の種類や量によって価格は変動します。

副作用チェックのための検査は、初回時、その後は3ヶ月に1回、安定期に入った後は6ヶ月に1回のペースで必要です。

最初の数ヶ月までは、概ね1ヶ月あたり10,000円~15,000円です。4ヶ月目から徐々にニキビが改善していきますので、それに合わせて薬を減量していきます。減薬期になると、1ヶ月あたりの費用は約6,000円です。1年ほど経過してニキビが完全に落ち着き安定期に入った後は、低用量ピルだけの治療に切り替わり、1ヶ月あたり治療費は3000円~4000円となります。

それぞれの料金については「ニキビ治療料金表」をご覧ください。

ホルモン剤によるニキビ治療を受けられない方

1. 医薬品を個人輸入している方

当院では医師の責任の下で医薬品の処方と治療を受けることができる患者さんのみに診療を行っておりますので、ご了承ください。

2. 男性の方

男性の方へはホルモン治療を行うことはできません。

3. 15歳未満の方

骨端線が閉鎖して、身長が止まる可能性があります。

4. 18歳未満の方

18歳未満の方は初診時には保護者の方と同伴でなければ、薬の処方はできません。再診時はご本人だけでも診察可能です。

5. タバコを吸われる方

相互作用があるため、必ず禁煙が必要です。

6. ご妊娠中の方など

妊娠中、授乳中、または1年以内に妊娠の予定がある方は、治療を受けることができません。

7. BMIによる制限

BMI(体重÷身長m2乗)が25を超えている方は、治療を受けることができません。

8. 既往歴による制限

高血圧、高脂血症、肝腫瘍、耳硬化症、抗リン脂質抗体症候群、血栓性素因、肺高血圧症、心房細動を合併する心臓弁膜症、心内膜炎、悪性腫瘍の既往がある方は、治療を受けることができない場合があります。

9. 偏頭痛による制限

前兆(目の前が暗くなる、キラキラする、視野が狭くなる等)のある偏頭痛がある方や、35歳以上で偏頭痛がある方は、治療を受けることができない場合があります。

10. 異常性器出血による制限

診断の確定していない異常性器出血がある方は、まず婦人科で検査を受けることをお勧めします。

11. 定期検診の重要性

最初の半年は1~2ヶ月に1度の定期受診と、副作用検査が必要となります。遠方の方には多少長めに処方することも可能ですので、診察時にご相談ください。定期的に当クリニックへ通うことが出来ない方は、お近くの他の病院での治療をおすすめします。

 

もっと詳しくホルモン治療の情報を知りたい方は、よくある質問のホルモン治療についてをご覧ください。

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